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コンサルタントの思考法、自分のモノにするには?

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 テレビのコメンテーターの肩書きとしてよく見かける「コンサルタント」だが、彼らがカバーする領域は実に幅広い。経営やPRなどいったビジネス分野から、今では「おそうじ」「結婚」といった実用的なフィールドを専門とする人もでてきた。

 しかし、やはりコンサルタントの思考術が活きるのは「経営」だろう。
 寺嶋直史さんは大手電機メーカーを退職して、コンサルタントとして独立。専門としている領域は「事業再生」だ。現在では中小零細企業相手にコンサルティングを行っている。
 この程、寺嶋さんが執筆した『事業デューデリジェンスの実務入門』(中央経済社/刊)は、事業デューデリジェンス(対象となる企業を調査・評価し、調査報告書を作成する活動)の教科書的な一冊で、コンサル活動に必要なスキルや思考法が詰まっている。

 今回、寺嶋さんに、コンサルタントにとって大事なことは何なのか、コンサルタントや経営者が抱えている問題はどんなものなのか、お話をうかがった。後編をお伝えする。
(新刊JP編集部)

■コンサルタントの思考法を自分のモノにするためには?

――大手電機メーカーをやめたあとは、コンサルティングファームに転職します。

寺嶋:独立するためですね。コンサルタントとしての能力を高めるために転職しました。

――営業ではなく事業再生というフィールドを選んだのは?

寺嶋:最初は営業コンサルをやろうと思っていたのですが、フィールドは広い方がいいということで、販売促進なども含めた「売り上げアップ」のコンサルタントでいこうと決めました。そんな中、知り合いで事業再生のコンサルタントをしている方から、経営に関する幅広いフィールドをカバーするので、いろんな経験ができると言われたんです。また、困っている人を助けるというのも心に刺さりました。大変だけど成長できるし、役に立っている実感が得られる。それはそれまで味わえなかったことですから。

――営業や販促のコンサルティングと事業再生のコンサルティングは全く違うのですか?

寺嶋:やり方は違いますよ。営業や販促や製造は、その部分だけ見ればいいけれど、事業再生は網羅的ですから。

――最も過酷なフィールドの一つですよね。

寺嶋:そうかもしれません。でも私にとってはすごく水の合うフィールドでしたね。どんどん新しい知識を身につけられるし、様々な経験ができる。休みが取れず、「朝から朝まで仕事」というのが普通になって、体力的には過酷なこともありますが、どんどん成長していると実感でき、確実に役に立っていることを実感できるので、ワクワク感がありました。

――この『事業デューデリジェンスの実務入門』の執筆動機を教えて下さい。

寺嶋:一人でも多くのコンサルタントが、短時間で高品質な事業調査報告書を作成できるようになってほしいからです。調査はどうしてもコストがかかるので、その分金額も高くなってしまい、零細企業は依頼しにくいんですよ。だから、中小・零細企業を相手にしている私たちのような、個人でやっているコンサルタントがスキルアップして、助けないといけない。

――コンサル料に大きな違いがあるんですね。

寺嶋:私は一冊の調査報告書を作って、安くて30万円から、一番高いときで170、80万円くらいですね。大手コンサルファームですと、調査だけで数百万というところもあります。

――こうした状況の一番の問題はなんですか?

寺嶋:病院に例えると、再生企業は重病患者でコンサルタントは医者です。今、この医者が不足していて、高いお金を払わないとちゃんと調べてくれないんですね。
また、調べてもらっても「あなたが悪いんです」と言われて終わりということもあります。重病患者なのに。
まだまだ事業デューデリジェンスができる個人のコンサルタントが少ないから、結局大手のコンサルファームに依頼がいって、単価が高くなる。だから、もっと品質の高い事業デューデリジェンスができる個人コンサルタントが増えない限り、単価は下がらず、零細企業の再生は難しい状況は続くのです。
そういった問題を解決するためにこの本を書きました。

――教科書のように情報がすっきりと整理された一冊です。書く上で気を付けたことはなんですか?

寺嶋:事業デューデリジェンスについて書かれた本がまだ少ないのですが、今出ている本は、知識だけに終始していることが多いんです。だから一人で、現場でできるようになることを踏まえて書いています。あとは、分かりやすさを重視しました。

――実務で使える部分を意識された、と。ただ、実務で知識を使うのはとても難易度が高いと思うんですね。

寺嶋:だから大切なのは実践を見据えて知識を得ることです。私自身、仕事の幅を広げて、深みを増したいと思って勉強をはじめたのですが、実務に還元することが前提にあったため、効率よくできました。

――イメージしながら勉強すると身に付きやすいですよね。コンサルタントの思考術が書かれた本はたくさんありますが、ただ読んだだけでは応用できないものが多いと思います。寺嶋さんはどのようにその思考法を身につけていったのですか?

寺嶋:最も重要な思考法は「問題解決の手順」です。まずは現状を把握し、その中から問題点を見出して、原因を究明する。そして望ましい姿・ゴールを描いて、そのゴールまでの道筋を立てるのです。コンサルティングは多くの場合、この思考のプロセスに沿って導き出した解決策をクライアントに提示します。私は営業時代、売るだけでなくトラブル処理も多く、このトラブルを処理する時に、問題解決の思考法を身につけました。繰り返し、この手順で思考することが、問題解決力を高めるポイントです。

――経営者の方とお仕事をされるなかで、どのように関係の距離を保つのでしょうか。

寺嶋:コンサルタント側が、経営者の問題を解決できるスキルを持っていることが絶対条件です。まずは合理的な関係がないと成立しません。その上で、人間関係を築くのですが、近づけば近づくほどいいというのが私の認識です。

――最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします。

寺嶋:コンサルタントはどうしても単価を上げる、お客を取るというところが先行しがちになるけれど、コンサルタントとしての強みを身につけないと、良い仕事はできません。だから、まずは「これだけのスキルがあれば間違いなくクライアントの問題を解決できる」と自信を持って主張できる強みを作りましょう。そして、1つのベースとなる専門分野を確立したら、少しずつ領域を広げていくと、業務の幅が広がっていきます。1つ1つの領域で深いノウハウを身につけて、その領域が拡大していくと、色々なことが1人でできるようになって、仕事が楽しくて仕方がなくなります。

(了)


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