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今週の永田町(2015.9.16~29)

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【過去最長の通常国会が閉会】

先週25日、衆参両院で閉会中審査の手続きなどを行い、1月26日に開会した第189通常国会が会期末(9月27日)を前に事実上閉会した。民主党は「公党間の約束の予算委員会開催をほごにされた」(高木国対委員長)として、与党側が約束した予算委員会が開かれなかったことなどに反発し、閉会中審査手続きを行う衆議院本会議を欠席した。

 

 *衆参両院の本会議や委員会での審議模様は、以下のページからご覧になれます。

衆議院インターネット審議中継参議院インターネット審議中継

 通常国会では、安倍内閣が経済再生などに取り組む「改革断行国会」と位置付け、緊急経済対策を裏付ける補正予算や一般会計総額96.34兆円の2015年度予算、アベノミクスを推進するための労働者派遣改革や農協改革、電力自由化、女性活躍推進などの関連法を成立させた。集団的自衛権行使の限定容認を含む安全保障関連2法(平和安全法制整備法、国際平和支援法)が国会提出されると、与野党は激しく対立していく。最終盤に繰りひろげた与野党攻防で大荒れとなったが、与党などの賛成多数により関連2法を可決・成立させた。安倍総理は、事実上の通常国会閉会にあたり「戦後以来の大改革を成し遂げる歴史的な国会となった」と、その成果を強調した。

ただ、政府提出法案の新規成立率は88%にとどまった。過去最長の延長で245日の会期を確保したものの、与党が安全保障法制の審議・成立を最優先した国会運営と与野党対立の激化などが影響し、衆参両院の勢力が異なる「ねじれ国会」時と同様の低水準となった。

 

柔軟な働き方を広げて労働生産性を高めるねらいから高度プロフェッショナル制度創設や企画業務型裁量労働制の対象を新商品開発・立案や課題解決型営業などへの拡大、年5日の有給休暇の取得ができるよう企業に義務づける過労対策などを柱とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、「残業代ゼロ法案」と位置付けて廃案をめざす民主党などと対決すれば安全保障関連2法案の審議に影響を及ぼしかねないとして、衆議院通過が見送られた。

また、関連2法案をめぐる参議院での混乱により審議ができなかったのは、社会福祉法人が抱える内部留保から建物修繕費など事業継続に必要な財産を除いた余剰分を、地域貢献活動などに充てるよう義務付ける「社会福祉法改正案」や、国民年金の目減りに備えて企業年金などを拡充して老後の生活資金を補うねらいから、年金加入者なら誰でも個人型確定拠出年金に入ることができるよう拡大した「確定拠出年金法等改正案」、検察・警察の取り調べの録音・録画(可視化)の義務付けや司法取引の導入などを柱とする「刑事司法改革関連法案」などだ。特に、刑事司法改革関連法案は、与党と民主党、維新の党とが修正合意し、衆議院を通過させていたが、参議院では審議するに至らなかった。

このほか、昨年の臨時国会で廃案となり自民党・日本維新の会・生活の党が再提出した、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備を促す「特定複合観光施設区域整備推進法案」(議員立法)も、ギャンブル依存症への懸念や、マネーロンダリングなどの犯罪対策が不十分などを理由にカジノ解禁に慎重姿勢を崩さなかった公明党などに配慮して、審議入りが見送られた。賃貸契約ルールを改めるなど120年ぶりの大規模改正になる予定だった「民法改正案」も審議入りには至らなかった。いずれも継続審議となり、11月上旬にも召集される予定の臨時国会へと先送りとなった。

 

 

【安全保障法制、大荒れの委員会採決】

国会最終盤で最大焦点となっていた安全保障関連2法は、19日、与党と日本を元気にする会・次世代の党・新党改革の野党3党などの賛成多数により可決、成立した。

 

参議院での採決をめぐっては、与野党が激しく対立し大荒れとなった。わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会の鴻池特別委員長(自民党)が16日に締めくくり総括質疑を開催することを職権で決めたことに反発して、民主党など野党議員は、理事会室・委員会室前を占拠して鴻池委員長の入室を阻止するなどの実力行使に出た。これにより、特別委員会そのものが開催できないまま、17日に持ち越しとなった。

