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真の民主主義から遠ざかる?地方の声は無視される「10増10減」とは

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選挙区によって投票価値は等しくない

憲法14条1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」として、平等原則を定めています。国会議員の選挙における平等は、憲法44条1項でもあらためて定められており、1人1票という数的平等のみならず、投票価値(議員1人あたりの有権者数)の平等も要請されるところです。

例えば、A選挙区(議員定数2人、有権者数1万人)、B選挙区(議員定数1人、有権者数5000人)、C選挙区(議員定数1人、有権者数1000人)があったとすると、A選挙区では、結局のところ議員1人あたりの有権者数は5000人で、B選挙区との間では投票価値が平等といえますが、C選挙区とは投票価値に5倍の格差が生じており、不平等だということになります。

選挙区や定数の配分は技術的な問題

各選挙区の間で投票価値に全く格差がないように選挙区割や議員定数の配分ができれば何も問題はありませんが、選挙区をどのように定めるのか、それぞれの定数配分をどうするのかということは、極めて技術的な問題です。また、これを考えている間にも各地の人口は変動するため、投票価値が厳密に等しくなるような選挙制度を策定することは非常に困難です。

憲法といえども、不可能を強いることはできませんから、投票価値の平等を実現するために国会がどれだけの努力をしたのか、その上でどの程度の格差までなら許容できるのかということが、合憲か違憲かを判断するために必要になってきます。

「10増10減」の改正公職選挙法が成立

この7月28日に、参議院選挙における1票の格差を是正するため、5つの選挙区で定数を各2ずつ増やす一方で、3つの選挙区で定数を各2ずつ減らし、さらに隣接する2つの選挙区を1つにした上で定数を2減らす合区を2カ所で設ける「10増10減」の改正公職選挙法が成立しました。このような合区が設けられるのは、今回が初めてのことです。

この改正によって、1票の最大格差は4.77倍から2.97倍に抑えられることになりました。しかし、投票価値の平等を目指すということは、人口の多い都市の定数をより多くし、人口の少ない地方の定数を減らすということであり、地方の声が国会には届きにくくなってしまう懸念があります。また、合区を設けることで全く議員を出せない県が生じるため、その県民の声は届きにくくなることも否定し得ません。

真の民主主義からは遠ざかった改正?

自民党のある参議院が、「仲間をできるだけ苦しめないでおきたい、できるだけ仲間が生き延びられるようにするということも、一つの責任だと思ってこの問題に対処してきたのは事実」などと発言していたとの報道もあります。

1票の格差を是正するというもっともらしい理由付けの裏に、実は党利党略のために地方の声を切り捨てるという意図が潜んでいたのだとすると、真の民主主義からは遠ざかった改正であると思えてなりません。

(田沢 剛/弁護士)

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カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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