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いろいろなものの著作権(2)

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 前回に続いて、こんなものにも著作権があるの?という事例をご紹介します。

庭園

 庭園そのものが著作物にあたるかについて争われたケースとして、「希望の壁」事件というものが最近ありました。これは、大阪市の複合商業施設「新梅田シティ」の中にある庭園を設計した造園家が、この庭園に「希望の壁」という長さ78メートル、高さ9メートル以上の大きな工作物を設置しようとした企業に対して、工事の続行を禁止する仮処分を申し立てた事案です。

 そもそも庭園は著作物にあたるのでしょうか?
 この点について、裁判所は、この庭園は、新梅田シティ全体を一つの都市ととらえ、野生の自然の積極的な再現、あるいは水の循環といった施設全体の環境面の構想を設定した上で、その構想を自然の森や渦巻き噴水、カナルといった具体的施設の配置とそのデザインにより現実化したのであって、設計者の思想、感情が表現されたものといえるから、著作物性を認めるのが相当である、としています(大阪地決平成25年9月6日)。

 著作物として保護される場合、著作物が、著作者の人格に基づいて創作された表現であることから、原則として意に反して変更、切除、その他の改変を受けないことと定められています。これを同一性保持権といいます(法20条1項)。「希望の壁」というのは大きな工作物ですので、それを庭園の中に設置することは、「改変」にあたってしまい、認められないのではないかが問題となりました。
 裁判所は、

(1)この庭園は鑑賞のみを目的とするものではなく、利用するものとしての側面が強いこと
(2)老朽化や経済状況の変化に応じて改修を行うことは当然予定されていること
(3)庭園を改変できないとすると、土地の所有権の行使や新梅田シティの事業の遂行に対して重大な制約になること
 という事情を述べて、改変が例外的に認められる法20条2項を類推適用することを認め、本件は20条2項2号の「模様替え」にあたるとしました。
 もっとも、建築物の所有者はなんでもかんでも改変が許されるわけではなく、その改変が著作者との関係で、信義に反すると認められるような事情がある場合には許されないと言っています。

椅子

 また、つい最近大きな注目を浴びたのが、「幼児用椅子」について著作物性が争われた裁判があります。問題となった幼児用椅子について、第一義的には、日常生活で使われることを目的とするものなので、法10条1項4号の「美術工芸品」には該当しないとしました。しかし、美術工芸品に該当しない応用美術であっても、著作物性の要件をみたせば「美術の著作物」として保護されるべきだとして、幼児用椅子について丁寧に検討した上で、「美術の著作物」に該当するとして著作物性を認めています(知財高判平成27年4月14日)。

 このように、様々なものが著作権によって保護されています。今後ますます増えていくのではないかと思われます。

元記事

いろいろなものの著作権(2)

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