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アナログ絵(鉛筆画)を描こう!画材選びのポイントとスキャンするときのコツ

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こんにちは、デザイナー兼イラストレーターのもりたです。
前回の自分のイラストまとめ記事は誰にとって役に立つんだろう……と少し思いながら書いたので、思ったよりも反応があって嬉しかったです。

その記事にこんなお便りをいただきました。

ウェブデザイン勉強中の者です。もりたさんの今日の記事、参考になりました。
鉛筆で書いて、Photoshopに取り込むところのやり方の記事をぜひ書いていただきたいです(*^_^*)

お便りくださった方、ありがとうございました!
そんなわけで今回は鉛筆スキャンを楽しむ講座にしようと思います。
みんなー! 鉛筆は持ったなー!

鉛筆と紙を選ぶ

正直なところ自分の好きな線が出れば使うものはなんでもいい。

とか言うと1行で終わってしまいますね。
真面目にやります。

紙には“目”がある

これはデッサンを勉強するときなどに(たぶん)最初に言われることですが紙には“目”があります。

なんでもいいので、手元にある不要な紙を縦半分に折ってみてください。
 

次に今度は横半分に折ってみてください。
 

縦と横、どちらかはスムーズに折れて折れ目もきれいですが、もう片方はなんだか折れ目がボコボコしていませんか?
その原因は、紙の目に逆らうように折ったからなのです。
縦のほうがキレイに折れたならばその紙は“タテ目”、横のほうがキレイに折れたなら“ヨコ目”の紙ということです。

この“目”というのは紙を作るときの繊維を流す方向によって決まっているので、どんな紙にも存在します。

コピー用紙のようにすべすべした紙やもっとツルッとしたアートポストなどの紙は“目”が大変細かいのでわかりづらいですし、表面的には見えません。しかし、確実に存在し、鉛筆のように粒子の荒い画材を使うとそれがよく見えるようになります。

紙を“目”の大きさで選ぶ

わざわざ鉛筆という画材を選んで絵を描くなら、「鉛筆っぽさ」を出したいですよね。パソコンで絵を描くのとは異なる「鉛筆っぽさ」はやっぱり線のかすれかなと私は思ってます。

線のかすれをうまく出すためには、“目”が小さすぎない、あまり平滑でない紙を選んだほうが出やすいです。
どういうことかというと、まず「なぜ鉛筆の線が消しゴムで消えるのか」から説明をしましょうか。

なぜ鉛筆の線は消しゴムで消えるのか

鉛筆の粒子は、ボールペンのインクやマーカーのインクに比べてはるかに大きいんです。

マーカーのインクが手についたとき、“粒”は認識できず、皮膚に染みこんでしまいますが、鉛筆は“粉”が手についたことがわかりますよね。
同じようにボールペンやマーカーのインクは紙の繊維より小さいために紙の繊維の間に染みこんで消せなくなりますが、鉛筆は紙の繊維より大きいために繊維の上に“載っている”状態になります。

だから、消しゴムで紙を摩擦するとゴムが鉛筆の粒子を巻きとって線が消えるわけです。

紙の目が大きいとかすれる

鉛筆の線はなぜかすれるのか。
それは、鉛筆の粒子が大きくて“鉛筆の先と紙とが接した部分にしか粒子が載らないから”です。

つまり紙の目で凸凹ができているところに鉛筆の粒子を載せると、凹の部分が白く残る。
これが鉛筆のかすれになります。

だから、目の凸凹が大きくて凹部分の面積が大きいと、必然的に鉛筆の線を引いたあとに白く残る部分が多くなるので、いっぱいかすれて見えるんですね。

比較してみよう

上がアカツキ マルチペーパー スーパーホワイト(つまりコピー用紙)で、下がマルマン スケッチブック オリーブシリーズ B3 画用紙厚口(つまり画用紙)です。
それぞれに同じ筆圧で描いた線を、スキャンして少しだけ補正をしました。

画用紙のような肉眼で“目”が確認できる紙とコピー用紙を比較すると、だいぶ違いますね。

 
とは言え、私が普段ブログ用の絵を描く際に使ってるのはコピー用紙ですから、鉛筆の濃度さえ選べばコピー用紙くらいの“目”でも充分です。

紙の種類

紙を選ぶ目安として、デッサンや水彩画によく使われる紙を解説しているページヘのリンクを掲載しておきます。

紙の上だけでイラストを完成させるなら吸水性とか発色とか、紙選びに考慮するポイントがいろいろあるんですが、今回は最終的にスキャンして取り込むので難しいことは考えなくて大丈夫です。

デッサン画用紙の種類|デッサン画用紙

実際描いた感じや紙の質感を写真でもいいから見てみたいという人は世界堂のサイトで検索してみましょう。

世界堂

ただやっぱりザカザカと惜しみなく描くためにはお安いほうが助かるので、比較的安くて描き心地がいいなと思う個人的なオススメを書いておきます。
ちなみに私はWacomのペンタブレットではフェルト芯を使う派です。