17日、鴻池委員長が特別委員会理事会を委員会室内で再開することを決めたことに民主党理事らが「だまし討ちだ」「理事会室に戻れ」などと激しく抗議するなか、鴻池委員長は特別委員会の開会、さらに質疑終局を職権で宣言する。これに対し、民主党は、鴻池委員長の不信任動議を提出した。不信任動議を受け取った鴻池委員長は、佐藤正久・与党筆頭理事(自民党)に委員長職務を委託すると宣言して、委員会室を退出する。佐藤筆頭理事が委員長席に座って審議を進めようとすると、特別委員会理事会の協議もなく鴻池委員長が委員長職務の委託を宣言したことに民主党などの理事らが委員長席に詰めかけて「手続きに瑕疵がある」と反発するとともに、委員会室に怒号やヤジなどが飛び交うなど、紛糾する事態となった。そして、特別委員会は、再協議するため休憩に入った。

 

与野党が再協議した結果、野党が提出した鴻池委員長の不信任動議を処理するため、特別委員会を再開することとなった。特別委員会で、不信任動議の趣旨説明に立った民主党の福山哲郎理事は、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣の答弁をめぐって、何度も国会審議が紛糾し、しばしば審議がストップする事態が続いたことや、十分に審議が尽くされたとして採決・成立を急ぐ政府・与党の姿勢などを挙げて、「本当に国民の声を聞いているのか」「戦後日本の安全保障法制の根幹を揺るがすのに国民に信を問わないのか」などと批判した。その後、各会派による動議賛否の討論でも、動議に賛成する民主党・維新の党・共産党・社民党・生活の党・参院会派の無所属クラブが、演説を延々と続けて議事進行を遅らせるフィリバスター(議事進行妨害)作戦を繰り返した。

 鴻池委員長の不信任動議は、野党の賛成少数により否決された。その後、鴻池委員長が委員長席に戻ると、参議院自民党の若手議員10人以上が委員長を取り囲み、鴻池委員長からマイクや資料を奪って採決阻止を試みる野党議員らを相次いでブロックした。委員長席近くで与野党議員が激しくぶつかりあうなか、鴻池委員長は議事進行を進めたようだ。採決に反対する野党側の怒号で鴻池委員長の声がかき消されたが、与党が緊急提出した質疑打ち切り動議、関連2法案、自衛隊海外派遣への国会関与強化など与党と野党3党の合意事項を盛り込んだ附帯決議を次々と採決していった。いずれも、与党と野党3党の起立多数により可決した。民主党・共産党・社民党・生活の党は採決に加わらず、維新の党は反対した。

 

 特別委員会での可決を受け、鴻池委員長は「ああいう形での採決は不本意だったが、審議はほぼ尽くされたと感じた」「参議院の態度として結論を出さなきゃいかん時期だと私が判断」「参議院の意思を表さないと時期としてはちょうどいい時期だと思った」と特別委員会採決に至った経緯を説明したうえで、議事運営の正当性や、野党3党も賛成した点を強調して強行採決にあたらないと認識を示した。そのうえで、「どうしても不備な答弁が目立ったような気がする。今後、外交・防衛委員会などで謙虚に耳を傾けてやってもらいたい」と、政府に苦言を呈した。

 一方、野党5党は「議事課に確認しても委員長が何をいって誰が賛成しているかも分からない。可決とはとても認められない」(民主党の榛葉参議院国対委員長)、「いったい何がおきたのか、そもそも動議が出たのかどうかも、委員長が何を発言したのかも誰もわからない。だから全く無効」(共産党の井上参議院幹事長)などと反発を強めた。参議院に対案を提出して与党と修正協議を行ってきた維新の党も「締めくくり総括質疑をちゃんとやってから採決という話だったが、いきなりの採決は言語道断」(松野代表)、「我々の独自案は採決すらされなかった」「安倍政権は今後、野党に対して対案を出せという資格は一切ない。強く抗議したい」(井坂政調会長)と憤った。

