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医療も産業だ! 常に患者の目線に立つ医師が「国民皆保険制度」を批判する理由

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医療も産業だ! 常に患者の目線に立つ医師が「国民皆保険制度」を批判する理由

東京・八王子市内に「常に患者の目線に立つこと」をモットーに評判を呼んでいる病院がある。その名は、北原国際病院。ホテルのような内装で、待合室はカフェのよう。脳神経外科中心で、他では予約が必要なMRI検査が初診当日に受けられる。

検査結果も30分後には判るので、患者は診察から検査までの間、不安な日々を過ごさなくて済むのだ。2015年8月6日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、医療法人社団KNIを運営する北原茂実理事長を紹介し、医療に対する思いを聞いた。
現状では「病院に利益が上がらないようになっている」

北原さんは30年前、自身が勤務医として勤める大学病院に急病で入院した経験から、患者の心に添った医療の必要性を痛感。患者目線に徹した病院を一から作り上げた。現在では内科クリニックやリハビリなど、4つの医療施設をもつ医療グループとなっている。

処方薬は医師の前で飲み、30分後に効果や副作用を再度診察する。さらに救急患者のたらい回しが問題となる昨今、24時間救急外来の受入率は96%を誇る。待合室に相談専用の看護師を巡回させるなど、きめ細かい対応で年間14万人以上の患者を受け入れている。

保険診療なので、診療代が他より高いということもない。北原さんは「いま行われているものは医療でも何でもない、人の痛みや癒しが本当の意味で分からなければ医療はできない」と言い切る。

最初の病院は北原さんが設計から携わり、ほぼ個人保証の借金で立ち上げた。思い通りの医療サービスを実現させるため、周りから異端児と見られた。村上龍が「相当な覚悟がなければできないことですね」と感嘆すると、北原さんは現在の医療制度への不満をこう漏らした。

「日本は『国民皆保険』があり、病院は利益が上がらないようになっている。建物にお金がかけられず、自力で新しいものをつくるのは難しい」

少子高齢化で「赤字の医療」を補てんする術のない現実

国民皆保険とは、すべての国民が何らかの医療保険に入り、負担は3割で済む制度。医師の腕や設備にかかわらず、全国どこでも同じ料金で受診できる。患者にとってはメリットが大きいと思われるこの制度だが、北原さんは著書のなかで「国民皆保険制度の見直し」や「病院の株式会社化」を提案している。

患者の目線を強調する医師だけに、カネのことは度外視しているのかと思いきや、北原さんの言葉はまるで逆。医療は「産業」で「利益を生む体質」がなければいけないと主張し、持論をこう展開した。

「少子高齢化で産業が横ばいになる中、赤字の医療を補填する術はない。お金を払う価値のある医療があれば、納得してお金を払ってもらうことが重要になってくる」

村上龍は「いまの医療費を3倍にしたほうがいい」と著書にあることを挙げ、猛反発覚悟の発言に感心していた。北原さんの考えは、

「高齢者にいまあるお金を使ってもらうには、絶対ニーズのある医療しかない。好き嫌いの問題ではなく、現実の問題をどうするかということ」

だそうで、村上龍は「政治家になれば、落選します」と断言し笑っていた。
「医療は総合生活産業」の発想で日本を救う

医療とは一般に、病院というハコの中で医療サービスを提供することだが、北原さんの考えはそこに収まらない。「医療とは人がいかに良く生きて良く死ぬか、全体を統括する『総合生活産業』」と自説を解く。

「農林水産から教育システム・ITインフラ・葬式に至るまでが医療の仕事。一連の流れで社会を作っていく。本当に完成させれば、日本を救うことになる」

日本の医療ノウハウを新興国に提供する活動にも力を入れており、カンボジアの若手医療関係者を日本に呼び寄せ、研修施設までつくって人材づくりに貢献している。プノンペンでは新しい病院を建設中で、根底にある目的は「ニッポンの医療を輸出産業にすること」だ。

北原さんの話は、時に冷静な経営者そのものでもあり、医療を知り尽くした思いやり深いお医者さんとも感じられた。医療費負担増と聞けば誰しも反発したくはなるが、高い医療サービスを望むなら北原さんの考えも一理ある。

番組の最後に村上龍は「医療が崩壊したときの国家的混乱は想像を絶する。わたしは、北原先生の『檄』に耳を傾けたいと思う」と結んだ。それほど困難な現実に対して具体的に動いてきた人の言葉には、説得力があった。(ライター:okei)

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