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ドーベルマン

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 都内のある繁華街でよく飲んでいた。その頃に通っていたクラブがあり、なじみ客となり、そこのホステスと顔見知りになった。バブルがはじけた後で、高級クラブの景気はどんどん悪くなってきていた。いつのまにか、その店もクローズになってしまった。

 その後、かなり経ってからのこと。急に私の事務所に、そのホステスから電話があった。新しく勤めている店に来てほしいという営業電話かと思ったが、そうではなかった。

 ヤバイ筋から金を借りており、一度差し入れた返済計画どおりに返済できないので、新たな返済方法をもって交渉してくれないかという債務整理の依頼であった。そのヤバイ筋というのは、その繁華街では知らない者がいないほど有名な人物であった。

 その有名な人物が経営している会社に電話をして、ホステスの借金のことで相談に伺いたい旨を伝え、アポをとった。繁華街近くにある高級マンションであった。
 時間通りに到着して、中に入ると、その広いことに驚いた。刑務所の塀の上を歩いているようなことをしていて、よくこんな立派なマンションにと思ったが、だからこそ立派なマンションに居住できるのかもしれない。

 その社長と、その脇には目つきの鋭い男が一人。奥にはほかにも何人かがいる雰囲気であった。マホガニー調の立派な机で向き合うその目つきの鋭い男は、弁済計画について、あれこれと聞いてくる。それがかなり鋭い質問で、頭が切れる人だなと感じた。
 なかなか、妥協点を見いだせずにいたところ、突如として、奥からドーベルマンが3匹だか4匹だか登場した。いや~、さすがに驚いた。彼らが、私にけしかけることはないと思うが、そこにいるだけで恐ろしいものである。
 最終的には、このままではどうせ払うことができないのだからということで、私の案で押しきり、相手もしぶしぶ承諾をした。後日、私の事務所で、正式に債務弁済契約を締結することとなった。もちろん、無事に帰ることができた。

後日談1。
 事務所で契約を取り交わす段になって、有名人物の身内が印鑑などを持って来た。ホステスは時間に遅れている。
 ところが、ホステスと共に、ホステスの男が突如登場し、有名人物の身内の者に対して、自分は○○組の者だが、自分の上の者とそちらの上の者とで話をつけた。細かいことをここで打ち合わせしたいという。私は蚊帳の外である。なんなんだそれは。私に挨拶もしない男の態度にも頭にきた。
 私に関係のない話になっているのに、私の事務所で話をするという。冗談じゃない。そんな話は別のところでやってくれと追い出して、事件は終了。

後日談2。
 繁華街で、高級車に乗っている有名人物を見かけた。助手席にはドーベルマンが2匹乗っていた。残りのドーベルマンは、留守番だろうか。

後日談3。
 さらにかなりの月日が経過した後に、またそのホステスから電話が入った。私も懲りずに、話だけは聞いてあげた。
 今度は、自己破産をしたいという。私の銀行口座を教えて、事前に着手金と費用をきちんと振り込んできたら、連絡をするということにした。どうせ振込みはないだろうと思っていたら、きちんと振り込んできた。彼女は自己破産した。

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ドーベルマン

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