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全国200ヶ所以上のビール醸造所の中から“日本一のビール”に輝いた、岩手の「ベアレン・クラシック」って知ってる?

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岩手の美味しいもの」といえば、盛岡三大麺(じゃじゃ麺、冷麺、わんこそば)や前沢牛、南部煎餅、銘菓「かもめの玉子」に三陸の海産物がパッと思い浮かぶところですが、実は今年になって「日本一に輝いた岩手名物」があるんです。
それが「ベアレン・クラシック」
今年4月に日本外国特派員協会で開催された「世界に伝えたい日本のクラフトビール」コンテストで、200余りある国内のビール醸造所の中から見事グランプリを獲得。岩手県盛岡市にある「ベアレン醸造所」で創業時から造られているビールです。
このコンテストは、「日本外国特派員協会(FCCJ/通称:外国人記者クラブ)」主催のビールのコンペティション。外国人記者クラブの会員であるジャーナリスト達に日本のクラフトビールの素晴らしさを知ってもらい、世界に発信してもらうことを目的としたイベントです。

 

審査には「日本ビアジャーナリスト協会(以下、JBJA)」が協力し、1次選考で全国200以上のブルワリーの中からJBJAのメンバーが50カ所を選出。2次選考の一般投票で8つのブルワリーに絞られ、4月2日に行われた最終選考において、外国人記者クラブのメンバーを中心とした約160名による試飲、投票によって岩手県「ベアレン醸造所(ベアレンビール)」と静岡県「ベアード・ブルーイング(ベアードビール)」が各77票を獲得して同率1位に輝きました(結果レポートはこちら

 

4月2日、有楽町にある日本外国特派員協会で開催された授賞式の様子。日本ビアジャーナリスト協会、会長の藤原ヒロユキ氏(中央)の右隣が「ベアレン醸造所」の嶌田洋一専務

日本ビアジャーナリスト協会(JBJAとは

ビールに関する正しい情報と豊富な知識をもち、国内外のビールにまつわる様々な情報を発信し、ビールの広く深い愉しさを伝えていくことを目的とした団体。ビアジャーナリスト育成講座「ビアジャーナリストアカデミー」も運営。 日本ビアジャーナリスト協会公式HP
※第6期生(隔週3カ月コース)募集中。ビールに深い愛情をもつ人、ビールの知識と表現力を学びたい方は是非!(定員に達し次第締切)

 


岩手県盛岡市の国道4号沿いにあるベアレン醸造所。施設見学やできたてのビールの試飲もできる
「ベアレン・クラシック」は最終選考の8銘柄の中では唯一のラガー(下面発酵)ビール。ホップやモルトをきかせた豊かな香りと複雑な味わいを特徴とするエール(上面発酵)ビールと比べて、一見すると地味に思われがちなスタイルです。
その中で「ベアレン・クラシック」が最高賞に選ばれた勝因とは? 


ビアジャーナリストでもある筆者がテイスティングレポートとともに、ベアレンビールとベアレン醸造所の魅力をお伝えしたいと思います。

 

ベアレン・クラシック

まずはやはり、日本一に輝いたベアレンのフラッグシップ。

ドイツで最もビール生産量の多い街、ドルトムント。この街でかつて輸出用に造られていたエキス分の高いビールを「エクスポート」と言い、人気を博しました。このスタイルがクラシックです。苦味とコクのバランスが良く、しっかりとした味わいが特徴のラガービールです(リーフレットより)

日本の大手ビールメーカーが販売している主力商品といえば、ほぼピルスナー(最近は多彩なスタイルが出ていますが、あくまでスタンダードな商品)ですが、ピルスナーを細分化すると「ドルトムンダー」というスタイルがあります。

実は大手ビールの中でも『ヱビスビール』はドルトムンダースタイルの好例として知られており、ピルスナーを飲みなれている人には馴染みやすい味といえます。

では試飲。


しっかりとした持ちの良い泡に濃いめの黄金色。ホップの主張が控えめな代わりに、まずは麦の旨味や甘味を感じます。苦味はごくわずかでラガーならではのすっきり感が印象的。

6%と多少のボディを感じつつも、舌に残る雑味などの嫌な感じはなく、するすると喉を流れていきます。口当たりもマイルドでとても上品! 苦味や甘味、キレといった要素が綺麗にバランスされていて、まさに「何杯飲んでも飽きないものを」というベアレンビールの思念を体現したビールです。
料理を合わせるなら……正直たいていの料理を受け止められるのがこのビール。
それだけの懐の広さを感じられるのが、このベアレンク・ラシックです。
ABV(アルコール度数):6%
スタイル:ドルトムンダー (下面発酵)

