ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

胃カメラ検査 韓国で胃がん死亡率57%低下、鳥取で30%低下

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 日本人の「がん」の中で最も多いのが胃がんだ。1年間で約13万人の患者が生まれ、5万人近くが亡くなっている。市区町村では「胃がん検診」が実施され、全国で年間約378万人が受診している(2012年度)。

 その検診の内容が、来年4月から大きく変わる見込みだ。7月末、厚生労働省の検討会は、自治体が行なう胃がん検診の検診方法について、これまで推奨してきた「バリウム検査」のほかに、「内視鏡(胃カメラ)検査」も推奨することを提言した。

「検討会の最終報告は9月中に行なわれる予定です。それを受けて国会でがん検診指針の改正が承認されれば、来年4月から施行されます」(厚生労働省健康局がん対策・健康増進課)

 自治体による検診は、個人がクリニックに行って検査を受けるよりも、自己負担が低く抑えられる(胃がん検診の自己負担額は自治体によって異なる)。来春からは検診で、胃カメラかバリウムかを選べるようになる見通しなのだ。

 バリウム検査では、炭酸ガスで胃を膨らませた上で、硫酸バリウムを飲む。「ゲップを我慢しながら飲むのがつらかった」という記憶のある人は少なくないだろう。胃の内側に硫酸バリウムを付着させた上で、レントゲン撮影をする。そうすると、胃壁にできた襞(ひだ)や病変が画像上に凹凸として浮かび上がってくる仕組みだ。

 一方、胃カメラによる検査では口や鼻から超小型カメラを差し込む。胃の内側の映像をモニターに直接映し出し、医師が病変を探していく。

 注目すべきは胃カメラによる検査の「発見率」の高さだ。胃の粘膜にある早期がんの場合は凹凸が出ないため、バリウム検査でのレントゲン撮影だけでは発見しにくい。“毎年バリウムを飲んでいたのに、見つかった時には手遅れだった”というケースが少なからずあるのは、そのためだと考えられる。

 それが胃カメラなら、鮮明なハイビジョン画像によって、モニターで胃の表面の色の変化まで確認できる。粘膜のわずかな変化を特殊な色素で強調する技術などもあり、早期段階の病変を見つけやすいとされているのだ。

 前述の厚労省の検討会でも、胃カメラによる検査はバリウム検査に比べて確実にがんを見つけることができると結論づけられた。

 それを示す複数の根拠がある。たとえば新潟市では、2003年から独自の取り組みとして、胃がん検診に内視鏡検査を取り入れてきた。同市の検診で胃カメラを選んだ人とバリウムを選んだ人の結果を比べると、前者のほうが約3倍も発見率が高かった。

 他にも、韓国で行なわれた20万人規模の調査では、内視鏡検査のみを検診で推奨することで、胃がんによる死亡率が57%低下したと報告されている。鳥取県を対象とした研究でも、胃カメラによる検査の導入で、胃がん死亡率は30%低下している。

 国立がん研究センターがまとめる『有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン』では、これまで長くバリウム検査のみを検診方法として推奨してきたが、これらの研究結果が評価されるようになり、今年4月に発表された新ガイドラインで初めて内視鏡検査が推奨方法に加えられた。そのガイドライン変更が、今回の厚労省検討会の提言につながった。

※週刊ポスト2015年9月18日号


(NEWSポストセブン)記事関連リンク
女医アンケート 定期的にがん検診受けている割合は47.5%
胃がんリスク検診 発見率はバリウムの4倍、コスト10分の1
がんの発見経路は「偶然」が1位 検診や人間ドックの約3倍

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。