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【地方議会で監視すべきこと!】地方で存続していた「天下り天国」(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

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地方で続く官民の“ズブズブ関係“

昨日の新聞を見ていて、久しぶりに「天下り」という言葉を見つけた。愛知県庁を今春退職して民間企業などに就職した職員のうち、8割超を県が仲介していたという記事である。中央省庁では国民の反発により2007年に天下りのあっせんが禁止されたが、足元の地方では依然として官民の“ズブズブ関係”が続いているというわけだ。

中日新聞によると、2014年度末に退職した課長級以上の職員212人のうち、184人が再就職。就職先は県庁(再任用など)が73人で最も多く、民間企業23人、外郭団体19人、第三セクターや公益法人、社会福祉法人など「その他」が69人だった。

そして県庁以外に再就職した111人のうち、82%にあたる92人について、県が職員と再就職先とを仲介していたという。

公務員の再就職がすべて悪いわけではない。企業にとって公務員の持つ専門知識や行政情報は魅力だろうし、公務員が経験を生かして民間分野で活躍しようと考えるのも自由だ。元財務事務次官で、インターネット会社社長に転身した勝栄次郎氏などはその好例とも言える。

しかし、行政があっせん、仲介するとなると話は変わってくる。行政が所管分野の民間企業に再就職ポストを要求すれば、企業側に借りができる。その見返りとして企業に行政の秘密情報を漏らしたり、許認可の際に配慮したりすれば大問題だ。過去に相次ぎ発覚した官製談合事件の背景にも天下り問題がある。

もう一つの問題は行政の外郭団体への天下りだ。省庁が外郭団体を作り、そこに公共事業を優先的に担わせる。幹部ポストに代々、公務員OBを送り込むというのは中央省庁の常とう手段だった。そこで膨大な額の税金が無駄に使われていたことは言うまでもない。

天下り廃止も地方議会の役目

うした問題を排除するため、国は2007年に国家公務員法を改正し、中央省庁による再就職のあっせんを禁止。2014年には地方公務員法を改正し、自治体に「退職管理の適正を確保するために必要な措置を講ずる」と規定した。

総務省は「必要な措置」の例として、国家公務員法と同様に「職員による再就職のあっせんを制限」するよう求めている。

国家公務員法が禁止しているのは「職員が、営利企業及び営利企業以外の法人に対し、①他の役職員又は役職員であった者を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させることを目的として、ア)当該役職員等に関する情報を提供すること イ)再就職させようとする地位に関する情報提供を依頼すること②他の役職員等を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させるよう要求又は依頼すること」の二つ。

これらを踏まえれば、自治体が職員の再就職をあっせんすることは明らかに禁止のはずである。愛知県の今回の問題は脱法行為といえる。県の人事課長は「行政経験を活用したいという要請を受けて適任者を紹介しており、問題ない」としているが、このコメントはまったくの的外れと言えよう。

天下り問題は愛知県に限った話ではない。そして首長や行政側に、身内の首を絞める天下の廃止を期待するのは難しい。天下りを廃止し、税金の無駄を排除していくのは地方議会の役目である。

(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

Photo : https://www.flickr.com/photos/9993075@N06/2678453389/

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