ナカバヤシ スーパー共用紙 中厚口

500枚で売ってるコピー用紙より値段は高めですが、繊維がほどよく引っかかってやや平滑度が下がるのでいい感じ。
ナカバヤシ スーパー共用紙 中厚口 A4 200枚 MPP-A4-E20

ミューズ クロッキー(ホワイト)

一番良く見かけるマルマンのクロッキー帳はつるつるしててちょっと苦手で、ミューズのものが一番好きです。
ミューズ クロッキー(ホワイト) Q-0355 B5 深緑表紙

無印良品 再生紙らくがき帳

一番お安い。つまりはわら半紙なのでシャーペンなど尖ったもので書くと破れます。わざと色のついた紙を使いたいときとかもちょうどいい。
再生紙らくがき帳 無地・B5・80枚

鉛筆のメーカーと硬さを選ぶ

鉛筆についているHやBという記号が硬さを表していることはご存知ですね?
Hは数字が大きくなるほど硬く、Bは数字が大きくなるほど鉛筆の芯が柔らかくなります。

芯が柔らかいほど弱い筆圧で濃い線を書くことができます。紙の表面だけを軽くなぞることが可能なので、紙の目を潰すことなく、かすれが出やすくなります。
逆に硬い芯は、その芯の硬さで目を潰してしまうのでかすれは出にくいというわけです。

どれくらいの硬さを揃えるか

もう一度先ほど紙の“目”を説明するときに出した画像を見てみましょう。

 

画用紙のほうが違いが顕著ですね。
2Hより硬い芯は、デッサンでディティールを表現したり、目を潰して色をより濃く見せるために使われます。
使ってみるとわかりますが本当に硬くて、単体では色もうまく出せないので、イラストに使用する場面は限られるでしょう。

どちらかと言えば、HB〜5Bあたりを揃えておいたほうが使い勝手が良いのではないでしょうか。私は、HB/2B/4Bあたりをメインに使い分けています。

鉛筆のメーカー

鉛筆のメーカーによっても微妙に色の濃さや書き味の硬さが異なります。
自分では書き比べしたことがないので、レビューしているページをご紹介します。

鉛筆比較レビュー
鉛筆比較|画材エクラの店主BLOG

私は筆圧が強いので、硬めと言われているステッドラーのロモグラフが好きです。
デッサン鉛筆でよく並べて語られる三菱のHi-uniは粉が多いせいかすぐ手を汚すので、私には合いませんでした。

上記を考慮したうえで、近所ですぐ手に入る画材を選ぶ

インターネット上でイラストを公開している人たちを年単位で見ていると、作品をどんどん速いペースでアップしている人ほど上達が速いですね。
どんな技術にも言えますが、絵は1日1枚でもいいのでたくさん描くことが重要なんだと思います。

そう考えると、普段使いたい画材はいつでも補充できることが一番のポイントです。

私が今手元で使っている鉛筆はステッドラーのロモグラフですが、もし近くに文房具を売っているところがコンビニしかないという状況であればそのコンビニで売っているもので見繕っていたでしょう。

パソコン上でイラストを描いたりデザインをしたりしていると、画材が消耗品であることをつい忘れがちです。
消耗品にあまり強いこだわりを持ってしまうと、それが手に入らないときものすごくストレスになるので、なるべく避けるために活動拠点の近辺で手に入るものを選ぶようにしています。

絵を描く

道具を決めたら絵を描いていきましょう。

1. ポーズや構図を決める

これは多分頭のなかで描きたいものがバシッと決まっている人には不要な工程です。
今回もまたFASHION PRESSのストリートスナップを参考にしました。

参考にしたのはこちら。

飯田 真弓 | ストリートスタイル・スナップ | ファッションプレス
梅村 奈央[モデル] | ストリートスタイル・スナップ | ファッションプレス
川邊 早織 | ストリートスタイル・スナップ | ファッションプレス
円[モデル] | ストリートスタイル・スナップ | ファッションプレス

 
これらの写真を見ながらポーズなどなどを決めます。

 

こんな感じでラフを描きながら考えます。もちろん、ラフで描いたものを使わないこともあります。

2. 下書きを描く

パソコン上で絵を描くときは、主線を何度もやり直しできるのでラフをそのまま下書き代わりにしますが、アナログは消しゴムを使うと紙も弱るしスムーズな線が引けないので下書きを描きます。

 

今回実際に使用した下書きがこちら。
足を適当なまま下書きをやめてしまったので、清書の足元もなんだか胡乱になってしまいました。
ちゃんと描けばよかった。

3. 完成イメージに合わせて清書する

今回、紙と鉛筆を変えることでどれくらい完成イメージに影響するかを比較するために、同じ下書きを元に何枚か描いてみました。
自分のイラストを制作する際に参考にしてみてください。

