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本人訴訟

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 民事裁判は弁護士を代理人としなくとも、自分で訴状を書き上げ、訴訟を追行することができる。大変ではあるが。

 本人訴訟で、被告が40名ほどもいるという損害賠償請求訴訟を起こされた。そのうちの一人が知人であって、受任したがひどいものであった。訴状の中身もそうだが、原告の訴訟態度の悪さが別格であった。

 発端はこうである。あるイベントが開催され、原告も何百人もの招待客の一人として参加していた。メインイベントが終了すると、バイキング料理食べ放題、酒・ジュース類飲み放題の懇親会となる。だいぶ時間も経ちほとんどの客が帰ってしまった中、一人で飲みまくっており、泥酔状態といってよいほどである。会場の片付けの時間もあるので、イベント開催関係者が幾度か退場を促すもダメである。仕方なく、両脇をかかえて連れ出したが、逆に暴れ出しので、やむなく押さえつけ、警察を呼ぶことにした。

 複数の会社がイベントに関係していたことから、40人という大所帯の被告となったのである。請求の内容を簡単に言うと、イベント会場からいきなり暴行をもって連れ出され、その後も暴行を受け、これでは殺されると思って警察を呼んだ。慰謝料を支払えというものである。
 警察を呼んだのは、被告側であったことは客観的証拠で明らかになったし、他の言い分もまったく信用できないものであった。むしろ被害を被ったのはこちら側である。

 裁判で本人尋問となり原告に対する尋問が始まった。尋問のトップは私が担当した。事実関係を時系列に沿って聞いていく。ところがまともに答えない。そればかりか「くだらない質問をするな!」「お前はなんだ!」「ふざけないで真面目にやれ!」といった罵詈雑言で答えてくる。腹が立つのを押さえながら尋問を終了した。次の先生が尋問に立つと、その間隙に、傍聴席にいる知人に「水!」と言い、平然と飲むという態度である。裁判所も苦い顔で見ているが、注意しても無駄と悟っている。

 二番手の先生の尋問が終了し代理人席に戻ってくるや否や、私にささやいた。「気づきましたか?酒の臭いがすごいですよ」。まったく裁判を何だと思っているのか。和解勧告もなく、当然ながら、被告側の行為は正当行為の範囲内の実力行使であると認定されて全面勝訴した。

 まさか控訴はしないだろうと思っていたら、しっかりと控訴されてしまった。まぁ控訴は権利だから仕方ない。応訴するしかない。控訴審の多くは、争点が明白である限り、1回で終結し2回目には判決となる。この事件もそうであるはず。結果としてはそうなった。控訴は地裁判決に不服があるからこそ、自分の正当性を訴えて、もう一度調べてくださいとするものである。事実を取り調べる裁判所としては、最後の砦である。だから、控訴人も必至で訴えかけるものである。

 だから、控訴人は意気込んで裁判に出てくる。ところが、その控訴人は指定時間を過ぎてもやってこない。書記官が連絡をとるも、行方不明である。最後に裁判長が一言。「こんな裁判はもう終わりたいですよね?」。代理人全員で「はい」。終了した。不当訴訟で損害賠償請求訴訟を提起したいくらいであった。一時期まともに検討をしたが、これ以上の関わりを持ちたくないという依頼者の意向でやめた。

 なお、この原告(控訴人)は、法曹関係者だから驚きである。

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