 

ベアレン・アルト

アルトとはドイツ語で「古い」という意味。現在のラガー(下面発酵)ビールが発明される以前の伝統的なスタイルのビールで、上面発酵酵母を用いた赤褐色のビール。ホップの香りが爽やかで、口当たりがまろやかです(リーフレットより)


オレンジがかった綺麗な赤銅色。口に含むと麦芽の風味が効いた丸みのある口当たりの次に、隠れていたホップの香りと苦みが穏やかに広がります。ほんのりモルト由来の甘味も感じますが、全体的に軽やかでさっぱり。これもまた食事に合わせやすいオーソドックスな味わい。ほっと落ち着く味です。

ABV:5%
スタイル:アルト(上面発酵)

 

ベアレン・シュバルツ

シュバルツはドイツでは主に旧東ドイツ圏で飲まれてきたビールです。東西ドイツ統一で世界中に紹介され、現在人気上昇中のビールです。色は真っ黒なのに、味わいはまろやか、キレがありたくさん飲めてしまう黒ビールです(リーフレットより) 


第一印象はクリーンでみずみずしい! ローストした麦芽の香ばしさを感じながらも、見た目よりずっと苦味と炭酸は控えめで、喉の奥にスッと流れ落ちていきます。キリリと引き締まったとても飲みやすいシュバルツ。肉料理やホワイトソース、チーズなど濃厚な料理はもちろん、これならシンプルな野菜のグリルにもシンクロしそう。
ABV:5.5%
スタイル:シュバルツ(下面発酵)

 

夏のヴァイツェン

小麦を使って作る酵母入りビール。ヴァイツェンは毎回レシピが変わります。バナナを感じる香りが豊かでふくよかな味わいが特徴。苦味は少なく、まろやかな味わいで女性にも人気(リーフレットより)


夏と冬の年2回発売されているヴァイツェンの夏バージョン。注いだ瞬間から甘いバナナのような香りが広がり、きめ細やかな泡が一気に立ち上ります。なめらかな口当たりの次にすぐ訪れる爽やかな甘味、これも夏らしく軽やかな飲み心地です。

ABV:5%
スタイル:ヴァイツェン(上面発酵)
※例年6月~8月下旬まで発売

 

ラードラー

南ドイツでは定番の自転車乗り、という意味のビールのレモネード割り。低アルコールで夏のひと時にさわやかに楽しめます。国産レモン果汁を使い、無添加で自然な味わいに造っています(リーフレットより)

飲みやすさと爽やかさで近頃人気のラードラーですが、実は日本で初めてラードラーを造ったのがベアレン醸造所。限定ビールの中で1番人気を誇るのだとか。ベアレンのラードラーは国産果汁100%、保存料や香料は一切使用していません。


レモン!レモン!そしてレモン!! なんとフレッシュなレモン。後味にわずかにビールの風味を感じるものの、レモンの存在感が強くてみずみずしい。ゴクゴク飲めてしまう爽やかなビールです。レモンとビールの最適な味わいのバランスを生み出すために、ラードラー専用のライトなビールが造られています。

ABV:2.5%
スタイル:ラードラー(フルーツビール)
※例年8月~9月上旬まで発売

 

100年以上昔の醸造設備で造られるビール

これらのビールを造っているのはコンピュータ制御の最新設備ではなく、100年以上も昔から使われているドイツ製の古い醸造設備です。最も古いものは1900年製のモルトミル(麦芽粉砕機)


粉砕された麦芽は1908年製の銅製の仕込み窯で煮込まれます。ドイツスタイルのビールを中心に、伝統的なビール造りにこだわるベアレン醸造所。

その設立から携わっている嶌田専務にお話を伺いました。

–なぜ、これほど古い設備を使おうと思ったのでしょうか?

「初めはコストを抑えるためでした。醸造設備の中古市場が活発なドイツに行き、保存状態の良いものを見つけたんです。でもいろんな醸造所を見て回るうちに、ドイツでも失われつつある伝統や歴史を受け継いでいきたいという想いも強くなりまして。そこで、なるべく当時の部品をそのまま使えるように移設しました」

 
–昔の設備を扱う難しさはどういう点にありますか?

