ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第6回)

DATE:
  • ガジェット通信を≫

13. 僕の音楽武者修行

 

 

スティーブンは家の前に止まった黒いリムジンに荷物を運び込んでいました。

 

「本当に行ってしまうのね」

 

母親のリンダが心配そうに言います。

 

「うん、クインシーさんのところで修行してくるよ」

 

スティーブンは才能を見込んでくれた音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズの元で住み込みで勉強をすることに決めたのでした。

 

 

車はニューヨークへとやってきました。クインシーはブロードウェイ近くの豪邸に住んでいるのです。

 

スティーブンは喜びでいっぱいでした。

 

「今日から僕の新しい人生が始まるんだ! これからの人生は楽しくやらなくっちゃ! これからの人生は頑張ってやらなくっちゃ!」

 

与えられた部屋に荷物を運び終え、くたくたになったスティーブンはベッドで泥のように寝ました。

 

その日、スティーブンが見た夢はたくさんの有名ミュージシャンに個人指導を受けている自分の姿でした。

 

 

14. 初めての練習

 

しかし、スティーブンに与えられた指示は予想外のものでした。

 

「きみにはまず車磨きをしてもらおうか。音楽の練習はそれからだ」

 

毎日毎日、クインシーのリムジンを磨くことになったのです。

 

1ヶ月経ちました。

 

まだマイクは触らせてもらえません。

 

2ヶ月経ちました。

 

まだまだマイクは触らせてもらえません。

 

 

スティーブンはだんだんと不信感が湧いてきました。

 

(ひょっとして僕は騙されているんじゃ? 上手いこと言って洗車係として雇われただけじゃないんだろうか・・・?)

 

スティーブンはクインシーに何度も訴えます。

 

「クインシーさん! 僕は歌がやりたいんだ! 歌わせてくれよ!」

「スティーブン、焦るでない。ワックスを塗る。息を吸う。今はそれだけでいい」

 

いつもそうやってはぐらかすのでした。

 

そんなある日、いつものようにリムジンにワックスを塗っていると、スティーブンに近づいてくる男がいました。

 

「きみがスティーブンかい? 僕はブランドン。噂は聞いているよ」

 

そう言うと名刺を渡してきました。

 

 

そこには「有名なレコード会社」と大きく書いてあったのです。

 

「ランナウェイズであてた20万ドルの予算がある。きみをデビューさせたい。興味があったら連絡してくれ」

 

そう言って去っていきました。

 

15. 大型デビュープロジェクトが始まる

 

スティーブンはすぐさま連絡を取りました。

 

そうしてプロデューサー主導のデビュープロジェクトが始動したのです。

 

スティーブンは夜逃げのようにクインシーの家を抜け出し、ブランドンが用意したマンションに引っ越しました。

 

ブランドンはこんな要求をしました。

 

「今すぐ持っているクインシーのレコードを捨ててほしい。決意表明だよ」

 

スティーブンは躊躇しましたが、しかたなく応じました。

 

曲は有名ミュージシャンに書いてもらえることになり、レコーディングも進んでいきます。

 

同時に音楽雑誌の各紙に広告が載りました。

 

何もかも失った青年が、父親の死を乗り越えて今、歌い出す──。

 

そこにはスティーブンの生い立ちが悲劇的な神話かのように書かれていました。

 

まだレコードを出していないにも関わらず、ローリングストーン誌でのインタビューも決まりました。

 

 

デビューに向け、すべてが順調に進んでいきます。

 

「ついに、ついに僕の歌が世に出てしまうんだ。明日、世界が変わってしまうんだ」

 

発売前日、スティーブンはマンションの部屋で喜びに震えていました。

 

そして、朝を迎えました。

 

「な、なんだってーーー!?」

 

スティーブンの悲鳴が上がります。

 

(つづく)

 

【シリーズ一覧】

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第1回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第2回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第3回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第4回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第5回)

※ 何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第6回) ←イマココ

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
LIGの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP