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「デモ参加で就活不利」は時代錯誤!噂の真偽

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デモ参加は就職活動に不利という噂が、ネット上で拡散

安倍内閣が進めている安保法制に反対するデモに参加すると、就職活動が不利になるのではないかという噂が広まっています。このテーマに関しては、1カ月以上にわたりネット上で議論が盛り上がっていましたが、さらに勢いが増したのが、ある市議会議員のコメントです。これが就職活動に不利になるとの論調を補強する形となり、ますます白熱しました。

就職活動をしている学生にとっては、どちらにしても気になる話題です。そこで、採用活動をしている経営者の生の声と法的な視点を含め、実際に就職活動で不利になるのかについて考えてみましょう。

個人情報を集めることは違法行為になる

結論からすれば、まず、就職活動に不利になることはないといえます。面接でそのような質問もできなければ、エントリーシートに支持政党や思想信条などに関して記入させることも当然できません。そのような活動をしているかどうかについては、応募者全員を陰で調べたり、調査したりする人員も予算もないというのが一般的な企業の実情です。

職業安定法が1999年に改正され、企業が求職者の個人情報を集めるのは、業務に必要な範囲に限られています。ちょっと間違った採用活動をしていれば、就職差別と騒がれて企業側が逆に追い込まれてしまうこともあり、企業側のほうがかなり慎重になっています。

誰を採用するのかは自由という考え方もある

しかしながら、極稀に企業担当者が今回のデモの詳細をよく知らず、偶然テレビに映った応募者のことを見て「過激な行動をとる可能性があるため、そうした人々とは関わり合いを持ちたくないし、弊社の組織風土には合わないため採用しない」と考えることがあるかもしれません。それでも、採用しなかった理由を開示する義務もないため、真実はわからないことになります。

確かに企業が誰を採用するのかは自由であり、内定前であれば、今回のような理由で不採用とするのも企業の自由です。過去に最高裁の判例で、三菱樹脂事件というものがあります。この事件では、学生の思想を理由に企業が採用を拒否したことが争われ、「特定の思想信条を有する者を雇うことを拒んでも、当然に違法とはできない」という判決が出ています。

しかし、時代の変化とともに企業側が思想で採用を拒む自由は時代を追って狭くなっていると指摘する有識者も多く、しっかりした企業であれば、デモに参加していたことだけで就職活動で不利に取り扱うことはあまり考えられません。

社会問題に関心が高いということは、プラス要素

知り合いの採用活動を行っている企業経営者に質問したところ、「行動力があって意見がしっかりあるのはいいことなので、別に不利になることはない」という回答がありました。私も今回の内容のデモに参加というレベルであれば、社会問題に関心が高いと受け取り、企業に入社後も問題を解決する意識も能力もあるということで、プラスに考えています。

今回の噂については、時代錯誤も甚だしいという意見もありますが、一方で親世代が子供たちの就職活動を心配する声がメディアにも多く取り上げられる傾向にあります。親世代が面接を受けていたころのイメージがそのまま残っているため仕方がありませんが、就職活動に関する話題は、国民全体の関心が高く個人の価値観の違いが大きく出るところでもあるため、基本的な考え方だけは事前に学ぶ必要がありそうです。

(庄司 英尚/社会保険労務士)

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