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ギリシャ危機、中国株下落… 投資の専門家が警告する米国経済の今後

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 2016年に日本はリフレに向かい、一人勝ちするという大胆予測で評価を得ている『異次元経済 金利0の世界』(集英社/刊)の著者であり、フィナンシャル・コンサルタントの若林栄四氏。彼は本書で6月末か7月に金融市場は危機的状態を迎えると予測していたが、実際に金融危機が迫った。ギリシャのユーロ離脱をめぐる攻防、中国株の連日下落など、特に7月は金融市場をめぐる問題がいっせいに噴出した感があり、各国の金融当局が、市場が崩壊しないよう必死に協力して、ようやくシステム維持につとめたようにも見える。

 当面のトピックは9月にアメリカの利上げがあるかないかに移ったが、むしろマーケットの予測が、本書の若林氏の見解に近づいてきているとさえいえる。しかし若林氏の見解は基本的に変わっていない。アメリカの金利は上げたくても上げられない状況なのだ。

 担当編集者によれば、この本の執筆時期は昨年末から今年初め。そして、実際に本が出版された3月末には、6月や9月に米国金利が上がるともいわれていた。しかし、ギリシャ問題や中国株価暴落問題を理由に、今年中に金利を上げられるかどうか疑わしい…そんな言説もちらほら増えてきた状態だ。

 アメリカの実態経済の指標も実はよくなっておらず、統計の計算手法でなんとかよく見せているような状況だ。しかし、FRBが市場関係者に「アメリカ景気は好調で、今年中に金利が上がるだろう」と信じさせたい意図があることは容易に想像できる。FRBが、危機的状況が潜むことを認めてしまえば、より大きな危機を実際に招いてしまうからだ。

 若林氏は現在も注意深く市場を見続けており、その予測は切れ味が鋭い。
 米国株価は昨年12月末に18100ドルまで上がり、その後はひたすら横這いが続く。すでに天井を見ている可能性が高く、若林氏は一旦下げ止まったとしても、1、2か月以内に大きな下落トレンドに入ってくるのではないかとも予想する。
 また、今年6月末に発覚したプエルトリコの破綻も、米国経済にじわじわと影響を与え始めているという。米国と中米、南米との経済的なつながりは、日本人たちが想像するよりもずっと強いといえる。

 では、日本はどうだろう? 若林氏によれば、『異次元経済 金利0の世界』の第7章にも述べているように、日本経済の未来は悪くないという。そして、日本は長期的な回復はまだスタートしたばかりだと述べる。今期の決算発表も、大企業を中心に黒字回復の企業が相次ぐ。
 ただ、しばらくは、外部的な要因で、日本の株価も一服するタイミングだろう。相場とは日々の指標で右往左往しても意味がなく、需給ではないことを理解する必要がある。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法)や日銀がいくら支えようと日本株を買っても、下がる時は下がるもの。相場は需給ではないことを理解する必要があると著者は述べる。

 アメリカが下降トレンドに入り、世界的にもデフレが顕著になると若林氏は繰り返し述べている。しかし、あまりこの危機意識を共有している人は多くない。本書は「金融の大きな流れ」をつかみ、市場の動きを捉えなおす上で、大いに参考になる一冊だ。
(新刊JP編集部)


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