 

 

【野党5党、決議案連発などで抵抗】

 野党5党1会派の参議院国対委員長らは、山崎参議院議長に、特別委員会での採決は無効であり、審議を特別委員会に差し戻すよう申し入れた。また、議事録精査が終わるまで参議院本会議の開会を認めないとも抗議した。しかし山崎議長は「鴻池委員長から採決に瑕疵はなかったと報告を受けた」などと述べ、野党側の要求を受け入れなかった。

 特別委員会での可決を受け、参議院議院運営委員会理事会が開催された。民主党など野党が反発するなか、中川雅治委員長(自民党)が、参議院本会議を17日中に開会することや関連2法案の緊急上程を職権で決定した。これに反発した民主党は、中川委員長の解任決議案を提出する。参議院本会議での決議案審議でも、野党側は、趣旨説明や賛成討論にてフィリバスターを行った。しかし、中川委員長の解任決議案は、野党の賛成召集により否決された。

 

関連2法案の本会議採決を大幅に遅らせたい野党5党1会派は、国会対策委員長会談を開いて、安倍総理はじめ関係閣僚や鴻池委員長らに対する問責決議案を参議院に、内閣不信任決議案を衆議院に共同提出するなど、あらゆる手段で対抗することを確認した。決議案1件につき採決に配布資料の印刷や投票時間を含めて3時間程度かかることから、効果的なタイミングを見計らって順次、決議案を国会提出していくことにした。

中川委員長の解任決議案の採決に先立ち、まず中谷大臣に対する問責決議案を参議院に提出する。中谷大臣に対する問責決議案を審議する参議院本会議では、野党側のフィリバスターに対処するため、自民党が決議案の趣旨説明・賛否討論の時間を1人10分以内に制限する動議を提出した。これに対し、野党側は、時間のかかる記名投票による採決を求めて対抗したが、与党の賛成多数により動議が可決された。中谷大臣に対する問責決議案をめぐっては、自民党の反対討論で共産党が防衛省の内部文書を入手した件について「情報を手に入れた側に違法行為がなかったか調査してほしい」などと述べたことに共産党が猛反発し、決議案の質疑が一時ストップする場面もあったが、野党の賛成少数により否決となった。

 その後も、山崎議長や安倍総理、鴻池委員長の問責決議案を次々と参議院に提出した。18日の参議院本会議でいずれも審議されたが、与党などが時間制限の動議を可決させたうえで反対多数により否決した。維新の党は、問責決議案の対象を安全保障法制の審議に関わった閣僚らに限定すべきだとして、山崎議長の不信任決議案を処理した参議院本会議に欠席した。鴻池委員長に対する問責決議案では、趣旨説明に立った民主党の小西洋之議員が、25分に制限されていた時間を大幅に超え、56分間にわたって関連2法案の不備や安倍政権を批判し続けた。

 

また、野党5党は、衆議院に内閣不信任決議案を共同提出した。自民党は、可決されれば内閣総辞職か衆議院解散を選ばなければならない内閣不信任決議案と、法的拘束力のない問責決議案とでは重みが異なるとして、衆議院側では、時間制限の動議を提出しなかった。衆議院本会議で趣旨説明に立った民主党の枝野幹事長は、約1時間45分にわたって「安倍政権の安保法制は、戦争への深い反省に基づく民主主義と立憲主義、そして平和主義と専守防衛に基づく戦後の安全保障政策を転換し、破壊するもの」「戦後最悪の法案を強行する姿勢は、まさに暴挙」などと安倍内閣を批判し続けた。

その後の賛成討論でも、野党5党は「平和主義、立憲主義、民主主義を大きく傷つけることに加担するのか」「安倍内閣の集団的自衛権の行使容認は憲法違反以外の何ものでもない。即刻退陣すべき」(民主党の岡田代表)、「安倍政権の答弁は終始真摯さに欠けた」(維新の党の松野代表)、「立憲主義を根底から破壊しようとしている」(共産党の志位委員長)と非難するなど、フィリバスターを実行した。これにより、本会議採決まで約3時間半を要することとなった。内閣不信任決議案は、野党5党などの賛成少数により否決された。

