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外国での服役

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 弁護士であればほとんどの法律を詳しく知っている人であると思っているのが一般人だろう。しかし、その実態はというと、ほとんどの法律を知らないのではないかと思う。
 ただ初めて見る法律であっても、何とか理解できる能力があるだけだ。

 外国で裁判を受けることとなった人についての話である。
 外国で罪を犯し(といっても覚せい剤関係とかではなく、経済犯である)身柄拘束をされたために、その人の会社から、相談を受けた。現実の弁護活動は、あちらの弁護士がやっている。
 すべての事実を正直に供述し、司法取引となったが、それでも2年ほどの実刑という結果であった。あとは、せめて治安のよい刑務所での服役となる配慮をしてくれるという。

 会社がどこで調べてきたのか分からないが、日本で服役できる制度があるので、日本で服役させるように手続きするかもしれないから、事前にいろいろと調査をしておいてくれという。そんな法律があるとは知らなかった。さっそく調べたことはもちろんである。
 「刑を言い渡された者の移送に関する条約」というのと「国際受刑者移送法」というのがあった。まったく初めて耳にする法令名であった。当然中身なんか知らないから、条文を読み関係書籍を読んで勉強することになる。

 日本での服役の要件と手続きが重要であることは当然である。まず大前提として、刑を言い渡した国との間で、移送に関する条約が締結されていなければならない。今回の相談での相手国との間では条約が締結されており、この点はクリアである。

 さらに、受刑者の同意、受刑者が14歳以上であること、その犯罪が日本で行われた場合、日本での法令で禁錮以上の刑が定められていること、その犯罪について日本の裁判所に事件が係属していないこと等の要件が必要であるが、これらも問題はなかった。

 あとは、その国の日本大使館を通じて受刑者の同意の有無を確認し、法務大臣が東京地方検察庁検事正に対して、東京地方裁判所に受入移送できるかどうかの審査請求をなすことを命じ、東京地裁が決定をなすことになる。

 さて、問題はというと、外国での刑務所生活と日本での刑務所生活とのどちらがよいかである。外国刑務所は比較的自由であると聞いているが、日本での場合かなりの自由が剥奪される。しかし、一方で他の受刑者や看守などとの関係で外国刑務所は環境が劣悪だという。日本での刑務所の方がまだよいと思われるし、面会も容易である。

 移送を希望するかどうかは、本人と家族が決定すべきことであり、ありとあらゆる知識を総動員して、助言を与えるしかない。
 2年ほどの刑期であるし、その外国で最も治安及び環境が良い刑務所での収容ということもあり、家族が面会をして、様子を見ようということになったらしい。
 その後、特段の要請がないことから(現在では2年以上経過している)、外国での服役を終えて無事帰国したのではないかと思う。

元記事

外国での服役

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