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業界で後発だったDMM英会話がわずか2年でトップになった3つのポイント

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多くのオンライン英会話サービスがある中で、誰もが知っているであろうDMM英会話サービス。2013年2月にサービスを開始し、業界では後発ながら今では「最も利用しているオンライン英会話」で1位(※1)を獲得するなど、並々ならぬスピードで成長を遂げている。

※1 2014年1月楽天リサーチ調べ

英会話業界で後発だったDMM英会話が、どのようにして英会話市場への参入を決め、どうやって立ち上げメンバーを集めたのか、またユーザから信頼をどのように集めていったのか。
今回は、DMM英会話事業責任者でありフィリピン現地法人「ビボ・グローバル・オプチュニティ」の最高経営責任者(CEO)でもある上澤貴生さんに話を聞いてきた。
海外はもちろんのこと、国内で事業の立ち上げを考えている方や実際に事業をおこなっている方にも参考になると思うので、ぜひ一読してほしい。

DMM英会話とは

Skypeを使ってマンツーマンでオンライン英会話レッスンができるサービス。いつでもどこでも、PCやスマホ、タブレットでレッスンが可能。世界60カ国以上の中から講師を選ぶことができ、フリートークや無料教材を使って、英会話を学べる。1レッスン99円から受けられるのがDMM英会話の強み。

業界で後発だったDMM英会話がわずか2年でトップになった3つのポイントとは

ポテンシャルのある市場とバリューのある商品だからこそ参入した

─当時の英会話ビジネス市場では後発だったと思いますが、具体的にどういったところに可能性を感じたんでしょうか?

上澤

オンライン英会話って我々のサービスだけでなく、他社も含めてすごくバリューのあるサービスなんです。これまでは、英会話を習おうとすると駅前の英会話教室まで行かなければならなかった。そしてすごくお金がかかった。だけどオンライン英会話であれば、いつでもどこでも世界中の先生からレッスンを受けられる。しかも圧倒的に安く。

これはテクノロジー的なイノベーションではなく、価格のイノベーションなんです。

─それだけバリューのある商品なのに、当時オンライン英会話をビジネスとしている会社はなかったんでしょうか?

上澤

我々はオンライン英会話としては後発の部類です。我々が参入したのは2013年2月ですが、そのときにはすでに100社を超える企業がこのサービスを提供していました。

しかし、当時は今ほどオンライン英会話自体がメジャーではなかったんです。オンライン英会話は価格イノベーションですごくバリューのあるサービスなのに、その割に思ったほど世の中に広がっていなかった。

そこで調査してみると、当時先行していた会社は中小企業がほとんど。みんな独自の資金で運営しており、一部外部から資金調達をして運営している会社も少ない資本で運営をしていました。

オンライン英会話自体の市場を広げようと思ったら、もっと資金が必要だと思ったんです。フィリピンでイチから立ち上げるのは大変そうだけど、資金力とオンラインサービスのバックグラウンドがあるDMMなら必ず市場はとれるし、市場は今の何倍にもなるのでチャンスがあると考えました。

─それだけのポテンシャルなら競合もたくさん参入してきそうですが……。

上澤

大手企業が参入する可能性は低いだろうと考えていました。と言うのも、このビジネスモデルはとても利益率が低い。ある程度の規模になるまで利益はでないし、お金を投資すればすぐに大きくなるものでもない。

DMM英会話には現在3,000人以上の講師がいますが、はじめからこんなにいたわけではないんです。先生が多過ぎると生徒が足りなくなり先生たちから不満が出ますし、逆に先生が少ないと生徒から不満がでます。そういったバランスを見ながら地道に生徒も先生も増やさなければいけません。しかも、オンライン英会話では、先生を1人育てるのにコストも時間もかかるので急成長ができないんです。

それだけでなく、マーケティングについても月謝制のストックモデルです。これはコツコツ積み上げていくのにすごく時間がかかる。そう考えると大手の競合は簡単には参入してこないなと思ったんです。

人の採用に重要なのは、僕と気が合うかどうか

─立ち上げ時は特に人の採用が重要だと思うんですが、どういう基準で人を採用したんでしょうか?

