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経済成長とGDPの間違った関係 なぜ生まれたか専門家が解説

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 ニュースでよく耳にする「経済成長」という言葉があるが、それは具体的に何を意味しているのだろうか。経済学者で投資家の小幡績氏が、「経済成長」が何を指しているのか、経済成長とGDPの関係について解説する。

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 ニュースでよく聞く「経済成長」とは何でしょうか。

 定義上は「GDPの増加」のことです。GDPとは国内総生産(Gross Domestic Product)のことで、一定期間に生み出された付加価値(売上高から仕入れ値を差し引いたもの)の合計になります。簡単な言い方をすると、「企業の利益と労働者の所得の合計」です。要は、国内の儲けの総額です。

 ニュースでよく聞く、「日本の成長率は前年同期比で2%になりました」「年率換算で3.8%でした」というのは、このGDPの増加率のことです。

 ここに間違いの始まりがあります。人間の場合には「成長」というと、不可逆的なもの、つまり成長したら元に戻ることはないものと考えられています。老衰というものはありますが、それはかなり先の話で、成長といったら段階的に、あるいは少しずつ伸びていくもので、今月は伸びたけど、来月は縮みそうだ、ということはないですよね。

 しかし、GDPは増えたり減ったりします。実際、日本のGDPを例にとると、年率で2014年4~6月期はマイナス7.1%、7~9月期はマイナス1.9%、10~12月期はプラス1.5%、2015年1~3月期はプラス3.9%という具合に増減しています。そして先頃発表された4~6月期(速報値)はマイナス1.6%でした。

 これが成長の度合いだとすると、日本経済は成長期にあるのか、衰退期にあるのか、どっちなのかよくわかりません。3か月ごとに成長したり衰退したりするのはどういうことか、と不思議になるでしょう。

 その疑問はもっともで、GDPの増減率を経済成長率と呼ぶこと自体が間違っているのです。

 これは景気の波です。景気は数年周期で循環します。調子が良くなったり悪くなったりする、バイオリズムみたいなものがあります。3か月ごとのGDPの増減率は景気循環の波や短期的なさまざまな要因によって変動するのです。これは成長とは全く関係ありません。

「経済成長」とは本来、長期的な話なのです。GDPでいえば、その増加率の長期のトレンドということになります。今後10年の平均成長率を考えたり、過去10~20年のGDP増加率の傾向を見たりすることが、本来すべき経済成長についての議論なのです。

●小幡績(おばた・せき)1967年生まれ。1992年東京大学経済学部卒、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2003年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授。『円高・デフレが日本を救う』など著書多数。

※週刊ポスト2015年9月4日号


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