注文住宅の建築費が上昇! 建築した人の対応策とは?

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注文住宅の建築費が上昇! 建築した人の対応策とは?

建築費の高騰などで、新築マンションの価格が上昇していると報じられているが、ハウスメーカーなどが建築する注文住宅でも、その傾向が鮮明という調査結果が報告された。住宅生産団体連合会(以下住団連)の調査結果を詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
2014年度戸建注文住宅の顧客実態調査」を報告/住宅生産団体連合会半数が土地を購入して建築、その合計取得費は5060万円

まず、「2014年度戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、注文住宅を建てた人の多くは、土地探しから始めていることが分かる。6割弱は土地を新たに入手(土地を購入して新築50.1%、新たに土地を借りて新築0.5%、買い替え6.5%)して家を新築しており、建て替えや親の土地を相続して新築した割合は4割強だった。

次に、全国で注文住宅を建築した人の平均像を見てみよう。
平均世帯年齢は42.0歳、平均世帯人数は3.48人、平均世帯年収は851万円で、二世帯同居率は12.9%だ。平均年齢は40歳を超えているが、実際の分布は30歳代が40.5%と中心となっており、9.6%を占める60歳代が平均を引き上げるような構図となっている。

住宅の平均延床面積は、129m2で、住宅の平均取得費(土地代と建築費の合計)は4554万円、平均建築費は3310万円、平均自己資金は1480万円、平均借入額(借入ありのみ)は3540万円だ。

ちなみに、土地を購入して家を新築した場合に限った取得費は、平均建築費3033万円、土地の平均取得費2027万円と合わせて5060万円。建て替えの場合に限った平均建築費は3808万円で、土地の取得を伴わない建て替えのほうが、建築費は高くなっている。建築費は上昇トレンド、どのように調整したのか?

さて、問題の建築費だが、全体平均額の3310万円は、前年調査より66万円増加している。土地代も加えた平均住宅取得費も前年から186万円増加し、建築費の上昇が住宅取得費の上昇に影響を与えている。

住団連の調査では、さらに1m2当たりの建築費単価の平均推移(画像1)を出している。これを見ると、2012年を底に2013年、2014年と大きく上昇していることが分かる。

【画像1】平均建築費単価の推移(出典:住宅生産団体連合会「2014年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

【画像1】平均建築費単価の推移(出典:住宅生産団体連合会「2014年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

では、建築費の上昇をどう調整しているのだろうか?
まず借入額を増やしたことがうかがえる。借入ありの平均額が前年より247万円増加し、借入金の年収倍率は4.16倍と前年の3.91倍を大きく上回った。

また、贈与ありの場合の平均贈与額は減っている(前年1121万円→1054万円)ものの、贈与ありの割合が高まった(前年20.2%→21.5%)ことも注目される。特に、20歳代から30歳代の若年層は、贈与の割合がおおむね3割を占めるなど高くなっており、贈与が住宅取得に影響していることが見て取れる。

なお、贈与額については、贈与を受けた人の84.2%が、「住宅取得資金贈与非課税特例」を利用しているので、非課税枠が縮小した影響も考えられる。2013年では非課税枠が700万円だったが、2014年では500万円に縮小したからだが、2015年では1000万円に拡大したので、平均贈与額が今後増加する可能性もある(いずれの場合も、省エネ住宅等の場合はそれぞれ500万円上乗せできる)。

別の調整策としては、住宅の延べ床面積を小さくすることが考えられる。たしかに、延べ床面積は前年よりわずかに小さくなっている(前年131.3m2→129.2m2)。しかし、2008年からの推移を見ると、建築費の上昇との相関はそれほど見られないので、建築費の上昇がすぐに住宅の規模の縮小とは結び付かないようだ。

さて、アベノミクスにより公共事業が増加したこと、東北の復興需要が本格化したことによって、鉄筋コンクリートの建築コストは上昇している。鉄筋コンクリート造りの新築マンションは、この影響で建築コストが高騰し販売価格が上昇している。一方、一戸建ての住宅は木造が中心なので、建築コストについてはこれまであまり話題にならなかった。

今回のハウスメーカーを中心とした調査結果を見る限りでは、建築コストの上昇が鮮明だ。ただし、ハウスメーカー各社は、高付加価値住宅に力をいれている。最近は、スマートハウスやゼロエネルギーハウスといった、住宅内のエネルギーを創ったり貯めたり、コントロールしたりする設備機器を取り入れた住宅が注目を集めている。こうした住宅は建築コストが高くなるため、建築費が上昇しているという見方もできる。

一戸建ての建築を検討している人は、注文住宅でも建築費が上昇したと即断しないで、冷静に判断してほしい。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/09/02/96558/

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