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パロディと著作権(2)

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 今回は、パロディが問題となった裁判についてご紹介していきたいと思います。

パロディ=モンタージュ事件(最判昭和55年3月28日)

 パロディストが写真を取り込んで合成写真を作成したことについて、元の写真を撮影した写真家が損害賠償等を請求した事件です。

 裁判所は、自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することは勿論許されないわけではないけれども、他人の許諾なくして利用をすることが許されるのは、「他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られる」としています。

 問題となった作品は、写真家の写真を取り込んで利用しているので、外面的な表現形式の点では写真自体と同一ではなくなったものの、なお特徴をとどめており、写真における表現形式上の本質的な特徴は感得することができる、として写真家の損害賠償を認めました。

「チーズはどこへ消えた?」事件(東京地決平成13年12月19日)

 「バターはどこへ溶けた?」(以下「バター本」)という名の書籍が、先行して出版されていた「チーズはどこへ消えた?」(以下「チーズ本」)という書籍のパロディではないかとして、「チーズ本」の日本語版訳の翻訳者と出版社が、「バター本」の出版社に対して発行差し止めを求めた事件です。

 裁判所は、「一般に、先行する著作物の表現形式を真似て、その内容を風刺したり、おもしろおかしく批評することが、文学作品の形式の一つであるパロディーとして確立している」と述べた上で、「パロディーという表現形式が文学において許されているといっても、そこには自ずから限界があり、パロディーの表現によりもとの著作物についての著作権を侵害することは許されないというべきである」としています。
 「バター本」はこのパロディと認められるものの、原作品(チーズ本)についての具体的な記述をそのまま引き写したりする箇所を少なからず有するとして、パロディの限界を超えるものとして、著作権侵害を認めました。

 この他にも「大河ドラマMUSASHI」について、映画「七人の侍」の脚本の共同著作者であり監督であった黒澤明氏の遺族が著作権侵害があるとして放送の差し止めを求めた事件などもあります(これについては七人の侍を想起させる点があったと思われるとしながらも、著作権上の翻案行為とまでは認められないとして、否定されました)。

 わが国はパロディを創作するといった活動が盛んですので、今後どのような訴訟が提起されて、判断がなされるか、興味深いところです。

元記事

パロディと著作権(2)

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