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タイラー・ザ・クリエイター、約二年ぶりの来日公演開催

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Photo By Masanori Naruse
今やヒップホップ界のみならず、ポップカルチャー・シーンのアイコン的存在のMC=タイラー・ザ・クリエイターが、最新作「チェリー・ボム」を引っ提げ、約二年ぶりの来日公演を果たした。

Photo By Masanori Naruse
4月11日のコーチェラ・フェスティバルを皮切りに開始された「チェリー・ボム・ワールドツアー」は、北米、ヨーロッパと約5ヵ月間に渡って敢行され、行く先々で大勢のキッズ達に大熱狂で迎え入れられた。

途中、オーストラリア、イギリスでのライブを断念せざるをえない不運な事情に巻き込まれながらも、歯牙にも掛けずツアーは続けられ、韓国を経て、リリース・ツアーの最終地として、ここ日本へと降り立った。

<以下ライブ・レポート>
タイラー・ザ・クリエイター、ソロ名義としては2年ぶり、2回目の来日公演が東京のLIQUIDROOMで行われた。一夜限りのプレミアライブとなったこの日のフロアは、入場時に配られていたタイラーのCherry Bomb「お面」を頭にのっけたファンで大盛況。開演前から異様な熱気に包まれていた。

ステージのバックにタイラーのロゴが飾られている以外は照明台とターンテーブルのセット(というかPCテーブルのセットですね)だけという極めてシンプルなステージは、昨今のショーアップされたアメリカのヒップホップ・スターのライブを見慣れた目には逆に新鮮。開演時間から平気で25分遅れて(こちらもオールドスクールの流儀か。もっとも、昔のヒップホップの来日ライブと比べたらこれでも早い方です)ステージに現れたのは、タイラーとOFWGKTAの悪ガキ仲間ジャスパー・ドルフィンとDJ TACOの3人。

本国で大ヒットを記録中の最新作「Cherry Bomb」は近年のファレル(「Cherry Bomb」にゲストとしても参加)の作品にも通じる70年代R&Bのテイストが導入され、OFWGKTAも含めてタイラーが関わってきた作品史上最もメロディアスと言っていい作品だったが、ステージ上でのタイラーは相変わらず破天荒キャラが炸裂。タイラーも相棒のジャスパー(もともと彼はラッパーではなくOFWGKTAにおいてはアクターというポジション)も決してラッパーとして卓越したスキルの持ち主とは言えないが、そこは瞬発力勝負、ある意味パンクとも言えるその単純明快で荒っぽいステージングは、彼らの音楽が人種を超えて支持されている理由の一つだろう(この日のLIQUIDROOMにも多くの外国人が集まっていたが、その多くは白人だった)。

不穏極まりないトラックと沈み込むような不気味なラップが印象的なタイラーの代表曲“YONKERS”のような曲も、ライブにおいては低音割れ気味の爆音オケ(「MP3音源?」と疑いたくなるような音質)と、ひたすらアッパーなパフォーマンスで、縦ノリのパーティーチューンと化す。途中、オーディエンス全員をフロアにしゃがませて、一体何をするのかと思いきや、掛け声に合わせてジャンプさせるだけという、あまりにもライブハウスのロックバンド的なくだりもご愛嬌。タイラーのライブは音楽を浴びるというよりも、彼とその仲間たちの無軌道で行き当たりばったりなライフスタイルそのものを浴びる体験なのだ。

そんな勘所をすべて理解しているオーディエンスは、とてもここでは書き起こすことができない四文字言葉と蔑称に塗れたMCにもビビッドに反応。狂乱と笑いに満ちたステージはジャスト1時間。普通だったら「あの曲もやってほしかった」みたいな声も出そうなところだが、目の前であのタイラーがやりたい放題ぶちかましてくれた、その事実だけですっかり満腹状態といった様子。ただそこにいるだけヤバい。でも、そのヤバさは強面なものではまったくなく、やたらチャーミングだし時にキュートでさえある。とてもアメリカのヒップホップ・シーンにおける最重要人物の1人とは思えない、そのカジュアルさこそが、タイラー・ザ・クリエイター最大の魅力だ。

Text By 宇野維正

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タイラー・ザ・クリエイター オフィシャルサイトhttp://www.sonymusic.co.jp/artist/tylerthecreator/

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