体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

30年前にブレイクしなかったコンビニのコーヒーは今、なぜヒットしているのか?

30年前にブレイクしなかったコンビニのコーヒーは今、なぜヒットしているのか?

 今、コンビニに行くと当たり前のようにあるコーヒー。カップをもらい、セルフで注がなければいけないが、安価で美味しいコーヒーが飲めるということから人気を集めている。

 実はこのコンビニコーヒーが初めて登場したのは30年も前のことだという。しかし、今なぜブレイクしたのか? その答えが書かれているのが、数多くのヒット商品を企画・立案してきた高杉康成氏が執筆した『ヒットの原理』(日経BP社/刊)だ。
 本書はヒット商品の事例を紹介ながら、ヒットを生み出すためにどのように「プラン」を組み立てるかというところに力点が置かれて書かれている。どんなビジネスマンも「プラン」作りをする機会はあるが、あらゆる「プラン」作りの場面で応用できる内容であるため、ビジネスに携わるすべての人が参考にできる一冊となっている。
 今回、新刊JPは著者の高杉氏にインタビューを行った。その前編をお送りする。

 ◇     ◇     ◇

――『ヒットの原理』という書籍名から、ヒット商品を生み出すための方法を提示してくれるというイメージを持って本を開きましたが、実際に読んでみるとマーケティングに限らず幅広い職種の人が行っている「プラン」の立案について重点的に書かれていました。

高杉:本書は、ヒット商品を生み出すだけ手法だけではなく、どういった販売戦略を立てるのかも含めた「プラン全体」に注目した本です。「新商品・新規事業の企画立案」のみならず、「既存商品・サービスの販売企画」においても、「世の中の動き(トレンド)、顧客の要望(ニーズ)を捉えているのか」という基本的な部分は重要です。
ヒット商品や成功するプランは、こういった「トレンド」「ニーズ」をうまく捉えています。換言すれば、これらは「優れたプランの要件」とも言えます。しかしながら、昨今の「プランづくり」を見てみますと、「プロダクトアウト(作り手・売り手側)の視点」「深みのない視点」が顕著に見られます。

それは例えば、「クラウドや農業などブームに踊らされているビジネス」「作り手視点の新商品・サービス」「あまり考えられていない店舗立地」「中身だけではなく件数だけを目標にした営業活動」「当たればラッキーのベンチャーキャピタルの投資」「国内市場がダメなのですぐに海外市場へ逃げてしまう事業戦略」といったことが挙げられます。
クラウドビジネス、農業ビジネスなどは、一つの大きな流れです。ただ、流行っているからといって「クラウド」×「農業」というように、単純な形でプランを立てても、肝心の顧客ニーズを押さえていないので、失敗してしまいます。

店舗立地においても、中身を考えないスピード重視の立地が見られます。自社の商品・サービスの特長、世の中のトレンド、ニーズを考えれば、もっと上手な立地もできるのに、とたびたび感じます。
営業戦略などの「プラン」を見ても、「ターゲット顧客」と「訪問件数」「売上目標」だけを並べた「中身のないプラン」が少なくありません。ベンチャーキャピタルなどの投資においても、「数打てば当たる」というように、一つ一つを吟味するのではなく、投資したうちのいくつかが当たればいい、というような思考に変わってきています。昔はしっかりと吟味していたのですが、それがうまくいかないため、「吟味よりも確率」という考え方に変わってきたのでしょう。ただ、実際は、「味の中身が浅かった」という原因が非常に大きいのでは、と考えています。

――そういった問題を感じていたところからこの本を執筆につながっていったわけですね。

高杉:そうです。ほかにもあります。国内市場がダメだからといってすぐに海外市場に展開するプランも、思考の薄いプランです。もちろん、発展途上国といわれた国の所得レベルが上がってくるにつれて、ビジネスのターゲットがワールドワイドになってきているのも事実です。これ自体は、立派なトレンドなのですが、「猫も杓子も海外展開」というような風潮自体は、ブームに踊らされているといっても過言ではありません。
実際、海外ビジネスはそんなに簡単ではありません。どこかの大手企業の下請けで海外展開する話と、自社商品・サービスを独自のマーケティングで展開する話では、天と地ほどの差がありますが、こういった違いも認識しないまま「海外展開」がブームとなっているのです。実際のところ、上場大企業から中小零細企業まで、かなりの企業でこういった現象に陥っています。
こういった現象を見て、いつも感じていたことが「世の中のトレンド」「顧客のニーズ」といった肝心の部分が欠如していることなのです。つまり「思考の浅いプラン」が蔓延しているのです。コンサルタントとして指導するたびに、この部分に懸念をいだいていました。また、実際、企業の担当の方へアドバイスする内容も、こういった内容ばかりだったのです。そこで、大企業から中小企業までアドバイスをしている内容自体を、本にすればいいのでは、と感じ、出版することにしたのです。

1 2次のページ
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。