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「”富士山”が勤務地です!」。登山者の安全と快適のために、日本最高峰へ電波を届ける

日本一高い山である富士山は、登山対象としても人気が高い。登山シーズンとなる7月から8月にかけて、毎年30万人前後の登山者が山頂を目指す。KDDIは、登山者が安全に登山を楽しめるよう、スマートフォンや携帯電話の利用が多く見込まれるこの時期に合わせて、登山道や山頂における通信エリアの拡充を行っている。

富士山に限ったことではないが、登山時における携帯電話やスマートフォンは、いざというときに連絡をとるための、いわばライフラインだ。同時に、登山中や登頂時には、その模様をSNSに投稿したり、メールを送ったり、喜びや感動を分かち合うためのツールでもある。

日本で最も高い山である富士山の山頂は、電気・ガス・水道といったライフラインが整備されているわけでもなく、自然環境も厳しい。そのような特殊な場所において、携帯電話やスマートフォンがつながるために、どのような対策がなされているのか? それを確かめるべく、7月上旬に行われた富士山頂のエリア対策に密着取材してきた。

登山者が連なる富士山頂付近。2013年に世界遺産に登録された影響か、外国人の姿も少なくない

取材初日、ブルドーザーで機材を山頂へ!


基地局の機材をブルドーザーに積み込む

取材初日は、朝6時半に集合場所の富士山須走口五合目駐車場へ。この地点の標高は1,970m。夏本番が近づきつつある平地と違って、空気がひんやりとしている。

ここでKDDIの富士山プロジェクトチームのメンバーたちと合流。人力では運べないアンテナやバッテリーといった機材をブルドーザーに積み、いざ山頂へと向かう。

専用の道を走るブルドーザー。五合目から山頂まで、約2時間の道のりだ


山頂到着後、ブルドーザーから荷物を降ろす

午前10時過ぎ、山頂に到着。取材班一同、この時点ですでに少々ぐったりしていたが、休む間もなく、ブルドーザーから荷物を下ろし、山頂の山小屋「山口屋」へと運んでいく。作業の時間は限られている。のんびりしているヒマはないのだ。


6月下旬に行われた、富士吉田ルートの山小屋のエリア調査と電波対策の様子(写真提供:KDDI)

実はここに至るまで、プロジェクトチームのメンバーはすでに何度も富士山に足を運び、数日間山小屋に泊まりこんだり、下山したりを繰り返しながら、山頂や登山道の山小屋に機材を運び込み、エリア化の準備を重ねてきた。関わってきたメンバーは延べ70〜80人にも及ぶ。今回の山頂での作業は、その”総仕上げ”となる。

山頂の山小屋の屋根にアンテナを設置

この日、行われた作業は、アンテナを山小屋の屋根に設置する作業や、バッテリーの取り付け、部品交換など。小雨が降りしきる中、スタッフは屋根の上に登り、下からブルドーザーで運んできたアンテナを慎重に取り付けていく。

今回のプロジェクトの中心人物は、KDDIエンジニアリング中部支社の松原健一と、KDDI名古屋エンジニアリングセンターの後藤昂博。松原は数年前からこのプロジェクトを率いてきた、富士山の電波対策のプロフェッショナル。一方の後藤は今回が初めての参加となる。

松原と後藤の役割は、このプロジェクト全体を取り仕切り、作業の工程を管理する、いわば「現場監督」だ。

「富士山の電波対策のことならまかせてください。知識と経験は誰にも負けない自信があります」(松原)

「高山病がちょっと心配ですが、全力を尽くしたいと思います!」(後藤)

左/KDDIエンジニアリング中部支社 松原健一、右/KDDI名古屋エンジニアリングセンター 後藤昂博

富士山で携帯電話やスマートフォンを使えるようにするために、携帯電話各社は、登山道や山頂に点在する山小屋に協力を仰いでいる。その理由は、アンテナや無線機を設置する場所の確保と、電波を発するための電力の確保の2つだ。富士山の山小屋に電気は通じていないが、7月と8月の営業期間中は発電機で電気を起こしている。


左/屋根への基地局設置は高所での作業となり、危険を伴うため、安全第一で行われる。右/設置が完了したアンテナと、それを見つめる後藤

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