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過払い金訴訟で思うこと~新司法試験

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 前回に引用した8月1日付産経新聞は、さらに日弁連幹部が、「競争が激化する中で、能力の低い弁護士にとっては厳しい時代に突入している。過払い金返還を専門にしてきた弁護士が、他の訴訟に対応していけるのかという懸念がある」と話したと紹介している。

 ここでのロジックは、「過払い金を専門にしてきた弁護士=能力不足=他の訴訟への対応懸念」である。しかし、過払い金返還専門弁護士が問題になるのは、最高裁判決が出た後であり、それよりも前に通常訴訟を普通にこなしてきて、それなりに能力のある弁護士が、平成18年以降、過払い金専門になったということもあるかもしれない。そのような弁護士であれば、下地ができているのであるから、他の訴訟への対応に懸念などない。
 とすれば、問題となるのは、平成18年以降に何の下地もないまま、過払い金返還専門になった弁護士である。

 それはとりもなおさず、新司法試験合格者とほぼ一致するのである。500人合格時代に比較して能力が不足し、しかも何の研鑽もせずしたがって何の下地もなく過払い金返還を専門としている弁護士の未来には暗雲が垂れ込めているといってよい。
 先の日弁連幹部の話は、「新司法試験合格で弁護士となった者のうち、過払い金返還だけを経験してきた者が他の訴訟に対応していけるのかという懸念がある」と言い換えることができると思っている。

 さて、人数が増えたから、直ちに「能力不足」というのは暴論ではないかと思われるかもしれない。しかし、現実を見れば、能力不足の者が多くなっている。
 実際の例である。その弁護士はすべて新司法試験合格者である。刑事事件を受任した弁護士1年生が、その被疑者に接見禁止処分が付されていたことから、弁護士であっても接見できないと思って、接見に行かなかったというのである。嘘のような話であるが、本当のことである。

 またこのようなこともあった。民事事件で「商品Aを売った。だから代金を支払え」との訴訟が起こされた。私は、代金支払済の抗弁を提出し、これが認められて勝訴したが、相手方は控訴をした。ところが、控訴審で、「商品Aに先立ち、商品Bを売った。だからその代金を支払え」と訴えの変更をしてきた。これはできない。

 民事訴訟において許されていないのであるが、一歩ゆずって民事訴訟法に詳しくなくとも、普通の合格者・弁護士であれば容易にわかることなのである。なぜなら、理論的なことはさておき、現行裁判は三審制を採用しているが、上記の訴えの変更が許されるとしたら、「商品Bの売買」については、控訴審と最高裁での二審しか審理されないことになるからである。控訴審の裁判長が認められないと宣言すると、不服そうな顔をしていたが、驚きである。

 極め付けの話もある。ある労働事件でのことである。
 労働者側が地位確認と賃金の支払を求めて訴訟を提起した。会社側は、自主退社したと主張した。労働者側の代理人弁護士は、労働者が退社する前から関与しており、会社とのメールのやり取りが残されていた。「早く離職票をください」とある。退社を前提とした内容であることはもちろんである。その2~3か月後に「退社していないから、賃金を支払え」という訴訟を提起することなど考えられない。

 その点を指摘されたその弁護士は、「生活が大変なので、失業保険をもらうために、やむなく離職票をもらったのであり、退職していないことは事実である」と言い放った。それでは、あなたは保険金詐欺という立派な犯罪に加担したことになるのではないのか。そういうことすらわからず、堂々と主張する弁護士である。
 このように新司法試験合格者の多くは能力が劣っているとしかいいようがないのである。そのような者が、能力を必要としない過払い金訴訟に飛びつくのは当然の結果かもしれない。

 いずれ過払い金訴訟はなくなってしまうが、そのとき、彼らはどうするのであろうか。

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過払い金訴訟で思うこと~新司法試験

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