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野村克也氏「捕手は年重ねて味出る。35歳から面白くなった」

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 野村克也氏と江本孟紀氏、黄金時代の巨人を知る、南海ホークスの伝説のバッテリーが急遽集結し、原辰徳監督率いる現在の巨人について語り合った。話題は弱点とされる捕手に……。

──今季の巨人は正捕手問題が取りざたされました。若手の小林(誠司)が育たない原因は何でしょう。

野村:キャッチャーを育てるのは難しい。経験と時間がいる。それに大舞台を経験させないとダメ。それをベンチがわかっているかどうかです。

江本:育てるには使い続けるしかないですよね。でも今はリード云々より、打てないとすぐ代えてしまう。

野村:野球を知らないんだろうな。プロ野球80年の歴史を調べればわかるよ。川上(哲治)さんが指導者だった頃の巨人は、正捕手だった藤尾(茂)さんに外野をやらせて、森(祇晶)を正捕手に据えて、我慢して使った。そういうことがわからない。

──ファーストにコンバートされた阿部慎之助が捕手に“出戻り”したこともありました。

野村:なんで阿部はキャッチャーをやらないの?

──首や膝が痛いとか。

野村:なんじゃそりゃ。

江本:首や膝が痛いとファーストもできませんよ。野球はそんなに甘いものじゃない。それにキャッチャーほどいいポジションはないと思うけどなァ。寿命が長く、ヨレヨレになってもできる。谷繁(元信)をみればわかるでしょう。逆にファーストに行けば先がない。

野村:キャッチャーは年を重ねると味が出てくるしな。オレは45歳まで(現役を)やったけど、35歳ぐらいから面白くなってきた。特に日本シリーズを経験するとぐっと成長する。あの舞台では1球たりともおろそかにできない。ピンチやチャンスは1球で決まってしまう。試合中にはわからなくて、終わって「あの1球が……」とわかる。そうして成長するんですよ。一人前のキャッチャーができたら、チーム作りは半分終わったようなもの。

江本:だからコロコロ代えちゃダメなんですよね。

野村:そもそも何故バッテリーというか。プラスとマイナスの組み合わせなんです。「打てるものなら打ってみろ」というプラス思考のピッチャーを、マイナス思考のキャッチャーがコントロールする。女房役とはうまくいったものだよ。そして手柄はピッチャーに譲る。完封すればヒーローインタビューはピッチャー。ベンチでレガースを外しながら「コントロールが良かった」「球が走った」と答えているのを聞いて「オレのおかげやろうが、エエ加減にせえ」とボヤいていた。

江本:ホンマよくいじけてましたよね(笑い)。でも、女房役に徹していくといいキャッチャーになる。

野村:巨人のベンチはこういうことがわかっていない。そもそもバッテリーコーチが秦(真司)だから仕方ないのかもしれないけどね。オレはヤクルトで関根(潤三)さんの後任を任されたけど、その時の正捕手が秦だった。

 関根さんはよく使っていたなと思ったよ。バッターが待つと誰もがわかっているノースリーの場面で、カーブのサインで四球を出した。ベンチに帰ってきた秦に「オイ、なんでカーブなんや」と聞いたら、「打ってくると思った」と答えた。ヤクルトのレベルの低さを痛感したね。バッティングはいいから、使いたくなる気持ちはわからんでもなかったが。

──捕手落第の選手がバッテリーコーチでは、いい捕手が育たない。

野村:処世術には優れているんだよ。昔は「近くに来たから」なんて挨拶に来ていたな。中日のコーチが決まると途端に来なくなったけど。まァ、他のコーチもゴマすりばかりやな。原も高校・大学、プロと苦労せずに来たから仕方ないが、能力でなく処世術で組閣しているようじゃ勝てん。

※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号


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