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今週の永田町(2015.8.11~19)

【安倍総理、戦後70年談話を発表】

先週14日、政府は臨時閣議を開き、戦後70年にあたっての内閣総理大臣談話を決定した。安倍総理は、臨時閣議後に記者会見を行って談話を発表した。

内閣総理大臣談<全文>

 

談話では、総理大臣の私的諮問機関「21世紀構想懇談会」(座長:西室泰三・日本郵政社長)の報告書を踏まえ、1931年の満州事変以降の日本が国際社会の犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序への挑戦者」となって、「進むべき進路を誤り、戦争への道を進んだ」「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた」と大戦に至った経緯と結果を盛り込んで、「国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の哀悼の誠を捧げる」と表明した。

そのうえで、「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」「自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続ける」などと深い悔悟の念とともに、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」「いかなる紛争も法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則をこれからも堅く守る」と、日本の不戦の誓いと平和国家としての歩みを「戦後日本の原点」「不動の方針」として堅持する考えを示した。

 

また、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきた」「戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきた」ことに触れ、「こうした歴代内閣の立場は、今後も揺るぎない」と強調した。中国や韓国などが謝罪を明確にするよう求めていることを踏まえ、戦後50年の村山談話や60年の小泉談話に言及するかたちで「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのお詫び」の表現が盛り込まれた。

さらに、中国や韓国などへの配慮から「戦争の苦痛をなめ尽くした中国人や、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜のみなさんが寛容であるためには、いかほどの努力が必要だったか、思いを致さなければならない」としたほか、慰安婦問題を念頭に「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続ける」と言及した。

 

安倍総理は、「未来志向」「感謝」「積極的平和主義」などの言葉も盛り込んで独自性を打ち出した。戦後生まれの世代が人口の8割を超える現状に触れ、「何ら関わりのない私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と、戦後70年談話を機にアジア諸国へ謝罪し続ける状態に区切りをつけたいとの思いをにじませる一方、国民に「世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければならない。謙虚な気持ちで過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任がある」と呼び掛けた。

そして、敵として戦った国々や人々の寛容の心、恩讐を越えて善意と支援の手が差しのべられたおかげにより戦後日本が国際社会に復帰できたとして、「和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したい」と表明した。そのうえで、繁栄こそ平和の礎との考えのもと未来志向の姿勢を鮮明にして、「歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす」「自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく」と、今後も積極的平和主義の下で国際貢献を進めていく方針を打ち出した。

 

 

【野党、安倍談話を批判】

 安倍総理は、戦後70年談話の作成にあたり、21世紀構想懇談会報告書を「歴史の声」と評価し、「その提言のうえにたって歴史から教訓をくみ取り、今後のめざすべき道を展望した」「多くの国民と共有できる」談話をめざしたと説明した。そして、「事実を率直に反省し、これからも法の支配を尊重し、不戦の誓いを堅持していくということが、今回の最も重要なメッセージ」と位置付けた。そして、「アジアの国々、多くの国々とともに未来への夢を紡ぎ出していく、そういう地盤にしていきたい」と、各国の理解に期待を示した。

このうち、関係改善の兆しが出始めている日中関係について、安倍総理は、戦略的互恵関係の考え方に基づいて改善していくことで一致しているとして「中国のみなさんには戦後70年にあたっての我が国の率直な気持ちをありのまま受け止めていただきたい」「首脳会談についても機会があれば、そういう機会を生かしていきたいと思う。日本の対話のドアは常にオープンだ」と、習国家主席との再会談に意欲を示した。その一方で、「東シナ海など、世界のどこであろうとも力による現状変更の行為は、決して許すことはできない」と釘を刺すのも忘れなかった。日中両政府は、9月上旬に北京で開催する方向で調整に入った。日中韓首脳会談の早期実現に向けた調整も加速させていく方針で、日韓首脳会談開催の模索も続いている。

 

 安倍総理の戦後70年談話を受け、与党側は談話の内容を高く評価したのに対し、野党各党は、間接的な表現が目立っており曖昧な内容だと、批判的見解を一斉に示した。

自民党は、「20世紀が世界と日本にとってどういう時代であったかというなかで、先の大戦でのわが国の失敗がどこにあり、戦後、その失敗を克服し、国際法の進化の下で、わが国が努力してきた成果を分析したうえで、今後の我が国が取るべき方向性を示した非常にバランスのとれた談話」(谷垣幹事長)、「戦後70年の節目に歴史の何を直視し、何を反省し、それをどう生かすかが重要だ。満州事変以降戦争へと進んだ日本について何を反省すべきかを世界の中の日本という視点で直視し、その教訓を抽象的な言葉の羅列ではなく、具体的に記載し、将来の日本のあるべき姿として国際協調主義にもとづく積極的平和主義を掲げたことに意義がある。談話は安倍首相の平和への思いと世界貢献への決意の表れ」(稲田政調会長)などと支持するコメントを発表した。

 過去の談話との整合性を重視した公明党も、安倍総理が公明党の要求を受け入れて歴代内閣の立場を引き継いだ内容を閣議決定したこともあって、「歴代内閣の立場を同じ言葉で繰り返さなくても、むしろより強い意志が込められている」「今後、歴史的な意義を見いだしていくに違いない」などと談話を高く評価した。また、「先の大戦に対する深い悔悟の念とともに不戦の誓いをしている」「侵略あるいは事変、戦争など区別せず、いかなる武力の行使や威嚇も二度と繰り返してはならないという誓いを述べていることは明確だ」として、積極的平和主義が貫かれているとも強調した。

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記者:

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