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職務発明ってなんでしょう?(2)

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 前回会社が特許を受ける権利や特許権を譲り受けたり、専用で実施するという権利を受ける場合には、発明者である従業員に対して「相当の対価」を支払わなければならない(特許法35条3項、4項)ことになっているところまでお話しました。
 しかし、この「相当」というのはとても曖昧な概念です。発明者である従業員と会社のパワーバランスから十分な交渉ができず、発明者にとって不十分な額しか支払われないということもしばしば起こっていました。

青色発光ダイオード(LED)訴訟

 2014年に日本人がノーベル賞を受賞したとして話題になった青色LED。今はパソコンのモニターや街中の信号機、LED電灯など様々な場面で使われていますが、かつては20世紀中の実現はありえないとまで言われており、画期的な発明と賞賛されています。
 この青色LEDも「相当の対価」をめぐって発明者と会社が争ったという経緯があります。

 1993年に発明された青色LEDですが、この当時多くの発明は職務発明として会社に譲渡されることになっていて、また当時は発明の報酬に対する取扱いも曖昧な状況だったこともあり、発明者に対して支払われた報奨金はたったの2万円でした。
 そこで、2001年に発明者が所属していた会社に対して、当該発明は職務発明でないので権利の一部を戻し、不当利得を支払うように、さらに、それらの主張が認められなかった場合には、職務発明の報酬を支払うように求めました。

 一審では、当該発明は職務発明に当たるとして会社に帰属することを前提に、200億円を支払うことを会社に命じました。このように高額な金額になった理由の一つとしては、発明者が会社の中止命令を無視して開発を行っていたという背景があり、当該発明に対する貢献度を発明者と会社で50%ずつ認定したということが上げられます(通常職務発明の場合には会社の貢献度が高く認定されることが多いと言われています)。

 その後控訴審で、発明者と会社は、会社が発明者に対して約8億4千万円の対価を支払うということで和解をしました。この和解金額は、発明対価をめぐる訴訟としては最高額です。しかし、後にノーベル賞を受賞するこの発明に対する対価としては、これでも安すぎるという意見も多く見られました。

オリンパス光学事件

 1995年、ビデオディスク装置の研究開発に従事していた元従業員が、在職中に発明を行い、その特許を受ける権利を会社に譲渡しました。社内の発明考案取扱規程に従い受け取った金額は約21万円でした。発明者は退職後、受け取った発明の対価が低すぎるとして、その不足分について支払うよう所属していた会社を訴えました。

 一審及び二審は、発明の対価は250万円が相当であるとして認定し、最高裁にまで持ち込まれました。
 最高裁は、発明考案取扱規程や勤務規程等において職務発明の対価についての定めがあったとしても、特許法35条4項にしたがって定められる対価に満たないときは、不足額に相当する対価の支払いを求めることができるとして、一、二審判決が認定した発明の対価250万円から会社が既に支払った約21万円を差し引いた約229万円の支払いを命じています。

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