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第22回 願い事(その1)

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第22回 願い事(その1)

 拘置所での生活で重要な役割を果たすのが「願箋」(ガンセン)制度である(刑務所にも願箋がある)。「箋」は「付箋」の「箋」であり「紙片・紙切れ」というような意味だから、「願箋」とは願い事をする紙ということになるが、「心得」の用語説明によると、「いろいろな願い出を申し出るために使用する用紙のことをいいます。願せんや書類を提出するときは、指印を押すことを忘れないでください。」とある。
 「いろいろな」というのは不正確であって「すべて」と言い直した方が間違いがない。頼んだ、頼まれていないといったような揉め事を事前に防止するためのものだろうと思う。

 拘置所での「願い出」は、日用品購入願い、衣類や書籍の仮出し(借出しではない)・領置願い、宅下げ願い、携行願いがほとんどである。「日用品購入願い」はまさに○○といった日用品を購入したいとの願い出、「衣類や書籍の仮出し・領置願い」とは、領置されている服や本を居室内に入れてもらうことやその逆の願い出であり、「宅下げ願い」は私物を自宅に送る願い出、「携行願い」とは接見や裁判に行く際に○○(大体は刑事記録、ノート、筆記具)を携行したいとの願い出をいう。

 中には、「課長等面接願い」や「所長面接願い」等々特殊な願い出もあるが、ここでは触れない。

 また、日用品の購入については、業者との関係や大量処理の便宜のためであろうか一度に12品目まで発注できるマークシートでする。日用品と食品についてはすべての物品にコード番号が付された一覧表があり、例えば、黒ボールペンを2本購入したいような場合には、そのコード番号である「001」と本数を塗りつぶして、翌朝一番でマークシートを提出して発注する。それなので、日用品と食品の購入に願箋を使うことはない。

 願箋はA4を四つ切にした大きさである。願箋の下部分に「平成4年9028達示20号書式」と記載されていることから、法務省からの通達による共通書式であると思われる。この願箋に通常は「首席矯正処遇官殿」と宛名書し、「工場名」、「居室」、「番号」、「氏名」及び願い事の内容を記載して、指印を押して提出する。

 この願箋は、面倒見さん(拘置所工場で作業に従事する受刑者)が提出日の前日に「願箋いりますか」と声をかけてくるので、報知器を出して願箋の交付を受ける。その際に面倒見さんは朱肉(というか何というのか分からないが黒スタンプ)も持ってくるので、そこで指印を押してしまう。報知器については、前に触れた。

 刑務官と若干もめた「携行願」を例にして、もう少し詳しく説明する。
 ここは本来刑務所であって拘置所は併設されているにすぎない。だから、願箋も受刑者を対象として作成されている。これは「工場名」とあることから明らかである。受刑者は、自分が作業する例えば「洗濯」とか「木工」といった工場名を書く。
 未決はどう書くかというと、「工場」とある不動文字の前に「被告」又は「拘置」との語句を書き入れ、「被告工場」「拘置工場」とするわけであるが、かなり違和感があった。
 「居室」欄には自分の居室を特定する独特の用語を書き入れる。前にも書いたが、建物(拘置工場)の2階だから「上」、独居だから「独」、2号室だから「2」で、まとめると「上独2」となり、これが居室を示す語句である。「番号」欄には入所当時に与えられた私の番号、つまり「804」を書く。

 次回に願い事の内容の記載について書くこととする。(つづく)

元記事

第22回 願い事(その1)

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