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第23回 願い事(その2)

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 願箋には願い事の内容を具体的に記載しなければならない。「携行願」とは、弁護人接見や裁判のときにノート・筆記具・刑事記録を持っていきたいので許可してくださいというもの。

 この許可がない限り手ぶらで行くことになるが、刑事記録が手元にないと弁護人との打合せに支障をきたすので、携行の許可は必須である。
 ところが、私の場合、入所したその日12月25日に弁護人との接見があり、願箋を出して事前許可を受けなければならないなどとも知らず(留置場は自由に持っていけた)、ノートなどを持って居室を出た。

 ところが、そこでストップがかかった。刑務官が「携行願いが出てないよな」と言うが、何も知らない私は、キョトンとしたままだった。ただすぐに、「今日入ったばかりだもんな。しかたないよな」ということで、刑務官の了承をもらって事後承認で願箋を提出するということとなった。融通の利く刑務官だった。

 接見終了後に、別の刑務官が携行願いの願箋を提出するようにと願箋を持参してきた。そこで必要事項を記載することになったのだが、願い事を具体的にどのように書いてよいのか分からず、ひな形があるだろうから教えてもらいたいと頼むと、その返事は「甲弁護士と接見する際に、ノート・筆記具・裁判資料一式を携行できるよう許可されたく願い出ます。」というもので、まぁ分かりやすい内容であるとは思う。

 しかし、私の場合そうはいかないのである。刑務官のいう書き方だと、甲弁護士以外の乙弁護士が接見に来たときに、筆記具等を持ち出せないことになる。その当時弁護人選任届を提出していた弁護士は優に130名を超えていた。もちろん、名前だけの私を応援してくれる先生もいて、そのすべての先生が接見に来てくれるわけではない。

 それでも、少なくとも宮崎の先生方や東京から宮崎に接見に来てくれる弁護士に限っても10名近くに及ぶ。さらには、まだ弁護人選任届を提出していないが、「弁護人になろうとする者」という資格で接見を希望する先生もいるかもしれない。
 そのことを丁寧に説明して、「甲弁護士」ではなく「弁護人となりもしくは弁護人となろうとする弁護士」としたいとお願いした。

 ところが、官僚の悪しき前例主義が登場する。その刑務官は前例がないということで、私の言い分をまったく受け付けてくれない。
 宮崎といえども、複数の弁護人が付いている事件もあるだろうに、本当に特定の一人の弁護士に限定しているのだろうか、それとも書式上は甲弁護士に限定しつつも運用として乙弁護士との接見の際に携行が黙認されているのであろうか。

 後日もめるのは嫌であるから包括的な記載で許可してもらいたいと、とにかく理を尽くして説明をし、頼み込んだ。
 そのうち、何をしているのかということで偉いさん刑務官が登場し、再度説明をした。その結果、「弁護人が130名ほど付いており、誰がいつ接見に来てくれるか特定することができません。したがって、毎回どの弁護人であっても、接見時にノート・筆記具・裁判資料一式を携行できるよう許可されたく願い出ます。」との文言で決着がついた。
私の提案文言と異なるのは、刑務官の面子かなとの思いが頭をかすめた。(つづく)

元記事

第23回 願い事(その2)

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