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「時の壁」撤廃へ

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 幼少期に性的虐待を受けた女性が加害者の親族を相手に起こした賠償請求訴訟をきっかけに、専門家への同様の被害相談が増えているそうです。ただ、時効など「時の壁」で訴訟や告訴を断念するケースもあり、女性は「泣き寝入りさせない社会に」と訴えています。
 女性は弁護士とともに、被害者が成人するまで、刑事の公訴時効や民事の時効、除斥期間(じょせききかん)を停止するよう法改正することに加え、専門医の充実などを国会議員に要望しました。時効停止などを求める電子署名とともに国にも要望書を提出する方針とのことです。

 女性は3歳から8歳までの1978~83年に男性から性的虐待を受け、1983年ごろにPTSDを、2006年9月ごろにうつ病を発症しました。裁判で争点となったのは、争点となったのは、不法行為に対して損害賠償の請求が可能な20年の「除斥期間」の起算点です。

 除斥期間とは、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度をいいます。権利の行使期間を定める時効(これを「消滅時効」といいます)と似ているので混同されがちですが、除斥期間と消滅時効には違いがあります。

 1つは、消滅時効には中断がありますが、除斥期間にはありません。
 さらに、時効には、たとえば、時効完成の1か月前に天災が起きた場合、本来の時効完成時点では時効は完成せず、障害が消滅して一定期間経過した時点で時効が完成するという停止の制度がありますが(民法161条)、除斥期間にはそれもありません。
 これら以外にも除斥期間と消滅時効には違いがありますが、このように両者に違いがあるのは、時効制度は、継続した事実状態の尊重をその趣旨とするのに対して、除斥期間は権利関係の速やかな確定をその趣旨とするからであると言われています。

 最高裁は、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法724条の「不法行為の時から20年以上を経過した時」に権利の消滅を定める規定は、除斥期間であると判断しています(最判平成元年12月21日)。

 女性が親族を訴えた裁判では、二審で裁判所は、PTSDとうつ病は別々の損害であると認め、PTSDを発症した損害は請求権が消滅しているとしましたが、うつ病は「発症した2006年9月ごろが起算点で、除斥期間は経過していない」とし、慰謝料や治療費など計約3030万円の支払いを男性に命じました。
 その上告に対して最高裁が退けるという形で確定しています。

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