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パロディと著作権

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 前回TPPの知的財産をめぐる交渉の中でパロディのことについて簡単に取り上げました。今回は、パロディのどのような部分が現在の著作権法的に問題なのかについて、より詳しくみていきたいと思います。

 わが国の著作権法にはパロディの定義はありません。裁判例の中でも、パロディの定義について明確に判示したものは現在までは見当たりません。「広辞苑」によれば、「文学作品の一形式。よく知られた文学作品の文体や韻律を模し、内容を変えて滑稽化・諷刺化した文学。日本の替え歌・狂歌などもこの類。また、広く絵画・写真などを題材としたものにもいう。」とされています。厳密な定義は難しいため、「既存の著作物を何らかの形で自己の著作物において利用しているもの」を広く「パロディ」として捉えることが多いようです。

 著作権法27条は、著作者に、その著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案する権利を専有すると定めています(翻訳権、編曲権、変形権、翻案権)。
 翻案とあまり耳慣れない言葉ですが、これは小説や映画をゲーム化したり、完結した小説や漫画の連載などで、同じキャラクターを使って新たな続編を創作する行為をいいます。2007年頃、インターネット上で流行したドラえもんの最終回?の漫画を見た方も多いのではないでしょうか?あれは、まさに「翻案」にあたる事例です。あのドラえもん最終回の同人誌も著作権侵害が問題となりました。このようにパロディは著作権侵害にあたる可能性があります。
 なお、アニメのキャラクターの衣装を真似て自分で衣装を作成し着用するいわゆるコスプレは「変形」にあたります。コスプレについても無断で行う場合は、著作権の侵害になる可能性があります。

 もっとも、翻案や変形等に該当するとしても、著作権法上の規定で許される場合があります。著作権法32条1項は、一定の条件を満たした場合には、引用して利用することができると定めています。 適法な引用の要件については、こちらの記事でまとめてありますので御覧ください。

 仮に、パロディが著作権法の規定や解釈で許容されなかったとしても、権利者が明示的に許諾している場合や黙認している場合には、事実上問題となりません。
 黙認している場合の例としては、いわゆるコミックマーケットにおいて販売されている同人誌が挙げられます。同人誌は形式的には著作者の権利の侵害になりますが、従来からそのような活動が行われてきたことや同人誌活動から新しい創作活動の担い手が出てくることが多いこと、という理解のもとに権利者が黙認してきたという経緯があります。

 次回はパロディをめぐる判例について取り上げたいと思います。

元記事

パロディと著作権

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