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落選運動 選挙活動ではないため今すぐ始められると東大教授

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「数の力」で安保法案を強行採決・成立させた日、安倍晋三・首相は、国会を取り巻いて徹夜で安保法案反対を訴え続けた国民のデモについて、祖父の岸信介・元首相が日米安保条約を改定したときの「60年安保闘争」のデモと比べてこういってのけた。

「あのときは、『総理大臣の身辺の安全を完全に守ることは難しい』とまでいわれていたが、今回は全くそういう状況ではない。私は平常心で成立を待っていた」

 だが、安倍首相が「これで反対運動は終わりだろう」とタカをくくっているとすれば、国民の失望と怒りの大きさを見誤っている。

 安保法案反対デモをきっかけに、国民の間にうねりが生まれているからだ。次の国政選挙で法案に賛成した議員を落選させる「落選運動」である。

 安保法案が成立した後、学生団体『SEALDs』の中心メンバー・奥田愛基氏は、国会前に集まった人々に、「次の試合は勝つ。みなさん、選挙に行こうよ」と連呼していた。もっとも、デモ参加者たちの話をきくと、改めて呼びかけられるまでもなく、すでに具体的な落選運動の方法を考えていた。60代の主婦はこう語る。

「来年の参院選まで待てません。探したら毎週のように全国のどこかで市長選などが行なわれているじゃないですか。政府の目を覚まさせるには、安保法案に反対した人たちが全国に足を運んで自民党の政治家を一人でも多く落選させるように呼びかけていくことが必要だと思います。これからはそうした活動に喜んで参加します」

 一見して“デモ初心者”とわかる70代の現役自民党員もこういうのである。

「私は地方議員だった親父の代から2代目の自民党員で、選挙になれば手弁当で自民党のセンセイを応援してきた。でも、こんなやり方には心底失望した。年が年だからやれることには限りがあるが、今後、自民党の活動には協力しないし、選挙も自民党以外に投票する。周りにもそう働きかけます」

 落選運動が自然発生的に始まっていることがわかる。全国約1万4000人の学者・研究者が賛同する『安全保障関連法案に反対する学者の会』の呼び掛け人の1人で哲学者の高橋哲哉・東京大学大学院教授は、落選運動の組織化を提唱する。

「法律が成立したことで、今後は参院選、それに続く衆院選に向けた落選運動を大衆運動として広げていこうと考えている。具体的には、法案賛成議員のリストをネットで公表し、個々の議員に対して『違憲が指摘されていたのになぜ賛成したのか』『立憲主義をどう考えるか』といった公開質問を行なう。その回答もネットで公表するという方法で有権者に落選をよびかけていく。

 その一環として落選運動も展開することになるでしょう。落選運動は事前運動が禁止されている特定の候補を当選させるための選挙活動ではないから、いますぐ始めることができます」

※週刊ポスト2015年10月9日号


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