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舞台は宇宙! 衛星でインターネット環境が変わる

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依然として、世界にはインターネット接続が簡単にはできない地域が多くある。山岳地域や離島など、地理的に孤立した地域やインフラ整備が乏しい地域などだ。今こうした地域に、衛星を利用して安価なインターネット接続を届けようという試みに注目が集まっている。

ロケットや電気自動車、次々と途方も無い構想をぶち上げては、それらを実現してきたイーロン・マスク。彼が次に目をつけたのが、衛星を使ったインターネット接続の構築だ。概要はこうだ。100億ドルもの資金を投じ、高度約1,200kmという低軌道に、小さく低コストの衛星を4,000基投入する。


イーロン・マスクが設立した宇宙関連企業「スペースX」のロケット打ち上げ。衛星を使ったインターネット接続を見据えた来年の試験衛星の打ち上げも既に申請済みだ

彼はこの計画によって、世界に30億人余りいるインターネットにアクセスする手段が乏しい人たちに対し、高速かつ安価なインターネットサービスを届けるという。早くもアメリカ連邦通信委員会に対し、来年2016年に2基の試験衛星を打ち上げることを申請した。2030年までに、この計画を完成させるつもりだという。

もうひとつの有力かつ注目すべき会社がある。かつてGoogleの衛星部門のリーダーを務めていたグレッグ・ワイラー率いるOneWebである。OneWebの計画では、1,200kmの低軌道に648基の小型衛星を投入するという。今年6月には、アリアンスペースと「ソユーズ」ロケット21機の打ち上げ契約を結んだことを発表した。2017年に最初の打ち上げを予定しており、2019年末までにすべての打ち上げが終わるという。

この計画には15億〜20億ドルほどの費用が掛かるとされているが、すでにリチャード・ブランソンのヴァージングループをはじめ、エアバス、Qualcomm(クアルコム)、コカ・コーラなど、名だたる企業から5億ドル投資を受けている。実現性の高さではイーロン・マスク計画を上回っているといえるだろう。

ふたつの計画では、共に低軌道衛星が使われている。低軌道衛星は地球から高度2,000km以下という低い軌道を周回している。その特徴は、伝送距離が短く遅延が発生しにくいのと、衛星の持つ出力も強くなくていいため小型化が可能であること。一方で、電波の送れる範囲が狭く多数の衛星を運用する必要がある。現在、KDDIでは、低軌道衛星を使ったインターネットサービス「イリジウムGO!™」を提供している。機器とスマートフォンを接続することで、衛星を介した電話やSMSのやりとりができるそうだ。

もうひとつ、主要な人工衛星として静止衛星がある。静止衛星は、赤道上空約36,000kmの円軌道(静止軌道)を、地球の自転周期と同じ周期で回る人工衛星である。高高度であるため、3基の衛星で地球全体をカバーできる反面、静止軌道までの約36,000kmを電波が往復するため、伝送遅延が発生し、小型化も難しいのが難点だ。


JAXAが運用する超高速インターネット衛星「きずな」

この静止衛星で注目されているのが、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する超高速インターネット衛星「きずな」だ。大災害時に対応できる通信と通信手段が乏しいデジタルディバイド地域解消の技術開発を目的として、JAXAと情報通信研究機構が共同で開発。2008年2月23日にH-ⅡAロケットによって打ち上げられ、現在も運用中だ。

「きずな」は2008年5月に、当時、世界最高速度となる1.2Gbpsでの超高速データ通信に成功し、さらに2014年5月には、新たな通信方式の研究開発により世界最高速3.2Gbpsの衛星伝送に成功した。そのほか、防災や遠隔地医療、遠隔教育(eラーニング授業)、フェリーとの通信など、さまざまな実証実験が行われている。

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