 

 

【19日未明に関連2法が成立】

 参議院で鴻池委員長の問責決議案が野党5党の賛成少数により否決された後、19日未明になって、関連2法案を審議・採決する参議院本会議が開催された。鴻池委員長による委員会報告後、自民党が討論時間などを1人15分以内に制限するよう求める動議を提出したのに対し、野党は記名投票での採決を求めた。反対討論に立った民主党の福山幹事長代理は、時間制限の動議が賛成多数により可決したにもかかわらず、「昨日の暴力的な強行採決は無効だ。法案が違憲かどうかは明白で、集団的自衛権の行使は戦争に参加することだ」などと批判し、約30分間の演説を行った。

 各党による賛否それぞれの立場から討論した後、関連2法案の採決が行われた。与党と野党3党などの賛成多数により関連2法が可決、成立となった。採決の投票総数は238で、賛成148票、反対90票だった。本会議場で山崎議長が成立を宣言すると、与党席からは拍手が起き、野党席からは「憲法違反」のコールが起こる異例の事態となった。

 

 関連2法の成立を受け、安倍総理は「平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜く必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのものだ。子どもたちや未来の子どもたちに平和な日本を引き継ぐため、必要な法的基盤が整備された」と法整備の意義を改めて強調したうえで、「今後も積極的な平和外交を推進し、万が一への備えに万全を期していきたい」などと述べた。

強行採決だとの野党側の批判には、「野党からも複数の対案が提示され、議論も深まった。民主的統制をより強化する合意が野党3党となされた。より幅ひろい支持のもとに成立させることができた」と反論した。また、野党側が戦争法案と批判していることに対しても、「もし戦争法案なら、世界中から反対の声が寄せられるはずだ。しかし、世界のたくさんの国々から、支持する声が寄せられている」と説明したうえで、「戦争法案や徴兵制など、無責任なレッテル貼りが行われたことは大変残念」「レッテル貼りは根拠のない不安をあおるもので無責任」と述べた(通常国会が事実上閉会した25日の会見)。

そして、安倍総理は、世論調査で反対が賛成を大きく上回っていることを念頭に、「さらに理解を得られるよう丁寧に説明する努力を続ける」「時を経るなかで、法制の意義は、十分に国民的理解が広がっていくと確信している」と自信を示した。

 

 賛成票を投じた与党や野党3党からも「日本の安全と平和を確保していくため結論を出さなければいけなかった」「個別的であれ集団的であれ、自衛権を発動しないで済むために全力を傾ける必要がある」(自民党の谷垣幹事長)、「日本を守るための抑止力を高め、これにより外交で物事を解決する力とする。憲法の枠内で自衛隊の活動を活かし、きちんと歯止めをかける具体的な措置を盛り込んだ」(公明党の山口代表)、「与党が修正案をのんだことは、国民の意見をくみとったものと評価したい」(新党改革の荒井代表)などと評価した。日本を元気にする会の松田代表は、与党との修正協議で国会関与を強めて自衛隊の海外派遣に歯止めをかけたことを大きな成果としつつも、「問題が多い法案、欠陥が多い法案」「11本を束ねた法案は間違っている。バラバラにして出し直すべきだった」とも述べた。

 

これに対し、野党5党は、違憲の法律を強行採決したとして一斉に批判した。民主党は、「憲法の平和主義、立憲主義、民主主義に大きな傷跡を残した」「集団的自衛権の部分は白紙に戻さなければいけない」(岡田代表)、「こんなかたちで成立したのでは、最前線の自衛隊員が不安になる。許しがたい」(北沢俊美・野党筆頭理事)、「憲法を踏みにじり、国会で自民党・公明党が追随した。絶対に忘れてはいけない日だ」(蓮舫代表代行)などと訴えた。

