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とんねるず 面白さの秘密は「存在感の小ささ」、独特の緩急

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 一部で打ち切り説が報じられていたフジテレビの『とんねるずのみなさんのおかげでした』が継続することが今月初め、明らかになった。解散説も出ていたが、こちらもなさそう。7月末放送の『27時間テレビ』で石橋貴明が「大丈夫? 俺たち解散するんだって」とネタにしている。これだけ彼らが話題になるのは、なんだかんだ言って、とんねるずが気になる存在だからではないだろうか。そこで改めて考えてみたい。とんねるずの面白さの秘密はどこにあるのか? テレビ解説者の木村隆志さんが明らかにする。

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 コンビ解散説に、番組打ち切り説…。今年、とんねるずを扱うニュースは暗いものが多かった。ただ、解散も打ち切りもなかったのは、結局とんねるずが好きな人が多いから。失礼ながら、これというギャグはないし、トークが抜群という感じでもないのに、いったいなぜなのか? その答えは、「どんなに大物になっても、どこか素人っぽさを残した芸風」とみている。

 帝京高校の同級生で結成し、師匠も養成学校もなく、“クラスで一番面白いヤツ”から独学でスターになったとんねるず。80~90年代の武器だった破天荒さは薄れても、そのミーハーさは全く変わっていない。クラスメートのかわいい子や運動部のエースに接するように、若手女優やアスリートにちょっかいを出す姿は、50代になってなお高校生のようさ無邪気さを感じる。有名人に対するアンテナが素人並みに高いから、誰とでも絡めるのだろう。

 同世代のダウンタウンやウッチャンナンチャンと明らかに異なるのは、(よい意味での)存在感の小ささ。洗練した芸よりも、等身大のおフザけを好むスタイルは相変わらずであり、「技術や台本よりもノリ重視」だから、出演者の楽しさが視聴者にシンプルに伝わる。『笑っていいともグランドフィナーレ』での歴史的な乱入は、いかにも“ノリのとんねるず”らしかったし、そのくせ先輩・タモリの花道を飾るために控えめだったのも、体育会系の素人だった彼ららしい。石橋自ら「自分に才能を感じていない」と語っていることから、今後もこの姿勢は変わらない気がする。

 かつて『野猿』などのスタッフを巻き込んだ内輪ネタを流行らせたのも、存在感の小ささを自覚した横並び意識からではないか。近年は時代の流れを読んでか、内輪ネタを減らして後輩芸人との絡みを増やしているが、横並びのような立場でじゃれ合う姿は変わっていない。とんねるずには、年齢や立場を問わず、タレント、スタッフ、視聴者を自分たちの世界に巻き込む引力があるのだ。

 人気が落ちないもう1つの理由として、独特の“緩急”を挙げておきたい。もともとボケとツッコミの区別がない2人だが、役割の差は明確。トークを回す“勢いの司令塔”石橋と、それにゆったり反応する“間のプレーヤー”木梨(憲武)という役割の緩急があり、番組が一本調子になりにくい。また、他の芸人よりも緩急の度合いが大きいから、とんねるずの番組はどんなテーマでも内容がわかりやすいのだろう。

 最後にエールの意味を含めてふれておきたいのは、とんねるずを取り巻く期待感。「男気のあるとんねるずなら、『元気がなくなった』と言われるテレビ界に再び勢いをもたらすような大暴れをしてくれるのではないか」と期待している人は多い。2人に期待するのは、バラエティー番組にブレーキをかけるコンプライアンスやネット炎上を完全無視の大暴れ。とんねるずには、「大物」「レジェンド」よりも、「ヤンチャな兄貴」というイメージのほうがしっくりくるのだ。少なくとも、『笑っていいとも!』終了後の“タモロス”に続く、“とんねるロス”にならないように番組は続けてほしい。

【木村隆志】
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者。テレビ番組への出演や連載コラムを重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動している。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超える重度のウォッチャー。著書に『トップ・インタビュアーの聴き技84』(TAC出版)など。


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