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「清宮より怖い」とライバルが警戒する早実主将のリーダー論

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 早実は清宮だけじゃない。甲子園取材歴20年のフリーライター・神田憲行氏は「男なら加藤に惚れろ」という。早実キャプテンのリーダー論と行動を紹介する。

 * * *
 早稲田実業の清宮幸太郎選手に注目が集まっているが、対戦相手のバッテリーが、

「いや清宮よりあいつの方が怖いですよ」

 と口を揃えて警戒する打者がいる。それが早実の4番で捕手、キャプテンの加藤雅樹だ。身長185センチ体重85キロ、堂々たる体格に精悍な顔立ち。もし清宮がいなければ女性ファンに騒がれただろう。

 しかし試合の前後はいつも1年生の清宮の周りにテレビカメラが組まれ、報道陣の輪ができる。チームとしてやりにくさもあるだろうが、

「いえ、清宮に注目が集まればチームも注目される。緊張感持ってプレーできるのでいいことですよ」

 そういい、

「清宮も周囲の反応に動かされているところがないので大丈夫です。ほんと図太い奴ですよ。たまにいじったりして遊んでます」

 と笑う。

 加藤がユニークなのは、キャプテンとしてのテーマを持っていることだ。

「みんなが僕の背中を見てくれていると信じているので、いつもポジティブでいること」

 地方大会の決勝戦、甲子園での初戦、9回2死を取ってあとワンアウトで勝つというところでマウンドに行き投手に笑顔で話しかける。とくにリリーフで登板してくる1年生投手の服部雅生は「ほっとくと自分の世界に入ってしまうから」、積極に声をかける。

 打つ方では自分で決めるような長打にこだわらずに、後ろの打者につなぐチームバッティングに徹する。2回戦の広島新庄戦ではセンター返しを中心に4安打を放った。

「大きいのを狙わずに、後ろにつなぐ姿勢を自分から発信したいです。4番がやればみんなもそうすると思うので」

 加藤のポイントは「語る」のではなく、「見せる」ことだ。

「そうですね、言葉より見せる方が大事だと思っています。自分が泥臭く必死なところを見せるのがリーダーの役割だと思います」

 最初からそういう選手だったわけではない。

「1年生のときは、クールに野球やるのが格好良いみたいに思っていたんです。クールに打って、自分がとにかく目立ちたい、そんな選手でした」

 それが変わったのは2年生夏の西東京大会だった。2三振を喫して、代打を送られ、チームは敗れた。

「悔しかった。寝られないくらい悔しかったです。それで新チームのキャプテンに選ばれて、自分を変えようと思ったんです」

 一歩引いた姿勢から変わって元気を前面に押し出してプレーするうちに、監督やチームメイトから「お前、変わったな」と言われるようになった。

「そう言われて、自分がやったことが間違っていないと思えるようになりました」

 15日の東海大甲府戦、清宮が今大会で初めてホームランを打つと、続く加藤もライトスタンドに打ち込んだ。清宮・加藤のKK砲そろい踏みの「アベック弾」は公式戦、練習試合も通じて初めてという。

「清宮が打った余韻がまだ球場に残っていたので、その余韻を自分への期待だと考えて打席に入りました。打ったのはインコースのストレート、これ以上ない甘い球が来たので思い切り引っ張りました」

 6回にピンチを迎えた場面では、マスク越しに三塁側ベンチの和泉監督と身振り手振りで「会話」をしているシーンがあった。

「和泉さんが『(投手を)代えるか?』と聞いてこられたので、『まだいけます』と返事していたんです。ランナーがいる状態でリリーフに出るのはキツイので、あそこは松本のエースとしての意地に賭けました」

「私もキャッチャー出身なので、現場で捕ってる奴が投手をいちばんわかっていることを知っています。加藤を信頼しているのでいつも意見を参考にしているんですよ」(和泉監督)

 清宮がホームランを打ってダイヤモンドを一周してベンチに戻るとき、加藤は打席の前でバットを自分に立てかけて、清宮の背中に向かってホッとしたような、優しい笑顔を浮かべて拍手を送っていた。

 清宮選手は良いチームに入ったな、と思うのは私だけではないだろう。


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