他の野党も「安倍政権は横暴で傲慢だ。衆参ともに強行採決をしたのは残念でならない」(維新の党の松野代表)、「採決強行を満身の怒りを込めて糾弾したい。憲法の平和主義を壊し、立憲主義を壊し、国民主権の民主主義を壊す、まさに歴史的な暴挙だ。この暴挙を働いたものには必ず歴史の裁きが下る」(共産党の志位委員長)などと非難した。

また、民主党や維新の党、共産党は、来年夏に行われる参院選でまず勝利して衆参勢力の異なるねじれに持ち込み、関連2法の執行阻止や与党に見直しを迫るためにも、与党に対峙できる野党勢力の結集や共闘態勢の強化を呼び掛けている。

 

 政府は、19日の持ち回り閣議と国家安全保障会議(NSC)で、政府が法律施行にあたり5党合意の趣旨を尊重し適切に対処する旨を盛り込んだ「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」を決定した。17日に特別委員会で可決した附帯決議では、与党と野党3党の合意事項が盛り込まれているが、閣議決定によりこれらを追認、合意履行を正式に担保した。

 関連2法は、9月30日に公布し、来年3月末までに施行される。関連2法により、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊の武器使用権限などが強化され、駆けつけ警護や、一定地域の治安維持を担う安全確保活動などが可能になる。国連南スーダン派遣団(UNMISS)に派遣している自衛隊の部隊が来年5月に交代となることから、政府は、早ければ来年2月にも閣議決定するPKO実施計画で、駆け付け警護を新たな任務として追加する方針だ。防衛省は、関連2法にもとづき、武力攻撃などに直面した際の任務遂行の基準や武器使用のあり方などを定めた「部隊行動基準(ROE)」の更新や、新たな訓練の検討などの準備作業に着手した。

また、中谷大臣は「(米軍と)訓練や情報交換など、今まで対応できなかった調整や協力ができる部分もある。わが国の抑止力、対処力を向上させていくことにつながるので、今後とも連携したい」と述べており、自衛隊・米軍との共同訓練の拡大など体制整備・連携強化、日米協力の具体的シナリオの検討などにも着手する。政府は、自衛隊が米軍を後方支援する際の手続きを定めた「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」を改定して、秋の臨時国会にも提出することをめざしている。

 

 もっとも、関連2法は憲法違反との主張が絶えない。年内にも多くの違憲訴訟が提起される可能性がある。日米安全保障条約や自衛隊の違憲性が問われた過去の裁判で、最高裁判所は高度な政治性を伴うことを理由に司法の判断対象外としてきた。ただ、民主党など野党は、特別委員会の採決にあたり手続き上の瑕疵が多々あると主張している。特に、地方公聴会に派遣された委員が調査結果を特別委員会へ口頭または文書で報告することになっているが、16日に開催された地方公聴会(横浜市)の公述人発言の報告がされないまま、17日に質疑を打ち切ったのではないかとの声も出ている。今後、司法の判断次第によっては、政策の再転換を迫られる可能性も否めない。違憲か否かをめぐる議論は、まだまだ続きそうだ。

 

 

【内閣改造の動きに注目を】

自民党は、24日に両院議員総会を開いて、9月8日に告示された総裁選で無投票再選した安倍総裁(総理)の再任を正式に了承した。また、臨時役員会や党総務会などを開催して、内閣改造に併せて行う党役員人事を安倍総裁に一任することを決めた。

再任された安倍総理は、今後も経済最優先で取り組み、デフレ脱却・経済再生に再び全力を挙げる決意を表明した。アベノミクス第2ステージとして、日本の構造的な課題である少子高齢化に歯止めをかけて50年後も人口1億人を維持し、誰もが家庭・職場・地域などで活力を発揮できる「1億総活躍社会」の実現をめざして、(1)国内総生産(GDP)600兆円の達成で希望を生み出す強い経済、(2)希望出生率1.8の実現をめざして夢をつむぐ子育て支援の充実、(3)介護離職ゼロなど安心につながる社会保障制度改革・充実、の「新3本の矢」で重点的に推進すると訴えた。

 

