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Album Review:ニュー・オーダー『Music Complete』 豪華ゲストを迎えてなおメランコリーの漂う、10年ぶりにして最高の新作

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Album Review:ニュー・オーダー『Music Complete』 豪華ゲストを迎えてなおメランコリーの漂う、10年ぶりにして最高の新作

 少なくとも、この音楽が聴こえている間だけは恍惚とした気持ちでいられるし、無敵になれる。そういう意味では、間違いなくニュー・オーダーのアルバムである。『Lost Sirens』(2013年)は『Waiting For The Sirens’ Call』(2005年)と同時期のセッション曲が収録された作品だったので、今回の『Music Complete』は実に10年ぶりの完全新作だ。

 名バンドによる久々の新作、というだけならただ真っ直ぐに受け入れれば良いのだけれども、そうはいかないのがニュー・オーダーというバンドのややこしさであり、人間臭さである。『Waiting For The Sirens’ Call』のツアー後、バンドの中でも重要なキャラクターを担っていたベーシストのピーター・フック(フッキー)がメンバー間の確執から離脱し、ニュー・オーダー自体も2011年の再結成ツアーまで休止状態にあった。そのため、今回の『Music Complete』にフッキーは参加していない。

 しかし、メランコリックなイントロから沸々と立ち上がるオープニングの「Restless」以降、ニュー・ウェーヴ/シンセ・ポップのレ・ミゼラブルを地で行く現在進行形のニュー・オーダーは、壮麗なサウンドスケープと珠玉のメロディによって、一気にリスナーを引き込んでゆく。ケミカル・ブラザーズのトム・ローランズが参加した「Singlarity」はダンサブルなブレイクビーツが挿入されたナンバーだが、続くシングル曲「Plastic」も、負けじとシンセサイザー・ディスコ風のベース・フレーズがうねる強力な一曲だ。

 「Plastic」、「Tutti Frutti」、「People on the High Line」といった楽曲群で立て続けにコーラス参加しているのは、現代型のUKエレポップをリードする一人、ラ・ルーことエリー・ジャクソン。この3曲のリッチな手応えは、彼女の歌声による貢献度が大きい。「Stray Dog」はイギー・ポップによるズシリとした手応えのポエトリー・リーディングで、ドラマティックに展開するトラックがイギーの語りを後押ししてゆく。最終トラックの「Superheated」ではザ・キラーズのブランドン・フラワーズも参加しているが、ゲストの存在感に負けず劣らず、エピックな大作「Nothing but a Fool」では現行ニュー・オーダーの創造性が爆発していて素晴らしい。

 最高の新曲がズラリと並んでいても、何かがポッカリと欠けている。取り返しのつかないことが既に起こっていて、晴れやかな気分には成りきれないまま、音楽に合わせて踊っている。ニュー・オーダーのリアリティとはいつでもそういうものだったし、だからこそ絶大な信頼感を勝ち取ってきた。『Music Complete』は9月23日に日本で世界に先駆けてリリースされ、ボーナスとして「Restless」のエクステンデッド・ヴァージョンも収録されている。

[Text:小池宏和]

◎リリース情報
『ミュージック・コンプリート(Music Complete)』
2015/09/23 RELEASE(日本先行発売)
TRCP-200 2,300円(tax out.)
iTunes:http://apple.co/1L2nsVp
※ボーナス・トラック1曲収録、解説/歌詞対訳付

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