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中古ゲームソフトの販売をめぐる著作権問題

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 最近のゲームといえば、電車やバスで移動中に時間つぶしに短時間でできる、という理由からスマートフォンのゲームが人気のようです。かわいいキャラクターが画面に登場してきて、パズルを解きながら敵を倒していくゲームをしている人の姿は通勤風景の定番となりつつあります。そのスマートフォンの市場規模に比べて、家庭用ゲームソフト市場は全盛期の1/3にまで縮小したと言われていますが、それでも2014年で2264億円もあるそうです。この家庭用ゲームソフトウェアについて、一時期、中古ゲームソフトの転売について、著作権を巡って争われた時期がありました。どのようなものだったのか、見てみたいと思います。

 購入したゲームソフトの攻略がひと通り終わって、十分遊びつくしたので、中古ショップに売却して新しいゲームソフトの購入資金にした、という経験をお持ちの方もおられると思います。中古ゲームソフト事件とは、遊び終わったゲームソフトを買い入れて、中古品として転売する行為について、ゲーム会社が中古ゲームの販売店に対して販売の中止を求めたケースです。

 著作権法は、「著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。」と規定しています(法26条1項)。「頒布(はんぷ)」とは、有償・無償を問わず、複製物を公衆に譲渡又は貸与することをいいます(法2条1項19号前段)。「映画の著作物」とは、映画の効果に似ている又は視聴覚的効果を生じる方法で表現されて、かつ物に固定されている著作物を含みます(法2条3項)。
 ゲーム会社は、中古ゲームの販売店は、この条文に違反していると主張しました。

 ここで問題となったのは2つあります。
(1)中古ゲームソフトはそもそも映画の著作物にあたるのか?
(2)頒布権は消尽するのか?
 「消尽」とは、聞きなれない言葉ですが、いったん適法に販売などをされた後は、その権利の効力は使い尽くされたと考えて、権利の効力が及ばないことを意味します。すなわち、物を購入した人は、購入後はそのものを他人に売っても、貸しても自由であるということです。日常生活でごくごくあたり前のことですね。しかし、著作権法では映画の譲渡権については消尽を認めているものの、頒布権については特に明記していなかったので、問題となりました。

 この事件については、幾つもの裁判所が判断し、激しい対立を見せましたが、最高裁は次のように判断しました(最判平成14年4月25日 中古ゲームソフト事件)。
 (1)については、中古ゲームソフトは、映画の著作物に該当する。
 (2)については、劇場において一般に公開される映画とは異なり、ゲームソフトの著作権はいったん適法に譲渡されたことにより、消尽する。

 以上から中古ゲームソフトの販売は適法であるとされました。この最高裁の判断から、劇場において公開されない映画については、権利が消尽すると考えられるので、中古品を販売しても問題はないと考えられています。
 なお、最近では、一定期間を経過するとゲーム会社の方で廉価版を出してくることが多くなりましたので、消費者が中古ゲームソフトを購入する機会もだいぶ減って来ているようです。

元記事

中古ゲームソフトの販売をめぐる著作権問題

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