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深刻化する「オワハラ」問題、企業に屈しない対応法

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内定者に他社への就職活動終了を強要する「オワハラ」が問題に

人材不足に伴い、内定者に他社への就職活動終了を強要する「就活終われハラスメント(オワハラ)」が問題となっています。経団連の非加盟企業の典型である中小企業が8月1日よりもかなり前から採用選考を開始する中、人材確保が困難な大企業は先行している中小企業を含めた他社に学生が流れないよう、先行して人材を囲い込みたいとの思惑があります。

結果、企業は時期早々であることから、契約締結と判断されないようなレベルである「採用の約束の約束」を強引に学生と取り交わす手段が日常化しています。形式的には、「内々定」や「内定」などさまざまです。

オワハラを行えばマイナスイメージが拡散される

オワハラは「他の企業を断われば、内定を出す」「先方の会社にこの場で断りの電話をしてくれ」などと他の企業を断わるように仕向けるもの、面接の時期を長くしたり、回数を多くしたりして、他の企業の採用活動を難しくするもの、内定後に会社関係者から頻繁に食事や行事に誘われ、辞退しにくい状況にされられるもの、辞退の電話をすると人事担当者が逆切れするものなど、さまざまです。文部科学省の調査によれば、3月からの4カ月間で、82校の大学のうち68.3%の大学が学生からオワハラの相談を受けており、急増中のようです。

企業からすれば、「早く人材を囲い込みたい」「内定や内々定を取り消されたら困る」との理由で、オワハラ行為に出ているものと考えられます。しかし、オワハラを行った企業は、学生・大学の間やネット上でマイナスイメージが拡散され、次年度から学生に敬遠されることにもつながります。また、学生が他の内定を断わっていないことなどを理由に内々定などの取り消しを行えば、「約束の約束だから違法にはならない」というわけではありません。

企業として法的に大きなリスクを負うことにもなりかねない

内々定の場合、内定書の交付日程まで告知された後に内々定を取り消された事案を例に見てみましょう。この場合、「応募者は労働契約が確実に結ばれるだろうと期待が高まっていたことから、労働契約の締結過程における信義則に反して期待利益を侵害した」と判断し、裁判所は損害賠償請求を認めました。

さらに、法的には労働したいという申し込みに対する企業の承諾があったと認められる場合には、内々定や内定という形式にかかわらず、雇用契約が成立しているとみなされる場合があることも想定できるため、留意しておく必要があります。そもそも、就活を終わるように強要または示唆する言動が、学生の自己決定権や職業選択の自由を侵害したとなれば、企業として法的に大きなリスクを負うことにもなりかねません。

学生側は謙虚な中にも堂々とした対応が求められる

一方、就活学生は「他を辞退、または就活を辞めないと内定を出さない」と言われ、内定承諾書や誓約書にハンコを押したとしても、承諾する義務はなく、仮に承諾しても効力はありません。内々定などを受けながら他社に就活することは、何の問題もないのです。懇親会や研修などの拘束が強く、他へ就活する時間がない場合には、単位取得を理由づけにすることも一案です。不利益な内容を含めて結論を迫られる場合は、「人生の転換に関わる重要なことですので、考えさせてください」としっかり意思を伝えること、圧力を感じた場合は「検討します」と言って持ち帰るぐらいの勇気は必要です。

可能ならば、会話を録音することも考えましょう。録音によって、大学や就職課に相談しやすくなります。基本的にはこうした準備が最適と思われますので、相応の準備をして臨み、謙虚な中にも堂々と対応できるようにしてほしいものです。

(亀岡 亜己雄/社会保険労務士)

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