起業を行き詰まらせる「悪いこだわり」とは

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起業を行き詰まらせる「悪いこだわり」とは

 多くのビジネスパーソンにとって起業とは、いつかは挑戦したい野望であり、自分の培ったアイデアや仕事力を試す大勝負の舞台だろう。
 いずれくるその時のために密かに構想を練っている人、適切な起業のタイミングを見極めようとしている人、資金をとにかく貯めようとしている人、どんな段階であれ、起業の成功を目標に掲げていることには違いない。

 ただ、当然ながら全ての起業が成功するわけではなく、やはり生き残る方が少数だという現実がある。その少数に食い込むためにも、どんな起業が成功し、どんな起業が失敗するのかを頭に入れておくことは大きな意味があるだろう。

 今回は両者の違いを探るべく、『起業1年目の教科書』(かんき出版/刊)の著者で経営コンサルタントの今井孝さんにお話をうかがった。

――商品やサービスの開発も悩ましいところです。オリジナリティにこだわって「唯一無二のもの」を作りたくなる気持ちはわかるのですが、あまり固執しすぎても良くないということを書かれていましたね。

今井:そういうこだわりはあっていいのですが、同時に他人の意見を聞ける柔軟さも必要です。「これは絶対に売れる」と思って作った商品も、ふたをあけてみると大体は売れません。そういう時は、人の意見を聞きながらどこがいけなかったのかを考えないといけないわけです。
僕は、こういう時はお客さんに意見を聞くようにアドバイスしています。売れない原因が商品そのものにあるかはわかりません。商品が悪いのか、それとも単に知られていないだけか、というところも含めて調べる必要があります。

――手持ちの資金も限られているでしょうし、一刻も早く売上を立てたいところです、そこで大事になるのが本書で書かれている「愛のある売上目標」ですが、これを設定するポイントを教えていただけますか?

今井:最初は自分が生きていくのに必要な額を目標にすればいいと思います。スタートはそれで十分。それができたら次の夢が出てくるはずですから、その時に新しい目標を作ればいいと思います。

――個人的には「価格を上げる理由をコツコツ作る」というのが面白かったです。これができずに苦しんでいる会社がたくさんあると思いますが、取引先や顧客に納得してもらいやすい理由としてどんなものが挙げられますか?

今井:自分の会社ならではの良さや価値を伝えることではないでしょうか。それがないと、他の会社と同じだとみなされてどうしても相場で価格が決まってしまうので。
「価格が上がるぶん、こんなメリットがありますよ」というのを挙げていくことで、取引先も顧客も納得しやすくなるはずです。

――今井さんが最近受けた起業にまつわる相談で、ユニークだったものを教えていただけますか?

今井:「こうすれば絶対うまくいく」という正解を求めてくる方が多いというのはありますね。自分で試してみればいいのに、僕に聞いて正解と教えてもらわないとやらない。でも、先ほども言ったように起業に正解はないんです。
あとは、相談する質問自体が間違っていることも多いですね。たとえば、誰が食べてもものすごくまずいという饅頭があって、それを売ろうとしたけど売れないからマーケティングを教えてほしいというような相談です。この場合問題なのはマーケティングじゃなくて饅頭の味でしょう。自分の商品やサービスのどこに問題があるのかがわかっていない人は多いです。

――本書からは「起業は大きなハードルではない」という強いメッセージを感じとれますが、一般的にはやはり「起業を成功させるのは難しい」と思われています。この固定観念の原因はどんなところにあるとお考えですか?

今井:今すでに成功している人しか見ていないからだと思います。メディアで取り上げられる有名な経営者にしても、起業した当初は余裕がないなかで少しずつ階段を登っていったはずなのですが、そこの苦労は身内しか知らないことです。
メディアは成功した後しか報じないわけで、それを見て、彼らのようにやらないとうまくいかないんだと勘違いしてしまうというのはあると思います。

――最後になりますが、起業を考えている全ての方々にメッセージをお願いいたします。

今井:1日10分とか30分でもできることはあるので、そういう時間を積み重ねていけば起業は必ず成功すると思います。
短い時間でも毎日自分の夢に向かって取り組んでいたら、人間は楽しいという実感だとか、やりたいことをやれている充実感があるはずで、それ自体一つの成功です。たとえ資金繰りが大変だったとしても、起業している以上夢は叶っているわけで、自分のやりたかったことをやれている充実感を大事にしていただきたいですね。
(新刊JP編集部)


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