「古い設備を使い続けることにはそれなりのリスクや難しさも伴います。基本的な製造工程は昔と大きく変わりませんが、アナログの設備では温度や状態管理はすべて人の手に委ねられます。ビールは生き物ですから常に変化します。その変化を目で見て、音で聴いて、舌で確かめて、ビールとじっくり向き合って造るんです。職人の技術と経験、繊細な感覚が、ベアレンの美味しさを生み出しているんです」


まさに手間暇かけたビール造り。ビールの些細な変化を感じとることができるのが昔ながらの設備の良さであり、難しさであり、醍醐味ともいえます。メンテナンス性の優れたところもアナログの良さだとか。

 

地元岩手に根付いた醸造所

ベアレンビールといえば、毎月数回開催しているビール会や、県内のさまざまな場所で行われるビアフェスなど、地域密着型のブルワリーとして知られています。ボトルビールは岩手県全域のスーパーで手に入るほど。


–頻繁にイベントを開催されているんですね。

「はい、私たちがビール造りと同じぐらい大事にしているのが、ビールを通じた繋がり、コミュニケーションです。工場の敷地内で開かれるビール祭りをはじめとして、県内の様々な場所で行っているビアフェストや、直営パブで開かれるビール会など、ベアレンビールが飲み放題のイベントを数多く行っています。できるだけ多くの人にビールの愉しさや奥深さを知ってもらい、ベアレンビールの魅力も伝えたい、そのような思いで企画しています」

 


今ではリピーターも増え、どのビアフェスも大盛況。9月下旬にはベアレン最大のイベント「オクトーバーフェストINベアレン(後述)」も開催される

 

被災地支援の「ハナビール」

ベアレン醸造所では東日本大震災後、寄付金付きの商品の発売や沿岸各地でのイベント開催など、独自の震災支援を行ってきました。「ハナビール」は毎年8月11日に被災地沿岸で“追悼”と“復興”の祈りを込めた花火を打ち上げる「LIGHT UP NIPPON」プロジェクトの一環として生み出されたビール。1本につき60円がLIGHT UP NIPPONの活動に寄付されます。


※9月に「ハナビール クラシック」が登場予定

 

ここでしか飲めないレアなビールが届く頒布会

1回注文すると3か月間、さまざまなテーマに沿ったビールが届けられるのが頒布会。
頒布会でしか飲めない超レアなビールが登場します。今年は盛岡産のラズベリーを使った「ラズベリーラードラー」や、濃厚で美味しいはちみつの最高峰といわれる「菩提樹のはちみつエール」など、ビールの面白さや奥深さを感じられる特別醸造が12種類! これも見逃すわけにはいきません。

特別醸造ビール12種類が3ヵ月間届く贅沢 / クラシックビール『ベアレン』Webショップ本店 (クラフトビール 地ビール)

 

毎日飲んでも飽きない、ほっとするビール

ベアレンビールを飲んで感じたのが、どれも
「全体の調和がとれた、落ち着きを感じる味わい」だということ。

それぞれの要素が主張し過ぎず、控えめ過ぎず、あくまで食卓に並ぶ料理や会話を引き立てるために存在するかようなビール。これといって際立つ特徴やクセがあるわけではなく、この安定感がもたらす安心感が飲み手にとって、とても心地よいのです。
キャラクターの派手なホップを大量に使ったビールは飲み続けると飽きたり、疲れてしまうので、そんな時に戻りたくなるのがこのほっとするビール。毎日飲んでも飽きのこないビールです。流行に流されず、広く永く愛されるビールとはこのこと。

東北の人だけではなく全国のみなさんに、一度とは言わず、何度でも味わってもらいたいベアレンビール。


今夜もベアレン・クラシックで乾杯!

メーカー情報

ベアレン醸造所
住所:岩手県盛岡市北山1丁目3-31
電話番号:019-606-0766
公式HP:[株式会社ベアレン醸造所]-トップページ

<a href=”http://j.mp/1uhKVqL” data-mce-href=”http://j.mp/1uhKVqL”>[株式会社ベアレン醸造所]-トップページ</a&g

 

イベント情報

「オクトーバーフェストINベアレン2015」

日時:9月20日~23日、11:00~16:00(10:00開場)
会場:ベアレン醸造所前特設会場(盛岡市北山)
チケット:2,800円(日付指定、全日同額、各日限定400枚、限定ジョッキ付き)
販売場所:ベアレン醸造所、ビアパブベアレン材木町、ビアバーベアレン中ノ橋、

盛岡最大のビール祭り!ベアレン醸造所のオクトーバーフェスト / クラシックビール『ベアレン』Webショップ本店 (クラフトビール 地ビール)
※完全前売り制、当日券の販売はありません。詳細は公式サイトで確認を。 

 

書いた人:山口紗佳

1982年愛知出身、静岡在住。東京の出版広告会社・編プロを経て、現在は育児の傍らビール代を稼ぐ編集ライター。家族旅行にブルワリー巡りを絡めたがるビアラバ―。ラガーと赤いものが超好き。日本地ビール協会認定ビアテイスター/日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリスト

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
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