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アーティスト土佐尚子さんに聞く「世界に発信していく日本文化のあたらしいかたち」

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The place you will never Visit (C) 2015  NAOKO TOSA

こんにちは、TRiPORTライターのSeinaです。現在私は家族と一緒にシンガポールで暮らしています。

現在シンガポールのIKKAN ART INTERNATIONAL(※)にて「Naoko Tosa, The Places You Will Never Visit」が9月13日まで開催されています。

土佐尚子さんは福岡出身のメディアアーティストです。1980年代後半にニューヨーク近代美術館のビデオアートのキュレーターであるバーバラ・ロンドンの企画展「New Video Japan」に選出され、国際的に知られるようになりました。土佐さんのアート表現は「無意識の可視化」がメインテーマ。近年はハイスピードカメラを活用した「存在しているけど可視化できない世界」を通じて、日本文化を表現されています。

土佐尚子さんのメディアートは国内だけでなく世界にも発信されています。2014年には実写のプロジェクトマッピングでグッドデザインアワードを受賞。そして2015年、京都国立博物館での琳派400年プロジェクトマッピングで16.000人を動員しました。同作品の一部を今回個展が行われているIKKAN ART INTERNATIONALで公開しています。9月19日から始まる神戸ビエンナーレでは、東遊園地にて夜間に新作のプロジェクションマッピングを展示予定です。

今回、オープニングパーティーにて土佐さんにお話を伺うことができました。

そこにあるけど見えないもの

—今回の「Utsuroi」「The place you will never Visit」などで作品には素材の存在を強く感じました。以前の作品「Sounds of Ikebana」は1/2000秒のハイスピードカメラで色付けされた粘着質の液体を撮影したそうですが、今回はまるで別の生き物のような…、別宇宙のような壮大さでした。素材の存在というのは土佐さんの作品制作の中でどのような変化がありましたか?

装飾的、幾何学的、精神的になったと思います。素材を形作る運動空間は、サイン波で作られた音の振動です。波動は生命を形成している要素です。クリーンな世界なのに生命を感じるのは「波動」が関わっているからかもしれません。私は、思想的にはシュールレアリズムや不条理、フロイト、ユングに影響を受けました。つまり「見えない世界を、どう見るか」に関心を持っています。フラジャイルな素材は「精神の様子」を表現するための物です。

Utsuroi (C) 2015  NAOKO TOSA

―「Utsuroi」は音楽と共に鑑賞した際、作品の世界観の深まりが著しく上昇したので驚きました。映像と音楽はどのようなディスカッションを経て作品になるのですか?

音楽家に映像を見てもらい、そこに音楽をつけてもらいます。世界観を伝えるために何度かやりとりをするのですが、この「Utsuroi」は初回で完成しました。映像の力がダイレクトに伝わったのかなと思います。

Blowup Dragon  (C) 2015  NAOKO TOSA

ダイレクトに感じてもらえてば文化は伝わる

−2015年は琳派400年記念の年です。そのときに日本以外の国「シンガポール」で「TOSA RINPA」を世界に発信するにあたり、特別に思いを込めた点はありますか?

今回の作品では液体という東洋が好むアンシンメトリーに、西洋の幾何学を入れ、融合することで新しく東洋と西洋の融合も狙っています。つまり琳派の新しい形です。外国での発表は日本人がどう表現するかとか日本文化はどうだとかいろいろな注釈をつけたくなるものですが、ダイレクトに感じていただきたいと思います。

さいごに

この日はオープニングパーティーということでたくさんのお客さんがいました。様々なバックグラウンドを持った人が土佐さんの作品「TOSA RINPA」を通して400年前から紡がれてきた文化、思いを新しいスタイルでダイレクトに体感していたと思います。そしてお子さんたちも吸い込まれるように作品に見入っていたのがとても印象的でした。

伝統文化に関わる日本発のアートというと非常に伝統色が強いものを(日本人としては)想像しがちですが、もっとテクノロジーや今ここにある素材を使って自由に表現する方法は世界中に、そして人にダイレクトに伝わるのだなと実感しました。

(※)今回の展覧会はIKKAN ART INTERNATIONALという美術館ではなく「ギャラリー」で行われています。入場は無料であり、展覧会開催中はギャラリー営業時間内でしたら購入予定者以外でも誰でも鑑賞することができます。

ライター:Seina Morisako
Photo by: Utsuroi (C) 2015  NAOKO TOSA

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