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C型肝炎の経口新薬が登場 標準治療の副作用軽減に期待出る

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 C型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると、約70%が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと進行する。現在、日本には約200万人の感染者がいるといわれ、高齢になるに従い、肝がんへの進展が見られる。HCVが発見されたのは1989年で、その後の研究によると、ウイルスが持つ遺伝子型は、日本では大きく1a、1b、2a、2bと4種類存在することがわかった。

 日本人の約70%が1b型で、2a、2bがそれぞれ20%、10%程度、1a型はほとんど確認されていない。

 従来の標準治療は、インターフェロンの注射だったが、副作用が強く、治療を最後まで続けられなくなったり、遺伝子の型によっては、インターフェロンが効きにくいものもある。

 国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センターの溝上雅史センター長の話。

「2005年に感染症研究の脇田隆字先生たちがHCVを試験管で増やすことに成功しました。これにより、ウイルスの性質がよくわかるようになり、増殖のメカニズムもわかるようになりました。その結果、ウイルスを殺すには3つのターゲットが固定され、各々に対する新薬の開発がはじまりました」

 肝細胞でHCVが増殖を繰り返し、炎症が起こることで肝臓の機能が低下する。ウイルスが増殖する時には、遺伝子情報であるRNA(リボ核酸)を複製する必要がある。このRNAの複製を阻害すれば、新しいHCVは増殖できないことになる。阻害薬として、第1世代ではテラプレビル(NS3プロテアーゼ阻害剤)が開発された。

 これは単剤では効き目が弱いので、インターフェロンと組み合わせて、24週で68%の治療効果が得られた。しかし、問題は薬剤耐性ウイルスが出現することだった。

 第2世代で開発されたのが、シメプレビル。これは同様にウイルス増殖に必須の酵素を阻害する薬で、インターフェロンと併用すると、インターフェロンの効きやすい人は98%に有効性が確認された。しかしながら、インターフェロンが効きにくい人には30~40%しか効果がなかった。

「その後、2a、2bタイプで、インターフェロン治療を副作用で中止した、あるいは無効だった患者に、今年5月第3世代の経口(けいこう)新薬のソホスブビルが保険適用となりました。

 これはリバビリンを併用して、インターフェロンなしで12週間服用すれば、98%ウイルスが消えるという薬です。副作用がほとんどなく、耐性を生じにくいというのも特徴です。さらに、この7月に日本で一番多い1b型に対する薬(ハーボニー配合錠)も承認になりました。治験では100%の効果が得られました」(溝上センター長)

 日本ではC型肝炎患者が多く、しかも患者が高齢化して治療が難しくなっているのに専門医が少ない。

 まず検査して、どの薬剤をどのように服用すれば副作用を減らし、ウイルスを消せるのか、専門医に診断してもらうことが治療の第一歩だ。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2015年8月7日号


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