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中国人が続々入植する香港 大学教授は「反中国運動」を評価

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 香港では、中国の香港支配に反対する急進的な組織がネット発で生まれ、過激な行動を起こしている。ネット掲示板で中国人を罵るほか、街頭でも中国人に対して「イナゴ」といった差別的な表現を使ったり、日本の「在特会」と似た雰囲気の街宣を行ったりしている。

 こうした急進派組織の活動家であるサイモン・シン氏(22)は「マスゴミも政府も警察も既存政党も中国の手先だ。侵略を防がなくてはならない」と語った。彼らの存在をどう捉えるべきか。ノンフィクションライター・安田峰俊氏がレポートする。

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 もっとも、サイモン氏たちを香港版の「在特会」とばかり決めつけるのは早計だ。なぜなら、返還後の香港の政財界やメディアの多くが中国共産党の影響下に入り、各方面で中国の「侵略」が年々進んでいること自体は、客観的にも明らかな事実だからだ。

 現在、人口720万人の香港には毎年3万人前後の中国出身移民が入植を続け、現地サービス業の多くも中国マネーに頼る状況だ。近年は中国共産党に批判的な新聞や書籍の関係者が襲撃されるなど、言論支配も強まっている。

 雨傘革命の原因である選挙制度改革も、実質的に親中派の政治家だけが香港の行政長官に選ばれる仕組みを作るためのものだった。

 近年、これらの現状に反発して嶺南大学助教授の陳雲氏が提唱したのが、香港の自主独立を目指す「本土派」の主張である。

 現時点で香港社会での支持率は数%程度だが、雨傘革命による反中感情の高まりもあり、じわじわと支持を広げている。

「急進派のサイモン氏らの行動は、多くの人の眉をひそめさせるものかもしれない。だが、私は反中国の抵抗運動の一種として評価したいと思う。香港の現状は既にそこまで追い詰められ、手段を選ぶべきではない」

 ある本土派シンパの大学教授はそう話す。

「もっとも、香港の独立は本来、1997年の返還前に主張しておくべきだった。中国共産党に外堀を埋められた現在の状態で言い出しても、実現性はゼロだ。今後の香港には、中国に支配される未来しか残されていないだろう」(同)

 冴えない暮らしを送るネットユーザーたちによる、鬱憤晴らしのヘイトスピーチ運動か。それとも、中国共産党に支配される運命に抗う、破れかぶれのレジスタンスか。

 明確な評価が定まらないまま、香港の繁華街では今日も罵声が飛び交い続けている。

※SAPIO2015年10月号


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