上澤

立ち上げ時の採用に関して言えば、完全に人柄で選びました。もっと言うと僕と気が合うかどうか。立ち上げのときは300人の応募者がいて、その中にはMIT(※2)卒業者や戦略コンサルティング出身の人など、優秀な人はたくさんいました。その300人全員と面接しましたが、最終的には人柄で15人を選びました。

最近では、タイでノキアのマーケティングマネージャーをやっていた非常に優秀な方と出会い入社寸前までいったのですが、フィリピンで数日間オリエンテーションをやった結果、他の社員や社風と合わず結局お断りしました。

※2 マサチューセッツ工科大学

─人柄ですか……。それは今までのご経験からですか?

上澤

そうですね。特に海外での仕事は信頼関係が非常に重要です。これまで海外で仕事をしてきて、裏切りがあった事例やチームがバラバラになった事例をたくさん見てきたので、人柄を重視しますし、他の社員と合うかも重要視しています。

─話が少し前後しますが、最初に300人の応募ってかなりすごいことだと思うんです。どのよう方法で求人をしたんですか?

上澤

僕の場合は運がよかったんです。まず有料の求人サイトは一切使いませんでした。Googleフォームで応募フォームを作って、SNSや人づてに拡散をお願いしたんです。社名は伏せていたので、わかるのは“IT大手のスタートアップ”ということだけだったんですよね。

─Googleフォームですか!?

上澤

はい(笑)
いろいろな方にそんな怪しい求人で集まるわけないだろ! と言われました。ただ、太田さん(※3)や早さん(※4)をはじめ、影響力をもった方々が協力してくれたので、多くの方からご応募いただけました。

※3 太田 英基
School With代表。タダコピCo-Founder。サムライバックパッカー発起人。若者のグローバル志向底上げを使命にフィリピン留学後、2年の世界一周。『フィリピン「超」格安英語留学』『日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。』著者。ソーシャルアパートメント在住。特技は口笛。(出典:DMM英会話ブログ
 
※4 早 剛史
有限会社カラーズコレクション設立(2007年に株式会社化)、2009年(平成21年)7月、㈱美人時計の代表取締役を経て、株式会社ファンアプリの代表取締役社長を務める。(出典:Wikipedia

サービスが愛される理由は、講師と勉強しやすい環境

─立ち上げはマニラとセブ、ダバオの3拠点で同時におこなわれましたよね。拠点を最初から3つつくったのはなぜですか?

上澤

リスクヘッジのためです。フィリピンは台風や地震などの自然災害が比較的多い地域なので、何かあったときに拠点が1つだけだとサービスが止まってしまうと考えたんです。3拠点あれば仮にどこかの拠点の機能が止まっても他の拠点がカバーに入れますから。

─3拠点同時に立ち上げるのに、反対の声はなかったんですか?

上澤

実は、関係者全員に反対されました(笑)
だけど絶対に自然災害はあるからと押し通したんです。そしてサービスをリリースした2013年は、大きな台風(※5)や地震(※6)が発生し悩まされることになりました。3拠点つくっていなければDMM英会話の急成長はなかったかもしれません。

※5 2013年11月11日に発生した台風30号。これによりフィリピン中部レイテ島の中心都市タクロバンが壊滅的な打撃を受けた。沿岸部では津波も発生し、死者は1万人を超えたと報じられている。
 
※6 2013年10月15日フィリピン諸島、ミンダナオで強い揺れを観測した。マグニチュード7.2と非常に強い地震。この地震により建物が倒壊。60名以上の死者を出した。

─自然災害もそうですが、海外だと予想もつかないトラブルが多そうですね。他には、どんなトラブルがありましたか?

上澤

小さなトラブルはもう毎日のように起こるんですが、大きかったのは漁船が海底のインターネットケーブルを切断してしまったときですね。あのときはネットが繋がらなくなって本当に大ピンチでした。そのときはホテルを片っ端から予約して、ホテルの部屋からレッスンをしたりしました。

─費用もかなりかかったと思いますが、サービスを一旦止めるという選択肢はなかったんでしょうか?

