パン職人を父に持つライターが、マツコ絶賛の「スフォリアテッラ」を作ってみた!
こんにちは、ライターの木村です。実家は北海道の函館市でパン屋を営んでおります。生まれる前から母のお腹の中でパンの匂いを嗅ぎ、パンが焼き上がるオーブンの音を聞きながら育ちました。
そんなわたしには最近気になるものが……。
みなさん「スフォリアテッラ」をご存知でしょうか? 日本人にはなんとも発音が難しい「スフォリアテッラ」は、イタリア語で「ひだを何枚も重ねた」という意味をもちます。その名の通り生地が何層にも重なった見た目は、まるで貝のようなパイ状の焼き菓子です。専門店があったり、高級レストランのデザートとして登場したりと、イタリアでは国を代表する焼き菓子として知られているんです。
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日本ではまだまだ知名度が低いスフォリアテッラですが、先日テレビ番組の『マツコの知らない世界』に登場し、あのマツコ・デラックスさんが「おいしい!」と絶賛したことで、NEXTブームスイーツの呼び声が高くなっています。
記事にしようとネットに「スフォリアテッラが売っている」と載っていたお店に行ってみたのですが、残念ながら取り扱いがありませんでした。大好きなインターネット、ちょっと嫌いになりそうです。
だったら……! ということで今回は、おもいきって自宅で作ってみようと思います。
まずはパン職人である父親に電話をし、スフォリアテッラ作りのコツを聞き出します。半年ぶりの娘の声に、父、少し喜んでいました。
ということで、まずは基本の材料から!
《スフォリアテッラ 6個分》
■生地 強力粉 200g 薄力粉 100g 水 120g ラード 30g 塩 5g
■フィリング 牛乳 200ml バター 10g 塩 少量 セモリナ粉 50g 砂糖 80g クリームチーズ 100g シナモンパウダー 少量 バニラ・エッセンス 少量 卵 1つ
※ドライフルーツを追加する場合は、50g用意してください。
■そのほか ラード(生地に塗る用) 80g
材料は以上! では、さっそく作っていきますよ~~!
生地を作る
1. 大きめのボウルにふるいにかけた強力粉、薄力粉を入れ、水、ラード、塩を投入したらこねていきます。
最初はパサパサしてなかなか馴染みませんが、こね続けているとだんだんまとまってくるので安心してください。水を少しずつ加えることで、ダマになるのを防ぎましょう。
2. パスタマシーン、もしくはめん棒を使って薄く伸ばします。
パスタマシーンをお持ちでない方は、めん棒で根気強く伸ばしていきましょう。だいたい5mmくらいまで薄くしたらOKです。
3. 練った生地をラップに包み、冷蔵庫で1~2時間休ませます。
今回は1時間休ませて次の工程に移りましたが、できれば2時間ほど休ませてください。その方がこのあとの成型がやりやすく、焼き上がりの食感もよくなります。
4. 充分に休ませた生地を、6等分し、さらに薄く伸ばしていきます。
パスタマシーンがある場合はそのまま伸ばしていっていいのですが、今回はめん棒であることと、作業スペースが限られていることから、6等分して簡単にスフォリアテッラの特徴である生地の層を増やす作戦です。
このときの伸ばしが、薄ければ薄いほど焼き上がりの食感がよくなります。手がすっけすけに見えるくらいには薄くしましょう。
5. 薄~く伸ばした生地に溶かしたラードを塗り、3つ折りにします。
このとき、ラードはしっかりと塗りましょう。量が少ないと生地同士がくっついてしまい、キレイな層になりません。スフォリアテッラ作りにおいては、バターでなくラードを使うことで特徴的なパリッとした食感をだします。
6. 3つ折りにした生地をさらにうすーく伸ばしていきます。
スフォリアテッラは、薄い生地を何層にも重ねることが大事!
ひとつの生地を折り重ねることで簡単に生地の層を増やすことができます。
7. [6]を6回繰り返したらそれぞれの表面にラードを塗り、重ねていきます。
この時点で、すでに3つ折り×6枚で18層のできあがりです!
8. 重ねた生地を筒状に巻いていきます。
直径は8cmくらいになるのが理想です。
わたしは横長に伸ばしてしまったので、直径が小さく細長い円筒になってしまいました……。このように細長くなってしまうと、切り分けたときに小さくなり、中にフィリングなどを詰めにくくなりますので注意が必要です!
9. 生地をラップで包み、冷蔵庫で最低2時間。可能であれば一晩寝かせます。
さーてさて、スフォリアテッラ作りの前半工程は終了です!
