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日本の新聞によるデマや誤報が中国の攻撃材料に利用される状況

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 中国や韓国が仕掛けてきている対日歴史戦を考える時、見逃してはならないのは日本の新聞が書き立てたデマや誤報が攻撃材料として利用されていることだ。どんなものが利用されているかについて、麗澤大学教授で法学者の八木秀次氏が解説する

 * * *
 戦後、日本の首相が靖国神社を参拝しても中国は特段、問題視しなかった。ところが1979年4月に朝日新聞は、〈A級戦犯14人靖国神社合祀 賛否、各界に波紋〉(4月19日付)と火種を投じた。同月21日に大平首相が靖国参拝すると、〈「A級戦犯」合祀が大きなニュースとなったため、外国人カメラマンを含む約50人の報道関係者が首相を待ち受けた〉と炎上用の油を注いだ。

 しかし、当時の中国は無反応だった。同年10月に大平首相が靖国を参拝した際も中国からの批判は皆無だった。当初は“炎上作戦”は失敗に終わったのだ。だが、繰り返し日本のメディアが靖国参拝を問題視する報道を続け、「靖国」は外交問題に発展していく。

 状況が大きく変わったのは、中曽根康弘・首相が公人としての靖国参拝を明言した1985年だった。この時、朝日新聞は再び「反靖国」の一大キャンペーンを始めた。

〈靖国神社は戦前、戦中を通じて国家神道のかなめに位置していた。(略)軍国主義日本のシンボルだったことも見逃すことのできない歴史的事実である〉(1985年8月4日付)

〈靖国問題が今「愛国心」のかなめとして再び登場してきたことを、中国は厳しい視線で凝視している〉(1985年8月7日付)

 それでも中国政府は、終戦記念日に中曽根首相が靖国を参拝しても目立った反応をしなかった。畳みかけるように8月末には社会党訪中団が北京に飛び、「中曽根内閣は軍事大国をめざしている」と「告げ口外交」に勤しんだ。

 朝日新聞と左派政党の「ご注進」に釣られた中国の要人やメディアはここから靖国参拝批判を開始。中曽根首相は同年秋の例大祭での靖国参拝を断念せざるを得なくなった。つまり中国が靖国で騒ぎ出したのはここ30年の話なのだ。こう見ると、靖国参拝が中国の外交カードとなったことに果たした朝日の“役割”が大きいことがよくわかる。

 朝日だけではない。1982年6月には、教科書検定中の文部省が高校日本史の教科書にあった日本軍の「侵略」という文言を「進出」に書き換えさせたと日本のメディアが一斉に報じた。

〈日本の中国に対する「侵略」は「進出」である、といった変更を求めるのは、歴史を正しく認識させる上で、決してプラスにはなるまい〉(読売新聞・1982年6月26日付社説)

 実際は、書き換えの事実はなく、日本テレビ記者の勘違いが生んだ明らかな誤報を新聞各紙が広げたのだった。しかし中韓はその(虚偽)報道をもとに日本に激しく抗議した。

 当時の鈴木善幸内閣は中韓に配慮し、宮澤喜一・官房長官が「政府の責任で教科書の記述を是正する」と約束した。その結果、教科書を作成する際、近隣のアジア諸国に必要な配慮をするという「近隣諸国条項」が設けられた。  

※SAPIO2015年9月号


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