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「努力は報われる」は本当か?

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 「努力すれば報いられる」という言葉があるが、必ずしも努力だかで報いられるものではない。例えば、プロ野球選手という夢は、努力をすれば必ず実現できるかというと決してそうではないだろう。もちろん違った形でその努力が報われることがあるのかもしれないが、最初から掲げた目標を圧制できるのは一握りの人たちだ。
 努力でなしうるには限度があり、人間はその分際を心得る必要がある。

 そう説くのが、『人間の分際』(幻冬舎/刊)の著者である曽野綾子氏だ。本書は、「すべてのものに分際がある」「老いと死がなければ、人間は謙虚になれない」「老年ほど勇気を必要とする時はない」など、作家として60年以上、世の中と人間を見つめてきた曽野氏の知恵を凝縮した一冊である。

 人はそれぞれに望むことはするし、望むことについて努力もする。しかし、曽根氏は本当の運命を変える力はないと言う。そこで出てくるのが、「分際」という言葉だ。
 人間の努力が加わらないわけではない。しかし、自分の運命をすべて左右できるということでもない。それが、分けるという字と際という字を書いた「分際」という言葉の意味なのだ。

 冒頭の「努力すれば報いられる」についての話も、本書の中で触れている。すべての人には、努力によってその人の可能性の分野を広げることができる部分も確かにあるが、その程度は限られている。「為せば成る」などというのはひどい思い上がりであると、曽野氏は述べる。
 しかし、その限度は少しも惨めなことはない。その人が何をして生涯を生きるかには、その人が望む部分と、神によって命じられる部分とがある。その接点で生きるのが、一番いい生き方なのだ。そういう考え方だから、怠けるわけではないが、生き方に無理をしなくなる。伸び伸びと無理をせず、自分の人生をできるだけ軽く考えることに馴れれば、血圧も下がる。何より、かっとしたり、恨みを持ったりしないと、淡々と人生が遠くまでよく見えて来て楽しくなる。悲しいことがあっても楽しくなれる。ストレスなども解消されるのだ。

 本書は、曽野氏の小説やエッセイなど、数多くの著作の中から抜粋し、一部、加筆修正したものだ。なので、多くの著作で語られた飾り気のない率直な曽根氏の考えを1冊で読むことができる。気になるところや気に入ったところがあれば、原作を読んで、深く掘り下げてみるのも面白いだろう。
(新刊JP編集部)


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