 1億総活躍社会を実現するため、安倍総理は、国民的議論を深めるため有識者で構成する国民会議を設置して、2020年までの道筋を定めた「日本1億総活躍プラン」を策定する考えを示した。経済から子育て・介護、社会保障制度改革など政策課題が多岐にわたり、省庁間の総合調整が必要となることから、内閣改造に伴って担当大臣を新設するとしている。いまのところ、閣僚枠は増やさず兼務とする方向で、甘利経済再生担当大臣が兼務する案が有力となっているようだ。

 具体的には、多様な働き方改革や生産性革命、対日投資の促進、地方創生・ふるさと活性化などを果断に進め、まず希望を生み出す強い経済をつくっていくとしている。そして、少子化に真っ向から取り組み、待機児童ゼロの実現、幼児教育の無償化のさらなる拡大、多世帯への重点的支援、子どもの貧困対策、教育制度の複線化、奨学金拡充などを進めて、誰もが結婚・出産の希望をかなえることができ、誰もが進学できる社会環境をつくるという。また、介護施設の整備や介護人材の育成などを進めて在宅介護の負担を軽減するとともに、仕事と介護が両立できる社会づくりを本格的にスタートさせたいとしている。さらに、現役世代も安心できる社会保障制度の改革・充実、予防に重点化した医療制度改革、高齢者への多様な就業機会の提供など生涯現役社会の構築といった取り組みも進めていくという。

 

 引き続き経済再生をはじめ山積する重要課題に全力を挙げて取り組む姿勢を打ち出すとともに、来年夏に行われる参院選を見据えて、政権基盤を固め直し人心一新を行うねらいから、安倍総理は、ニューヨークで開かれている国連総会出席など外遊日程をこなして日本に帰国する10月2日以降、組閣に向けた作業を本格化させる。7日にも内閣改造・自民党役員人事を断行する方針だ。

 

安倍総理は、24日の会見で「大きな骨格は維持をしながら、女性の皆様にも活躍をして頂きたいと思うが、同時に老・壮・青、男性・女性、バランスのとれた体制を整えていきたい」と説明している。いまのところ、内閣では麻生副総理兼財務大臣や菅官房長官、甘利経済再生担当大臣、石破地方創生担当大臣、塩崎厚生労働大臣、岸田外務大臣、中谷防衛大臣、遠藤オリンピック担当大臣、公明党の太田国土交通大臣が続投になるのではないかとみられており、閣僚交代は小幅になると見方が出ている。女性登用の一環として、稲田政調会長や丸川参議院厚生労働委員長らを閣僚などに起用するといった話も浮上しているようだ。党執行部では、高村副総裁や谷垣幹事長、二階総務会長の留任が固まったとされている。

一方、下村文部科学大臣の交代は確実となった。2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の旧整備計画で総工費が2520億円に膨張し、安倍総理が白紙撤回という一連の混乱を招いた責任をとって、下村大臣は安倍総理に辞任を申し出た。24日、旧整備計画で経緯などについて検証した文部科学省の第三者委員会(委員長:柏木昇・東京大学名誉教授)は、「難度が高く複雑なプロジェクトに求められる適切な組織体制を整備できなかった」と、下村大臣にもその結果責任があると結論付ける報告書をとりまとめたからだ。安倍総理から慰留され、下村大臣は、内閣改造までその職に留まることとなっている。

 

 自民党内には、衆議院当選5回以上を中心とした入閣待機組も多い。党内各派は、こうした議員たちをなるべく多く入閣させようと躍起になっており、水面下での競争が過熱している。ただ、安倍総理は、これまでにも閣僚や党役員に女性や若手などを積極的に登用してきただけに、党内各派の希望通りの人事になるかは未知数だ。

来週、安倍総理は内閣改造・自民党役員人事を断行する。どのポストにどのような人材を配するのだろうか。そして、内閣改造のねらいを安倍総理がどのように説明するのだろうか。重要課題が山積するなか、当面の政策動向を把握するためにも、まずは改造内閣の顔ぶれと、安倍総理はじめ新閣僚の発言などをしっかり抑えておくべきだろう。
 

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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