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Album Review:フューチャー『DS2』 サザン・ヒップ・ホップの“未来”を描き始めた最新作

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Album Review:フューチャー『DS2』 サザン・ヒップ・ホップの“未来”を描き始めた最新作

 アトランタ出身のラッパー/プロデューサーであるフューチャーの、7月に急遽リリースされたアルバム『DS2』が、前作『Honest』(2014年)で打ち立てた全米2位の記録を上回って1位をマークした。リリースから一か月が経過した現在も、トップ10圏内に留まり続けている。

 アトランタ拠点の名コレクティヴである<ダンジョン・ファミリー>の一員であり、ファミリーの名付け親でもあるプロデューサー=リコ・ウェイドに“未来”と呼ばれた従弟こそが、フューチャーことネイヴァディウス・ウィルバーンだった。2010年代に入ってからというもの、3作のアルバムのみならず大量のミックステープ作品を発表(最新アルバムのタイトル『DS2』は、彼が以前発表したミックステープ『Dirty Sprite』の続編という位置付けだ)しており、またプシャ・Tやリル・ウェイン、B.o.B.、リアーナらの話題作にもゲスト参加するなど、数年の間に膨大な量の楽曲に携わって来た。

 前作『Honest』は、ファレルやカニエ・ウエスト、アンドレ3000らというゲストを迎え、音楽的にも華やかな作風となっていたが、新作『DS2』でゲスト・ヴォーカリストがクレジットされた楽曲は、これまでに何度かコラボ楽曲が届けられてきたドレイクとの「Where Ya At」のみ。トラックメーカーもワカ・ロッカ・フレイムやプシャ・Tの近作に携わったサウスサイドや、『Honest』でも重要な働きぶりを見せたメトロ・ブーミンといった、同郷アトランタの若手を中心にクレジットされている。

 オープニングを飾る「Thought It Was a Drought」からして、スモーキーかつメランコリックなトラックに乗せながらも、フューチャーのフロウは鋭角なダンス・ステップを促してくる。トラップ・ミュージックの最新トレンドを洗練させ、シーンのど真ん中に放り込んでくるようなアルバムの作風は、短期間のうちに膨大な量の楽曲を乗りこなして来たフューチャーの、自信に満ちたマイク捌きに裏付けられているようだ。エイサップ・ヤムズを追悼する「Slave Master」や、ゼイトーヴェンが手掛けた美麗なリフレインを誇る「Colossal」、そしてボーナス・トラックとして収められた「Trap Niggas」など、豊かな奥行きを備えた楽曲群の充実ぶりも素晴らしい。

 これまで、周到に話題を攫って来たフューチャーは、いよいよ本格的に“未来”のサザン・ヒップ・ホップを描き始めているのではないか。このご時世にアルバムとしてのストイックな統一感をもって、立体的に伝えられる“未来”の形が、ここにはある。

〈Text:小池宏和〉

◎リリース情報
『DS2』
2015/07/17 RELEASE
iTunes:https://itunes.apple.com/jp/album/ds2-deluxe/id1017053934

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