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ポイントは車間距離 ”渋滞学”権威が明かす「渋滞吸収運転」とは

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 ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など、大勢の人が一斉に移動する時期には、高速道路の大渋滞がつきもの。ちっとも進まないノロノロ運転にイライラしてしまった経験は誰しもあるはず。

 そんな渋滞発生のメカニズムを研究対象にしているのが、東京大学先端科学技術研究センター・西成活裕(にしなり・かつひろ)教授。数学や物理の理論を取り入れながら、世界で初めて「渋滞学」という名前の学問を考案し、本書『シゴトの渋滞学 ラクに効率を上げる時間術』では、道路の渋滞はもちろん、この渋滞理論を仕事の流れにも当てはめて解説しています。

 西成教授は、渋滞解消のポイントが「車間距離」にあることに注目し、2009年に、警察庁と、JAF(日本自動車連盟)と共同で、こんな実証実験を実施しています。

 実験場所は、「渋滞の名所」で知られる、中央自動車道の小仏トンネル。同所では、実験日の夕方15時30分過ぎから、クルマが1キロほど渋滞し始め、平均時速は55キロと、ノロノロモードに。現場より手前の上野原IC(インターチェンジ)に待機していた実験チームは、渋滞発生の知らせを受けるとすぐ、実験用に”ペースメーカー”の役目を果たすクルマ8台を一斉に、小仏トンネルに向けて走行させました。その結果、8台のクルマが通過し終わった頃には、平均時速は80キロにまで回復したのです。

 一体なぜ、たった8台のクルマが、渋滞を解消させることができたのでしょうか。

 その理由は、拍子抜けするほどシンプルな「車間距離をあけて運転をしたから」というものでした。たった8台のクルマがノロノロ渋滞の中に入り、きっちりと車間距離をあけて運転したことで渋滞はすっきり解消。「車間距離をあけましょう」とは、よく言われることですが、クルマとクルマの間をあけておくことが、本当に渋滞対策になることが、この実験で証明されたのです。

 渋滞解消メカニズムは次の通り。道路が混雑してくると、ドライバーは「目的地に早く着きたい」気持ちから、車間距離を詰めてしまいがちですが、そうなると、上り坂やサグ部(高速道路の下り坂から上り坂にさしかかる凹状の箇所)にさしかかったときに、前を走っているクルマの減速により、車間距離調整のために、軽くブレーキを踏むことになります。すると、それが後ろのクルマに伝わり、先頭車両のわずかな減速が、ウェーブのようにどんどん伝わってブレーキの連鎖反応が続いた結果、数十台後方では、大渋滞となってしまうことに……。

 しかし、このとき、余裕を持って車間距離をあけていれば、前のクルマから伝わってきた渋滞のウェーブは、車間距離に吸収されるので、前のクルマほどには、ブレーキを踏まないでいられることになります。これが、西成教授が提唱する「渋滞吸収運転」(同書より)なのです。

 西成教授によれば、渋滞になるかならないかの境界線は、「車間距離約40m」。大渋滞に遭遇したら、1台前のクルマしか見ないのではなく、意識して3、4台前を走っているクルマを見るようにして、車間距離を充分にとる「渋滞吸収運転」を心掛けてみてはいかがでしょうか?

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