ちなみに、わたしは横着して2時間寝かせただけで次の工程に移ったのですが、できれば1日寝かせて生地を休ませましょう。
この生地は冷凍して2~3か月保存可能なので、時間のあるときに作りおきしておいてもいいかもしれませんね。
フィリングを作る
生地を寝かせている間にフィリング(生地にはさむ中身)を作りましょう。
通常のスフォリアテッラは、リコッタチーズやカスタードクリーム、アーモンドクリームのほかにドライフルーツなどを包んで焼き上げることが多いです。
今回はリコッタチーズの代わりにクリームチーズを使い、シナモン風味のフィリングを作っていきます。
10. 鍋に牛乳、砂糖、塩、バター、セモリナ粉を入れて温めていきます。
写真ではすでにセモリナ粉が全量はいっていますが、ふるいにかけながら少量ずつ加えていくとダマになりにくいです。
11. 全体がよく混ざり、かたまってきたら別容器にあけ、冷まします。
ダマダマになってしまった失敗例のフィリングがこちら
これは……いい失敗例ですね。いいですか? みなさんのためにわざと失敗したのであって、ナチュラルなミスではないですからね! くれぐれも勘違いしないように!
もしこのようにフィリングがダマダマになってしまっても、あきらめないで……!
目のこまかいふるいやザルでこしましょう。
この程度まで復活することができれば、なんの問題もありません。
12. ボウルに煮込んだセモリナ粉、卵、クリームチーズ、シナモンパウダー、バニラ・エッセンスを加えます。
お好みでドライフルーツを入れる場合は、ここで一緒に入れてください。また、卵を加えるとフィリングが柔らかくなり若干包みづらくなるので、生地の成型に自信がない方は加えなくて大丈夫です。
※この時点で、オーブンを予熱200℃に設定しておきます。
13. 冷蔵庫から生地を取り出し、2~3cm幅にカットしていきます。
このとき、あまり薄く切ってしまうと、生地を伸ばした際に穴があいてしまうので注意してください。
14. 外側に広げるようにして、生地を湯指で“三角すい”の形に伸ばしていきます。
こんな感じで器のようにします
こうして見るともう貝っぽい!!!
15. 伸ばした生地に、フィリングを詰めていきます。
このとき、中身を詰めすぎると生地に穴があいてしまったり、焼いてる途中であふれてきたりするので、注意しましょう。
16. 三角形(貝殻の形)に成型したら、鉄板に並べてオーブンに投入!
この時点でもう充分スフォリアテッラたちに愛着をもっているはずなので、「いよいよかぁ~」と、我が子を送り出す親の気持ちがちょっぴり体験できます。
17. 200度のオーブンで30~40分焼きましょう。
火加減を調整できるオーブンの場合は、上火を強めにしておきましょう。オーブンの種類や生地の状態によって焼き色の具合が変わるので、様子をみながら時間を増やしたり減らしたりして調整してください。
だんだん色がついてきた……!
18. こんがり焼き色がついたら完成!!
ついに、ついに、完成です〜〜〜〜〜!!!!!
ではでは、スフォリアテッラ……いただきま~す!
中はこんな感じ!
うん、めっっっっっちゃザックザクです! このザクザク感はフィリングのシナモンを多めに入れて、風味をしっかり出したのも、生地と相まってちょうどいい感じに。
我ながらおいしくできたのではないかと思います。……が、なんか思ってたのと違う。ということで、パン職人である父親に各工程の写真を送り、電話越しの反省会を開くことにしました。(父、本日2度目の登場です)
電話口で普通に怒られるわたし
父曰く、今回の反省点は 生地をもっともっと薄くするべきだった。 フィリングをこしてダマを取ったのはいいアイデアだけど、粉ものと水分を合わせるときはダマにならないよう少量ずつ混ぜるべきだった 一つ一つが小さい そのせいでフィリングが包みづらくて、焼き上がりがキレイじゃない(ところどころコゲてる) そもそも生地の伸ばしから失敗している!
って、父よ……ほぼ全部じゃないか。
(………パン屋の娘なのに……いいとこ見せられなくてごめんよ、父ちゃん……!)
と、パン職人歴30年の父からすると、娘の作ったスフォリアテッラは反省点が多すぎたようで、普通に怒られてしまいました。
ですが、これはみなさんに「よくありがちな失敗」を見せられたいい例だったと、わたしはポジティブに捉えていますよ! 泣いてなんか……いません。(ぐすっ)
まとめ
暑すぎず寒すぎず、気温や室温が比較的安定するこれからの時期は、お菓子作りやパン作りに適した時期といわれています。
サクサク食感が特徴でおいしいスフォリアテッラですが、自宅で手作りすることで焼きたてサックサクの状態で食べられるんですよ。素晴らしいじゃないですか。
流行を先取りするなら今!
みなさんも、この機会にぜひスフォリアテッラ作りに挑戦してみてくださいね~!
書いた人:木村衣里
北海道函館市出身。突然の上京から3日後、某編集プロダクションに拾われる。現在は編集プロダクション・プレスラボの編集ライターとして活動中。実家がパン屋なので美味しいパンを探し歩くのがすき。この世で一番愛らしい動物はカバだと思っています。
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