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事例から学ぶ、優れたキャッチコピー10選。第四回「発見のあるコピー」

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こんにちは、ジョンです。
しばらくお休みしていたこのシリーズですが、4回目を迎えました。

これまでの記事はこちら。

発見のあるコピーとは?

さて、今回のテーマは「発見」です。
普段は意識していない潜在的な気持ちをすくい上げることや、社会の常識とは真逆の視点で物事を捉えていること、ある事実をいつもとは異なる距離感で見つめていることなど、その手法はさまざまです。
いずれにしても「発見」とは、一瞬で気を留めて、考えさせ、心を動かす力があるとぼくは思っています。

さっそくご紹介していきましょう。

1. 九州旅客鉄道

「どのコピーが好き?」という問いに対して、真っ先に出てくるコピーがこちらです。世に出たのは20年以上も前なのですが、いつ見ても色あせることはありません。

鉄道業の主なる使命は人を運ぶことになるわけですが、その人の状況や気持ちまで乗せているというところが、まさに発見だと思っています。こんなことを明言してくれる企業に、ぼくはとてつもない好感を抱いてしまいました。

2. 島根県

いわゆる自虐系のコピーですが、その視点があったかと、つい膝を打つ表現に仕上がっています。
言うまでもなくこちらは島根県のPRで使われているのですが、アンテナショップに行くとカレンダーが売っているようで、その中に“島根って、鳥取のどのへん?てきかれた。”なんてコピーもあるらしく、全体のトーン&マナーが統一されていて、とても素敵だと思いました。
これでぼく、島根のことを強く意識しましたし、少なからず好きになりましたから。

3. セブンイレブン 江東毛利一丁目店

こちらは店舗の求人で書かれていたコピーで、SNSでも話題になっていました。わたしが24時間営業になってしまうって、視点としてとても斬新です。

もうひとつ、このコピーが採用活動としてどのように機能するか?というところまで考えて見てみると、素晴らしいと思える点があります。それは、店長の人柄がにじみ出ている、ということです。
このページを見ていただければすぐにおわかりになると思いますが、いかにも悩んでいる風の方がどうやら店長のようです。このコピーとセットで見ると、「この店長っていい人そうだな」って思えませんか? 求人広告のこのような表現に付き合ってくれる人です。きっと新人さんにも優しく接してくれることでしょう。

4. トンボ鉛筆

文房具の価値を限りなく高めてくれた、大好きな発見です。こちら、ボディコピー(キャッチコピーに続く文章)もすごくグっときますので、ご紹介します。
もともとグラフィック広告なので、制作者の方への敬意を込めて、実際の広告のとおりに改行させていただきます。ブラウザ向きの改行ではないかもしれません。あらかじめご容赦ください。

ロケットも、
文房具から生まれた。

文房具といっしょにいる時、人はとてもいい顔をしている。つくづく、
そう思うことがあります。書く。ひたすら書く。机に向かうその清潔なまなざし。
手を休める。思いをめぐらす。遠くを見つめるそのやわらかなまなざし。
考えている。苦しんでいる。迷っている。もがいている。でも、まちがいなく前へ
進もうとしている。
思えば、文房具は、人間のそんな素顔を、なんと長い時間見つめてきたことでしょうか。
幸福な仕事。自分たちの仕事を思う時、私たちトンボは決まってこの言葉に
行きあたります。なぜなら、私たちのそばには、いつも頭と心をいっしょうけんめいに
使う人がいて、その人の手から、必ずひとつ、この世になかった新しい何かが
生み出されている。そう思うたび、誇らしさに胸がいっぱいになります。傷つきやすく、
たくましい。弱くて、かしこくて、とほうもなくあたたかい。そんな人間が、
一番人間らしくあろうとする時に必要なもの。トンボは、これから先も、
ずっと人間のそばで暮らしたいと願っています。

トンボが動いている。
人が、何かを生み出している。

引用元:株式会社トンボ鉛筆
http://www.tombow.com/press/060501/

これ、ぼくが社員だったら泣いちゃうと思います。
自分たちの仕事を、なんて素敵に表現してくれるんだろうと。こちらの広告は、社外だけでなく社内にも大きな影響を与えたのではないかと推測します。

5. JT

ご存知、喫煙マナー向上のための広告です。
ぼくはタバコを700度の火と表現したところが、このコピーの価値だと思っています。喫煙者はまちがいなくハッとしたことでしょう。

ひと昔前の喫煙事情に比べると、今は比較にならないほどマナーが向上しました。公共の喫煙所に行けばほぼこのシリーズ広告に出会いますし、多くの喫煙者の心を動かしてきたのだと思います。
他にも素敵なコピーがたくさんありますので、喫煙所ですこし意識して見ていただけたらと思います。