普通紙(アカツキ マルチペーパー スーパーホワイト)

いつも使っている紙ですが、画用紙と比べると厚みがなくクッション性がゼロなので、線がシャープになるなと感じました。
特に2Hで描いたものはシャーッシャーッという感じで、直線的に線を引かないとかなり描きづらかったです。

シャープペンシルの強弱の少ない線が好きなので、いつもはこれなんですが、改めて4Bで人物を描くと強弱をつけやすく、またなんというか影などのボリュームをつけたくなる描き味です。それでつい調子に乗って陰影をつけてみました。

ステッドラー ロモグラフ 4B

Ain HB(シャープペンシル)

ステッドラー ロモグラフ 2H

画用紙(マルマン スケッチブック オリーブシリーズ 画用紙厚口)

紙が柔らかいので、弱い筆圧でも鉛筆の先が紙に沈み込む感じがします。そのためあまり線に勢いはつかず、丸みのある線になるなと感じました。
また線の強弱もコピー用紙よりもつけやすくなりました。たぶん手の動きがゆっくりになったからでしょうか。

手前味噌で恐縮ですが、4Bで描いた人物の雰囲気かわいくていいですね。今後使っていきたいです。

ステッドラー ロモグラフ 4B

Ain HB(シャープペンシル)

ステッドラー ロモグラフ 2H

スキャンして調節する

ようやくここからパソコンの出番です。

スキャン時の濃度の調整

スキャン時の設定は必ずグレースケールかカラーで取り込みましょう。
その際、濃度の調整が大切です。

鉛筆にかぎらずアナログの画材を使用したとき、「アナログっぽさ」はかすれや紙の陰影など微妙なニュアンスに頼っているので、なるべく多くの情報量を取り込めたほうが「アナログっぽさ」を活かしやすいです。
その場合はコントラストを低く設定する必要があります。

鉛筆は目では黒く見えても実際はグレーの線なので、コントラストを下げたなら濃い目にスキャンしても意外に黒潰れしません。

逆に最終的にPhotoshopで線を真っ黒にしてしまうつもりならば、コントラストを高めに設定し、紙の色や陰などをスキャンの段階である程度飛ばしてしまってもいいと思います。

 

コンビニのコピー機やスキャナーの付属ソフトによっては濃度選択時、「文字書類」や「写真」などの選択肢が出てくるかもしれません。
コントラストを低くする場合は「写真」を選びましょう。高くする場合は「書類」を選択してください。

 
ただ、スキャンでは望んだニュアンスが取り込めない場合もあります。
例えば水彩絵具で絵を描いた際、淡い色がスキャンで飛んでしまうときは写真に撮って取り込むという手もあります。

他にも紙の色や、シワ、凹凸を活かしたい場合も写真は有効な手段です。
素材サイトで見かける紙のテクスチャ素材などは写真で撮ったものを加工して素材にされているので、自分で撮った写真を素材に使うのもいいですね。

紙のテクスチャ素材例

https://jp.fotolia.com/id/64916215

Photoshopで調節する

スキャンした画像から線画を抽出する方法は以前記事に書いたので、ぜひこちらをご覧ください。

同時に「線画を抽出しない」という手もあると思います。
私の好きなイラストレーター、JNTHEDさんの作品が紙の質感をとてもかっこよく活かしていて憧ています。

MeiBlog! / JNTHED 6月。すでに暑い
こちらのリンク先ページの一番下にあるイラストは、オブジェクトの中だけ紙の色を残すことで紙の色をオブジェクトの彩色として利用しています。

 
MeiBlog! / JNTHED Y公園で会いましょう
こちらは人物の中に紙の“目”の陰影が見えます。スキャンしたものを調整する際、紙の“目”が残るようにレベル補正をかけているのだと思います。

 
紙の質感にはこのような使い方もあるんですね。かっこいいなー。

レベル補正の使い道

線の雰囲気や太さは使う鉛筆によってかなり変わるので、使う道具選びが重要です。鉛筆の線はグレーの色の範囲が広いためPhotoshopの加工でも雰囲気が変わります。
基本的にスキャンした線画にはレベル補正をかけます。

 

これは左上がコントラスト高めでスキャンして無加工の状態です。

 

1は鉛筆のざらつきがよく見えるように、やや淡めに調整しました。

 

2は黒さを強めつつながらも、ざらつきを残す為に白のしきい値を下げています。
 

3はクレヨンっぽく色を載せるつもりで、グレーががってる部分をほぼ黒で潰すつもりで黒のしきい値を上げました。
 
グレーの幅広さを活かして、自分の求めるニュアンスを模索してみてください。

さいごに

質問していただいた内容にちゃんと答えられたか少し不安ですが、いかがだったでしょうか。
デジタルな仕事に親しむとつい手で描くことを忘れがちですが、鉛筆も楽しいですよね。ぜひいろいろ試して楽しんでください!

もりたでした。

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