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いろいろなものの著作権(1)

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 著作権というと、小説や漫画、写真、音楽あたりを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、著作権法において、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文学、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定めていますので、いろいろなものに著作権が認められています。
 今回はこんなものにも著作権があるの?という事例をご紹介したいと思います。

■建築物

 著作権法には建築の著作物という規定があり(法10条1項5号)、建築物にも著作権が認められています。もっとも、建築の著作物として保護されるためには、それが美的鑑賞の対象となりうるようなものでなければなりません。なんの変哲もないような普通の建売住宅やビルでは保護されませんが、宮殿や凱旋門といった芸術的な建物は建築した人の創作性が現れているので著作物にあたるとして保護されています。
 では、デザイン賞をとるような住宅は著作物として保護されるのでしょうか?

 この点について実際に裁判で問題になったケースがあります。「グルニエ・ダイン事件」とか原告の名前をとって「積水ハウス事件」と呼ばれています。
 原告は、高級注文住宅「グルニエ・ダイン」を企画開発して、販売を開始し、その年の通産省選定のグッドデザイン賞を受賞しました。被告も住宅を建築して販売する会社です。被告が建築し、パンフレット等で宣伝を行ったモデルハウスについて、原告は被告が原告の建物を複製または翻案(真似をして別の著作物を作る行為のことをいいます。)したとして、訴えを提起しました。

 裁判所は、原告のモデルハウスについて、実用性や機能性、美的面でそれなりの創作性を有する建築物となっているとしたうえで、しかしながら、建築家・設計者の思想又は感情といった文化的な精神性を感じさせ、美術性や芸術性を認識させるということは極めてまれであるとして、原告の建築物は著作権法10条の建築の著作物には当たらないと判断しました。
 また、グッドデザイン賞をとっているという原告の主張については、グッドデザイン賞の受賞から原告の建物に美術性、芸術性が具備されていると認めることはできない、としています。

 この判決については、一般的な住宅のような建築物であっても、美術の範囲に含まれると認められるような場合には建築の著作物に含めてよいのではないか、という反論も出ているようです。もっとも、通常の建物についてはそれほど表現の選択の幅が狭く、既存のデザインの改良による積み重ねで発展していくものなので、建築著作物として保護してしまうと、新しいデザインの発展を阻害してしまうおそれもある、として判決の結論には好意的な意見もあります。

 実際の原告と被告のモデルハウスの写真を見てみると、非常に酷似していますので、原告が怒ったのは仕方なかったように思われます。読者の皆様もお時間がある時に、写真を検索してご覧になってみてください。

元記事

いろいろなものの著作権(1)

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