6. 伊勢丹

このコピーを最初に見たとき、たしかに……と思わずにはいられませんでした。ファッションを、ものすごくオシャレに捉えてますよね。そして誰もが共感できるくらいの普遍的なことを言っているので、「百貨店」としての役割を見事に果たしているように思います。

そして、こんなオシャレなことを伊勢丹というハイファッションな百貨店が言っているところがとても素敵です。伊勢丹としてのイメージを損ねていないし、ブランドを加速させているように思えます。

7. 武田薬品工業 「ベンザエース」

これを言われてしまったら、他の風邪薬はもう「参りました」としか言えないほどの力強さがあると思うんです。
風邪薬のコピーは「あなたのカゼを治します」にフォーカスしがちですが、カゼというものは人から人へ伝染していきます。その果てを言い当てることで、とてつもなく壮大で、だけれども自分事としても受け入れられる、絶妙なコピーになっているような気がします。

きっと多くの人が、「そうだよな、周りの人にも迷惑かけちゃうから、早く治さないとな……」なんていう気にさせられたのではないでしょうか。

8. 大成建設

企業が発するコピーをいちばん意識的に見るのは、世の中ではなくその企業の社員だとぼくは思っているのですが、このコピーで多くの社員さんが仕事への誇りを見出したはずです。

ゼネコンの仕事は言うまでもなく建物をつくっていくことですが、それが地図に残るものだという視点が、まさに発見です。大成建設という企業で働く一人ひとりが、この事実を感じられているかどうかで、パフォーマンスが大きく変わってきます。
対外的にはもちろんですが、それ以上に対内的な効果をもたらしたであろうこのコピーが、ぼくは大好きです。

9. 新聞広告クリエーティブコンテスト 「しあわせ」

誰もが認識していた桃太郎のストーリーを正反対から描いた視点。かつ、それに納得できて、しあわせとは何かを考えさせる力強さがあります。脱帽です。
このコピーを見たとき、すごく悔しかった記憶があります。ぼくも曲がりなりにもコピーを書いてきているので、この視点があったか……という気にさせられるというか、何というか。こういう視点で物事を捉えられない自分に腹が立つ、という感覚に近いのかもしれません。
それくらい、自分の中でも発見があったコピーでした。大好きです。

10. オリンパス

にんげんという複雑な対象をたった二つの、しかも身近な言葉で表現しています。しかも反論のしようがなく、たしかにそうかもなぁ……と感じさせてくれるから不思議です。
デジタルカメラの印象が強いオリンパスさんですが、実は医療技術にもものすごく力を入れられています。とある企業広告の一節では「デジタルカメラから医療技術まで、オリンパスのにんげんのぜんぶテクノロジー。」と定義されているのですが、こちらも見ていただいたほうが早いかもしれないです。全文ご紹介します。

たいせつとたいせつ。

ココロはたいせつ。
カラダはたいせつ。
たいせつとたいせつで、
にんげんはできている。
ココロとカラダ、
にんげんのぜんぶ。
にんげんのたいせつぜんぶに、
貢献する仕事。
それがオリンパスの仕事。

デジタルカメラから医療技術まで、
オリンパスの
にんげんのぜんぶテクノロジー。

水やほこりに強いデジタルカメラ。
外へ持って出たくなる。
自然とカラダも動き出す。
カラダにやさしく、精細な画像の内視鏡。
カラダの負担が小さくなれば、
もっとラクに検査や治療と向き合える。
遺伝子まで視野にとらえる顕微鏡、
ひとりひとりのカラダにあった次世代医療へ。
オリンパスの仕事はココロとカラダ、
にんげんの幸福のぜんぶのためにある。

ココロとカラダ、
にんげんのぜんぶ
オリンパス

引用元:オリンパス株式会社
http://www.olympus.co.jp/jp/corc/corp-ad/philosophy/

あぁ、なんてすばらしい企業なんでしょう。

さいごに

発見のあるコピー、いかがでしたでしょうか?

以上で紹介したコピーはいずれも、ものすごい時間をかけて向き合った末に出てきた視点だとぼくは推測します。考えて、書いて、考えて、書いて……という、半ば諦めに近い感情と闘いながら、それでも考えて生み出されたであろう視点を前にすると、どこか拝みたくなるような気持ちにさえなります。

これは、コピーに限った話ではないと思います。これまでになかった視点や考え方は、人の心を大きくゆさぶる力があるばずです。「いちど試してみては?」などと簡単に言えるような代物ではありませんが、日頃から物事を深く考えているような方には、きっとできるはずです。
ぼくも頑張らないと。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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