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第25回 飲食事情(その2)

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 留置場でありがたいことに税金で与えられる食事は、官(公)から与えられる弁当ということで「官弁」と呼ばれ、このような官弁に耐えられない人が口にする弁当は「差弁」呼ばれる。
 一般的には、自分でお金を払う弁当であるから「自弁」と言われているものである。自分で発注し業者から差し入れてもらうという意味でも、外部から関係者が弁当を差し入れることが多いことからも、差し入れられる弁当ということで「差弁」とも呼ばれている。
 多くは、収容されているある程度の地位にあるヤクザ屋に組関係者が差し入れているようだ。

 この「差弁」はさらに二種類に分類される。このことはあまり知られていないと思う。
 一つは官弁の副食となるもので官弁と差弁の両方を食することができるもので、もう一つは官弁の代わりとなるもので、官弁はなく差弁だけを食するものである。

 副食差弁当としては野菜炒め、焼きそば、親子丼、かつ丼があった。丼物が人気であったようだが、その当時で600円とか700円であった。
 聞くところによれば冷え切っていてさしておいしくないらしい。ただ、自腹を切ってまでの購入ということで、ほとんどの人は丼物を食べきり、主食であるはずの官弁を残している。

 この副食差弁に対して官弁の代わりとなる本来の差弁は、まさに弁当そのもののようだ。隣の部屋の誰かが注文をしており、私の部屋の前を通って運び込まれるのを見たことがある。20~30センチ四方の黒い箱だった。中身まではさすがに分からないが、見たことがある人に聞くと、値段は1500円ほどで確かに超豪華な弁当であるとのことだった。
 当時の宮崎は東京に比べると物価が安く、その宮崎にあって1500円というのは確かに安くはなく、中身も良いのだろうと推察できる。

 副食差弁とは呼ばれないホントの副食もある。菓子パンである。メロンパン、アンパン、チョコレートパン、レーズンパンがあり、いずれも150円となっている。毎週火曜日の運動時間に注文の受付がある。
 タバコを吸いながら、やはり隣でタバコを吸っている人に、「パンはどう?」と聞くと、頼まなきゃパンを食べることはできないし、当たり外れがなくておいしいよと言われ、メロンパンとレーズンパンを注文することにした。
 火曜日に注文をして中二日おいた金曜日の夕方に配達されてくる。やや遅いのでは?配達されたパンはそのまま部屋のしかるべき場所、棚があるわけではなく何となく決まっている自分の位置近くの畳の上に、そのまま置いておく。
 パンは翌日の土曜日の朝食となって、官弁は残され捨てられてしまう。

 パンといえばコーヒーがつきものだが、留置場での飲み物はどうなっているのか。
 食事時になると部屋の鉄格子の下段に設置されている物の授受のための30センチ四方の窓口が廊下側に開いて、それがそのまま置台となる。留置担当官はその置台にプラスチック製のコップを人数分置き、ヤカンに沸かされたお茶を注いでいく。窓口に近い者が受け取り他の者に回す。

 どうもお茶をわかす担当官はローテーションになっているらしく、人それぞれによって濃かったり薄かったりする。我々は、身分もわきまえず、あの担当さんは入れ方が下手だとか、あの人のお茶はおいしいとか勝手なことを言い合っている。

 飲むのは何杯までとの明確な決まりがあるわけではないようだ。暗黙の了解で毎食時一人当たり2杯となっている。1杯飲み終えると、「担当さ~ん!お茶ください」と大声で呼びかけ、「ちょっと待って」と言われながらお代わりを待つことになる。食事時に合計6杯、さらに就寝前の8時に1杯出るので、一日合計7杯となる。(つづく)

元記事

第25回 飲食事情(その2)

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