上澤

なかったですね。特に我々のサービスはお客様から先にお金をもらうビジネスなので、サービスを止めたらお客様からの信用を失ってしまいます。3拠点かまえたのもホテルを片っ端から予約してレッスンを続けたのも、信用を失わないためです。一度信用を失うと、再び信用を得るのは難しいですからね。

 
─そういったユーザへの配慮や講師の厳しい採用基準などもユーザからDMM英会話が愛されている理由だと思いますが、実際のレッスンではどのように信頼関係を築いているのでしょうか?

上澤

一言でいうとサービス全体のバリューだと思います。
例えば、フィリピンだけでなく世界中のいろいろな国籍の講師がいることや、受講料をかなり安くしたりベストセラーになったような教材を無料で配布したりと、ユーザにとってバリューのあるサービスになるように常に意識しています。

─海外の講師がたくさんいることには、どんなメリットがありますか? 経済事情を考えると講師が全員フィリピン人であれば、もっと利益がでるように思うのですが。

上澤

確かにフィリピンは、給料水準が他の国に比べて安いです。実際、他社のオンライン英会話ではほぼ全員がフィリピン人講師です(※7)。

DMM英会話がいろいろな国の講師を採用しているのは、ユーザにワクワクしてもらえるからです。英会話って楽しくないと絶対に長続きしないんですよ。テキストで機械的に勉強しても全然楽しくない。ほとんどの人は続けられません。

だけど、いろいろな国の講師がいたら、講師を選ぶ側は絶対に楽しいじゃないですか。「昨日はフィリピンの先生だったから、今日はルーマニアの先生にしよう!」みたいに。

※7 フィリピン人の平均年収は約30~40万円と言われている

─なるほど、確かに実際に使ってみるといろいろな先生と会話ができて楽しかったです。個人的にセルビアの先生がタイプです。

上澤

そういうモチベーションもあります(笑)

 
─今後もっとわくわくできるような展開があれば教えていただけますか?

上澤

はい。実はつい最近「iKnow」という英語学習サービスを買収しました。
iKnowは英語の単語やフレーズを“記憶”するということに対して特化している素晴らしいサービスです。

英語学習アプリはいまものすごく多くリリースされていますが、iKnowは東大の博士号所持者をはじめとする研究開発者達が人の記憶のビッグデータ解析をもとに研究を続けて開発を進めてきたアプリケーションで、技術的な裏付けは他の英語アプリを凌駕しています。具体的には1度学習した単語やフレーズを人の忘却曲線にタイミングを合わせて出題をするなど、とにかく利用すれば効果が出る仕組みになっています。

オンライン英会話はアウトプット型のサービスですが、iKnowはインプット型のサービスです。これらを組み合わせることでインプットとアウトプットのサイクルが実現でき、学習効率がさらによくなるはずです。

移動中などのスキマ時間に、iKnowで覚えた単語やフレーズをDMM英会話で先生と話して練習するという理想的な学習方法が実現できると思います。

─最後に、海外で起業を考えているけれど踏み出せない人に何かアドバイスをいただけないでしょうか?

上澤

海外で起業することに関して言えば、いいから“やってみる”ですね。
今は昔と比べてインターネットを使ってなんでも調べることができますし、失敗したってちゃんと日本に戻ってこられる。日本のパスポートを持っていることを幸せだと思った方がいいです。それさえあればいつだって日本に帰れます。日本なら、その気になればコンビニや牛丼屋でバイトすれば飢えることはありません。

─英語を話せない人はどうしたらよいでしょうか?

上澤

英語は話せなくてもやっていくうちに覚えられます。まずは英語をある程度覚えてからとか考えていると、勉強しているうちに起業するモチベーションが下がります。
やりたいと思ったら“とりあえず現地に行ってやってみる”のが良いと思います。

─なるほど。本日はありがとうございました。

まとめ

今回のインタビューを踏まえて、“業界では後発だったのにトップになったポイント”をまとめると下記の3つだ。

市場が大きく伸びているところを狙う
立ち上げ時の人の採用は、スキルよりも自分に合うかどうか
ユーザから愛されるサービスをとことん貫く

これらは海外だけでなく国内で起業する上でも非常に重要なポイントだと思うので、これから起業を考えている方は参考になるのではないだろうか。

また、iKnowとの連携により今後のサービスもさらに加速するだろう。
1ユーザとしても今後のDMM英会話の動向が非常に楽しみだ。

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