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米国務省 「北方四島は北海道の一部」との報告書提出の過去

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 今年5月19日にロシアのラブロフ外相は、北方領土(択捉、国後、歯舞、色丹などの南千島)の返還を求める日本に対し、「敗戦国の日本には返還を求める権利はない」と、これを批判した。ロシアとの北方領土返還交渉が一向に進まぬ背景には、70年間影を落とし続ける「ヤルタ極東密約」の存在がある。米ソの思惑によって結ばれた密約を、社会学者の有馬哲夫氏が解き明かす。そして、その責任は当時の米・ルーズウヴェルト大統領にあると有馬氏は指摘する。

 * * *
 なぜ北方領土がいまに至るまで不法占拠されているのだろうか。それは秘密・個人外交に走ったルーズヴェルトの責任だといえる。

 1944年の米大統領選挙で再選を狙ったルーズヴェルトは、戦争終結のための巨頭会談を選挙戦の目玉にしたかった。そこで、いろいろ贈り物を用意してソ連のヨシフ・スターリンに会談をもちかけた。その一つが日本固有の領土である千島列島のソ連への引き渡しだった。

 しかし、米国務省は、南千島(北方四島)は住民の居住実態からして北海道の一部で、切り離すことができないという報告書をルーズヴェルトに提出していた。ところが大統領がこれを読んだ形跡はなく、千島全島をソ連に引き渡すという極東密約を、米国議会にはからずヤルタ会議で無断で結んでしまった。

 この会議で、文書を用意し、管理する役割を担ったのは国務省特殊政治問題局長のアルジャー・ヒスだが、この国務省の高官はソ連のスパイであることが1950年の米国議会による調査で分かった。つまり、南千島はスパイによって奪われたのだ。

 ルーズヴェルトが1945年4月12日に死去すると、急遽大統領職を引き継いだトルーマンは、前大統領が秘密・個人外交をしていたために、複雑な事情がわからず、とにかく前大統領の路線を引き継ぐと言明した。だから、米国はソ連が対日参戦したあと、千島列島全体を占拠するのを黙認した。

 1951年になって、ようやく米国の議会や国民がこの密約の存在を知ることになって、自分のものでもない領土をソ連に与えるこの恥ずべき密約は、当然ながら破棄された。だが、ルーズヴェルトが勝手にしたこととはいえ、約束をたがえたうしろめたさから、この後も米国政府は、日本の立場を支持しつつも、ソ連を強く非難できない。

 そして70年もの時が流れて、現在に至っている。しかし、極東密約が無効であり、日本が主権を放棄していない以上、北方領土を日本が要求するのは当然であり、すぐに返還されるべきなのだ。

※SAPIO2015年9月号


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